6 / 32
6話〜目標と準備2
しおりを挟む休憩が、終わって座学の後半が始まる。
「さて、みんな席についたな。
では、座学の後半を始めようか」
子供達は、「はーい」と返事をする。
マユキは、ニコリと笑う。
「前半で戦玉の説明と戦気を使うために流派がある事を勉強したな」
「後半は、戦玉から力を与えられる条件を話そう」
「条件?何かする必要があるの?偉い人が貰うんじゃないの?」
子供達が話し始める。
マユキが子供達を見渡している。
「なぁみんな、偉い人が貰うと言うのは、誰から聞いたんだ?」
子供達が答える
「里の大人達が言ってた!偉い人の家族が力を貰えるから、私たちは頑張っても偉い人には敵わないって」
「そうか…」
マユキは、難しい顔をしている。
(子供達の耳にまで入っているのか。あまり真実を伝えすぎるのも子供達の身に危険が及ぶか……影の動きが思ったより早いな。)
マユキが子供達を見渡して、話し始める。
「一般的にはそう言われているな。完全に間違いではないが…誤解している部分がある」
「おそらくみんなが聞いているのは、地位の高い家系のものが血筋によって力を得ているというものだろう。確かに地位が高いものが力が強いのは事実だ」
マユキは頷く。
「しかし、それは血筋によって力が得られているというものではない。教育と訓練によるものだ」
マユキは、子供達を見回す。
子供達は、不思議そうな様子。
「理解が難しいよな。説明する。
資料にもあるが、戦玉は文化と精神性が具現化したものだ。文化と精神性を得るために必要なもの…わかるか?ペン汰」
ペン汰は、しばらく考える。
「……たぶん…教育だと思います。僕たちがマユキさんにしてもらっている事。勉強と訓練と生活だと思います」
マユキは、驚きと喜びが入り混じったような表情をして話し出す。
「ペン汰、それだ!成長したな!私は嬉しいよ」
ペン汰は、照れ笑いしている。
マユキは続けて話し出す。
「補足して説明する。地位が高い者が強いというのは、それだけ教育と訓練を受けやすい環境にいるからだ」
「残念ながら、一般のもの達は教育も訓練も受ける機会が少ないのが現実だ。力の差は、そこからきているといえる」
「しかしだ、教育も訓練も、いつから始めても遅くはない…そうだろう?」
子供達は、ウンウンと頷く。
「国としては、強い者が多い方が良いはずだ。にもかかわらず、一般に教育や訓練を受けられる場所が少ない」
「矛盾があるよな…その先は、君たちがそれぞれに理由を考えてみてくれ」
子供達は、うーんと頭をひねっている。
「みんなちょっと頭を上げてくれ」
マユキが声のトーンを上げる。
「今の事は、それぞれがゆっくり考えればいい」
「今君たちが気づかなければいけないことがある。なんだかわかるか?ソータ?」
ソータは上を見たり下を見たり真剣に考えている。
と、その時ソータはひらめいた。
「あ!!さっきペン汰が言ってた!」
「僕達は、勉強も訓練も生活もマユキ先生に毎日教えてもらってるんだ!だから…戦気が使えるはず!」
マユキは、パンっと手を叩いた。
「ソータ良くできました。そうなんだ、孤児院に訓練施設があるのを不思議に思う者もいると思うが…そういう理由なんだ」
マユキが訓練場を指差す。
「この事実を知ったからと言って、無闇に他人に言いふらすのはダメだぞ。今はな。変な奴と思われるのは嫌だろう?」
子供達は頷く。
「いつか、皆の誤解が解ける日が来ると、私は思っている。君達は、自分の行動や言動の責任を自分で取れるぐらい強くなるまでは、自分のための努力を優先しなさい」
マユキは、子供達の表情を確認して話を続ける。
「さて、さっきソータが言った事で、君達は自覚したはずだ。戦玉から戦気を貰うための条件を満たすための努力をしてきた事を」
「その自覚が最も大事なことでもある。条件を満たしていても、自覚がなければ力は発動しにくい」
マユキは、木刀を取り出した。
「力の発動とは、こういう事だ」
マユキが構えの型に入る。すると青い霧のようなものがマユキの体を覆い始める。
「これが戦気というものだ。青色に見えるのは蒼気を発しているという事。これが他国であれば赤色、緑色、黄色と見た目が違う」
「我々ペンギン族は、冷気に耐える忍耐力や冷静さ、集団に対する誠実さに秀でた種族だ!誇るべき特性だ!」
「その特性が色に現れ力となっている。この気の力は律動と制御だ。熟練すれば武器にも防具にも纏わせる事が可能となる。君達も、この気の力の一端を使うことが可能になっているはずだ」
子供達は、椅子から立ち上がりマユキに釘付けになっている。ペン汰も、目を輝かせている。
「よし、大体わかったかな」
マユキが戦気解くと、霧状の気は無くなった。
「あー、消えた」
子供達は、残念そうにしている。
「おそらく一般のもの達は、教育や自覚が出来ていないため、気を纏うことが出来ないはずだ。だから、力の差が出てしまう」
「今日の座学は、これで終わるが。明日からの訓練や座学は、今日教えた事を少しずつ体現し深めていく。厳しいものになるが、頑張ろう」
マユキは、笑顔で子供達を見る。
「はい!頑張ります!」
子供達は、一斉に返事をした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ
のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる