クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也

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27:称号

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 ≪灰田亜紀が深森のダンジョンを踏破しました≫

 メッセージウインドウがダンジョンの踏破を知らせる。
 僕に見えたという事は、もしかしたら他のクラスメイト達にもこのメッセージが見えているかもしれない。
 そうすると、僕たちを召喚した人間達にも灰田さんがダンジョンを踏破したことが伝わるかもしれない。
 向こうから接触してくる可能性もある。警戒はしておこう。
 
 だが、今はそれよりも。

 『灰田さん、おめでとう』
 「ありがとう。ところで、メッセ、ージウインドウでは【チェックポイント】の他に【踏破者(A)】ていう称号が手に入ったって書いてあるんだけどこれって?」
 『……その名の通り……ダンジョンを踏破した者に与えられる称号だな……称号には恩恵があるものが多い……例えば……剣術系のスキルを複数レベルMAXにすると……【剣を極めし者】というスキルを得られる……これは剣術系のスキルの効果を高めると同時に……ステータスにバフが掛かると……文献で読んだことがある……実際に所持している者は見たことが無いがな……』
 「へぇ、それで【踏破者】にはどんなメリットがあるの?」
 『……【鑑定】の結果では……ダンジョンを踏破した者に送られる称号としか書いていないな……恐らく特にメリットは無いな………』
 「え~~、何よそれ」
 『ゲームでいうトロフィーみたいなものなのか。あるいは【鑑定】では分からない何かがあるのかも?』
 『……我の【鑑定】はレベルMAXだが?……』
 『例えば、【踏破者】の称号を持っている者にしか開けられない扉があったとしたら?それはその扉側に【鑑定】を使わないとわからないんじゃないですか?』
 『……なるほど……その可能性はあるかもしれんな……』
 「どっちにしろ今は効果は特にないってことでしょ?ところで、ダンジョンコアを破壊したらダンジョンって壊れるのよね?急いで脱出した方が良いんじゃない?」
 『……心配するな……ダンジョンが消滅する際に……ダンジョンアタック中の者は全員ダンジョンの入り口があった場所に飛ばされる……倒壊に巻き込まれるこはない……』
 「あら、親切なのね―――あっ」

 僕らの足元に巨大な魔法陣が出現したと思った次の瞬間には、死神が言う通り、僕たちはダンジョンの入り口の扉があった場所に立っていた。ただ、そこにはもう扉は存在せず、代わりにダンジョンコアが置いてあった台座と同じような台座が存在していた。

 『……【チェックポイント】のスキルを使うと……あの台座のある場所を起点にワープが出来る……ただし、どうやってもあの台座は移動できんし……破壊する事も出来ない……』
 「なるほどね。瞬間移動は便利だけど、こんな辺鄙な場所にある【チェックポイント】はあまり使わそうね。出来れば人里に近い場所にあるダンジョンを踏破したいわね」
 『……人里の近くのダンジョンは色々と面倒が多い……諦めろ……次は景色が変わるタイプのダンジョンに向かうのだったな……我の【チェックポイント】で飛んだ後……足で4日ほど移動した場所にそういったダンジョンをあった筈だ……そこに向かうとしよう……』
 「その前に、さっきのダンジョンで拾った物を換金しに街に行かない?色々買いたい物もあるし」
 『……買いたい物?……なんだ?……食料も寝床もあるではないか……』
 「着替えとか、石鹸とか……紙とかよ。アンデッドの貴方たちと違って私は出すもの出すし、新陳代謝とかしてるのよ」
 『……まぁ良かろう……腕輪の容量も無駄に出来ん……こまめに換金するのは悪くはない……』
 「その腕輪、本当便利よね。替えの下着とか貴方に預けたく無いし、私もその腕輪欲しいんだけど」
 『……収納系の腕輪はドロップ率が極めて低い……が、ダンジョンならどのダンジョンでもドロップするので……いずれ手に入るだろう……』
 「それまでは我慢かぁ~」

 深いため息を吐いた灰田さんが肩を落とした―――
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