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第九章 大東亜戦争Ⅱ(戦中編)
アメリカ最後の抵抗
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「大統領閣下! 西海岸で同時多発的に反乱が発生しました!!」
「ほう。詳しく聞かせてくれたまえ」
「先日のルメイ中将の反乱への対応を見て、我が軍に疑念を持ったようです。反乱軍はルメイ中将の解任と、その罪を裁くことを要求しています」
「なるほど。面白い。当然だが、我が軍は反乱を起こした者を許しはしない。徹底的に殲滅せよ。これは戦争である」
「しかし閣下、反乱軍の数はおよそ20万です。ルメイ中将麾下の部隊でも対処できるとは……」
「ならば東海岸から予備師団を送り付けたまえ。敵を許すことはあり得ない」
「はっ……」
ルーズベルトは当然、反乱軍の訴えを聞くことはなかった。話を聞いてしまったら戦争ができなくなってしまうのだから。
「引き続き反乱鎮圧の指揮はルメイ中将に任せる。好きにやってくれと、伝えてくれたまえ」
「はっ」
ルメイ中将は近隣の反乱軍の殲滅に出撃。こうしてロッキー山脈より西は内戦状態に陥ったのである。
○
アメリカの内情が壊滅的であることは、これで全世界に明らかとなった。折しもこの頃、枢軸国の代表達がドイツに集まり、戦後の国際秩序を決めるべく会談を開いた。
ヒトラー総統、ムッソリーニ総統、スターリン書記長、東條首相が一堂に会したこの会議では、アメリカに対して迅速な降伏を改めて呼び掛けた。国体護持を条件にした随分と温情のある降伏勧告である。
この会談が行われた場所に因んで、この宣言はポツダム宣言と呼ばれた。
○
「大統領閣下、スターリンは完全に枢軸国側に着きました。最早世界に、我々の味方は一国もありません」
トルーマンは言った。今やアメリカに味方しているのはカナダ、メキシコ、カリブ海諸国など合衆国の傀儡政権だけである。しかしそう告げても、ルーズベルトは大したこととは捉えていないようだった。
「今更何を言っているのだね。スターリンのような専制主義者は、元より合衆国の敵なのだ。それにソ連は、白人国家のクセに有色人種を弾圧せず保護し、白人と同等の権利を与えている。ソ連は殲滅しなければならないのだ。何も驚くことはない」
「今ソ連を敵に回して、アメリカが勝てるとでも?」
「勝てるよ。ソ連海軍は相変わらず貧弱だ。故に彼らは、アラスカから陸路で攻め込むしかない。陸軍であれば、我が軍は負けんよ」
「……馬鹿げている。話になりません。内戦状態の陸軍が、世界最強の陸軍を持つソ連に勝てるとでも?」
「それは買い被りというものだよ。ソ連など、我が国の支援がなければ大したことはない」
「我が国が支援して世界最強の陸軍を作ってしまったんですよ」
「まあ確かに、そうとも言えるね」
アメリカは独ソ戦に際しソ連に多大な援助を行ったきた。その援助の主なものはトラックや列車など後方を支えるものであったが、そのお陰でソ連は主力兵器の生産に全力を挙げることができた。アメリカが供与したものは依然としてソ連が保有している訳で、赤軍は陸軍としては世界最強と言って過言ではないだろう。
「ではソ連が敵に回った時点で、もう我が国に勝ち目はありません。ソ連が参戦してくる前に講和に応じるべきです!」
「まだ戦えるのに講和などあり得ないよ。何を言っているんだね、ハリー?」
「では閣下はどうやって戦争を終わらせるつもりなんですか?」
「言ったじゃないか。全ての敵を根絶やしにするまで戦争は終わらないよ」
「……この状況でよくそんなことが言えるものですね」
「まあ、私としても負けたくはないのでね。要するに制海権さえ握っていれば、合衆国は絶対に負けないのだろう?」
「それはそうですが、どうやって瑞鶴を倒すと?」
「こちらも空母をぶつければいいじゃないか」
「ミッドウェイ級ですか? しかしいくら巨大な空母でも、瑞鶴に勝てるとは思えませんが」
「ミッドウェイ級には随分と手を掛けていてね。まあつまり、船魄化することに成功したのだよ」
「何ですと? 全く聞いていないのですが」
「最高機密だからね。ともかく、彼女達ならば、瑞鶴に対抗することも可能な筈だ。瑞鶴さえ沈めれば、後はどうということはない」
「グラーフ・ツェッペリンもいますが」
「瑞鶴を沈められるのなら、グラーフ・ツェッペリンも沈められるだろう。それに、ドイツ海軍はグラーフ・ツェッペリンくらいしかマトモな戦力がない。大した脅威ではないよ」
「そうですか。まあ精々、ミッドウェイ級に期待するとしますよ」
「ああ。きっと勝てる。崇高なる民意が我々の背中を押しているのだから」
アメリカ最大の空母として建造されたものの、東海岸に放置されていたミッドウェイ級航空母艦。その一番艦と二番艦フォレスタル、及び残存全艦艇は瑞鶴を撃沈する為に出撃した。
なおミッドウェイ級は全幅が大き過ぎてパナマ運河を通れないので、予め占領しているチリに配置されている。
「ほう。詳しく聞かせてくれたまえ」
「先日のルメイ中将の反乱への対応を見て、我が軍に疑念を持ったようです。反乱軍はルメイ中将の解任と、その罪を裁くことを要求しています」
「なるほど。面白い。当然だが、我が軍は反乱を起こした者を許しはしない。徹底的に殲滅せよ。これは戦争である」
「しかし閣下、反乱軍の数はおよそ20万です。ルメイ中将麾下の部隊でも対処できるとは……」
「ならば東海岸から予備師団を送り付けたまえ。敵を許すことはあり得ない」
「はっ……」
ルーズベルトは当然、反乱軍の訴えを聞くことはなかった。話を聞いてしまったら戦争ができなくなってしまうのだから。
「引き続き反乱鎮圧の指揮はルメイ中将に任せる。好きにやってくれと、伝えてくれたまえ」
「はっ」
ルメイ中将は近隣の反乱軍の殲滅に出撃。こうしてロッキー山脈より西は内戦状態に陥ったのである。
○
アメリカの内情が壊滅的であることは、これで全世界に明らかとなった。折しもこの頃、枢軸国の代表達がドイツに集まり、戦後の国際秩序を決めるべく会談を開いた。
ヒトラー総統、ムッソリーニ総統、スターリン書記長、東條首相が一堂に会したこの会議では、アメリカに対して迅速な降伏を改めて呼び掛けた。国体護持を条件にした随分と温情のある降伏勧告である。
この会談が行われた場所に因んで、この宣言はポツダム宣言と呼ばれた。
○
「大統領閣下、スターリンは完全に枢軸国側に着きました。最早世界に、我々の味方は一国もありません」
トルーマンは言った。今やアメリカに味方しているのはカナダ、メキシコ、カリブ海諸国など合衆国の傀儡政権だけである。しかしそう告げても、ルーズベルトは大したこととは捉えていないようだった。
「今更何を言っているのだね。スターリンのような専制主義者は、元より合衆国の敵なのだ。それにソ連は、白人国家のクセに有色人種を弾圧せず保護し、白人と同等の権利を与えている。ソ連は殲滅しなければならないのだ。何も驚くことはない」
「今ソ連を敵に回して、アメリカが勝てるとでも?」
「勝てるよ。ソ連海軍は相変わらず貧弱だ。故に彼らは、アラスカから陸路で攻め込むしかない。陸軍であれば、我が軍は負けんよ」
「……馬鹿げている。話になりません。内戦状態の陸軍が、世界最強の陸軍を持つソ連に勝てるとでも?」
「それは買い被りというものだよ。ソ連など、我が国の支援がなければ大したことはない」
「我が国が支援して世界最強の陸軍を作ってしまったんですよ」
「まあ確かに、そうとも言えるね」
アメリカは独ソ戦に際しソ連に多大な援助を行ったきた。その援助の主なものはトラックや列車など後方を支えるものであったが、そのお陰でソ連は主力兵器の生産に全力を挙げることができた。アメリカが供与したものは依然としてソ連が保有している訳で、赤軍は陸軍としては世界最強と言って過言ではないだろう。
「ではソ連が敵に回った時点で、もう我が国に勝ち目はありません。ソ連が参戦してくる前に講和に応じるべきです!」
「まだ戦えるのに講和などあり得ないよ。何を言っているんだね、ハリー?」
「では閣下はどうやって戦争を終わらせるつもりなんですか?」
「言ったじゃないか。全ての敵を根絶やしにするまで戦争は終わらないよ」
「……この状況でよくそんなことが言えるものですね」
「まあ、私としても負けたくはないのでね。要するに制海権さえ握っていれば、合衆国は絶対に負けないのだろう?」
「それはそうですが、どうやって瑞鶴を倒すと?」
「こちらも空母をぶつければいいじゃないか」
「ミッドウェイ級ですか? しかしいくら巨大な空母でも、瑞鶴に勝てるとは思えませんが」
「ミッドウェイ級には随分と手を掛けていてね。まあつまり、船魄化することに成功したのだよ」
「何ですと? 全く聞いていないのですが」
「最高機密だからね。ともかく、彼女達ならば、瑞鶴に対抗することも可能な筈だ。瑞鶴さえ沈めれば、後はどうということはない」
「グラーフ・ツェッペリンもいますが」
「瑞鶴を沈められるのなら、グラーフ・ツェッペリンも沈められるだろう。それに、ドイツ海軍はグラーフ・ツェッペリンくらいしかマトモな戦力がない。大した脅威ではないよ」
「そうですか。まあ精々、ミッドウェイ級に期待するとしますよ」
「ああ。きっと勝てる。崇高なる民意が我々の背中を押しているのだから」
アメリカ最大の空母として建造されたものの、東海岸に放置されていたミッドウェイ級航空母艦。その一番艦と二番艦フォレスタル、及び残存全艦艇は瑞鶴を撃沈する為に出撃した。
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