軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~

takahiro

文字の大きさ
539 / 766
第二十六章 南北戦争

民主党政権の発足

しおりを挟む
 最終的に、民主党のテロ攻撃によってワシントン市民六千人が死亡した。ワシントンが大混乱に陥る中、民主党全国委員長トルーマンはアメリカ総督府に入った。

「これほどの人を殺して、我々は正しいのでしょうか……」
「何も心配することはない。民主党員の手によって殺された人間の魂は必ず救済される。救済という徳を積んだ党員もまた、救済されることは間違いない。我々の行動は全て正しいのだ」
「は、はい……!」

 民主主義の狂信者達はトルーマンの言葉を信じきっていた。

 ワシントンを制圧すると、トルーマンは再び全世界に向けて演説を行った。

『ワシントンは私達が奪還しました。独裁者の傀儡として不遜にもアメリカ連邦などと名乗り、アメリカを恐怖で支配する悪魔は、首都から追放されたのです。これはまさに民主主義の勝利であり、自由を求める人民の意志が不滅であることを示したと言えるでしょう。

 私はここに宣言します。ここに、アメリカ合衆国が復活すると! 独裁者によって押し付けられたあらゆる法をことごとく破棄し、アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人の為の合衆国を復活させるのです! そして私は、アメリカ全土に民主主義をもたらすまでの間、第33代アメリカ合衆国大統領を務めささていただきます。この聖戦が終わり次第、大統領選挙を行うと約束します。

 アメリカ合衆国が復活した暁には、白人以外に人権を認めません。黒人は奴隷として生存することのみを許し、黄色人種は追放し、先住民は皆殺しにします。民主主義を理解できない先住民を民主化するには、民主党員が殺すしかないのです。古き良きアメリカを取り戻しましょう!

 全てのアメリカ人に、蜂起を呼び掛けます。民主党と共に、独裁者スプルーアンスを倒しましょう! 恐れることはありません。民主主義に殉じた者には確実な救済が約束されています。全ての都市、全ての州を民主化するまで、民主党が歩みを止めることはないのです!』

 トルーマンはこのように、アメリカ合衆国の復活を宣言した。

 ○

 一九五七年七月二十七日、ドイツ国、大ベルリン大管区ベルリン、ミッテ区新総統官邸。

 民主党はただの狂人の集まりではなく、極めて狡猾に準備を進めていた。民主党はアメリカ連邦が混乱している内に北部諸州を相次いで制圧し『アメリカ合衆国』に組み入れた。予算不足で州軍が大幅に削減されていたことが大きく響いた

 これに対する各国の反応は様々であったが、真っ先に反応したのはイギリスであった。名目上とは言えアメリカ連邦は大英帝国の一部であり、イギリスが侵略を受けたも同然なのだから、当然のことである。エリザベス女王はワシントンが化学兵器による攻撃を受けたと知った時点で、内閣も通さず民主党へ宣戦布告すると公言したのだ。

 この事態を受け、ドイツのゲッベルス大統領は直ちに内閣と軍上層部を総統官邸に招集した。

「ワシントンで使用されたのはサリンでした。アメリカ戦争の混乱に乗じ、民主党が入手していたものかと思われます」

 陸軍のグデーリアン元帥は、ゲッベルス大統領にワシントンの惨状を報告した。

「困ったな。僕達が関わっていると思われるじゃないか」
「はい。実際、アメリカ連邦内部ではそれを疑う者も多いようです」
「そんな意思はないと、スプルーアンス総督と女王陛下に言っておいてくれ」

 ドイツは本当に一切関与していないのである。

「しかし、幾ら現物を手に入れたとは言え、民主党の残骸が化学兵器を大々的に運用することなんてできるのか?」
「背後に何者かがいると考えるのが自然でしょう」

 ザイス=インクヴァルト外務大臣は言った。

「それは誰だ?」
「今のところは不明ですが、日本にもソ連にも、十分な動機はあるように思われます」
「ソ連はともかく、日本がそんなことをするとは思えませんな」

 海軍総司令官デーニッツ国家元帥は、専門外のことながら口を挟んだ。

「日本がアメリカを恨んでいるから、と仰りたいのですか?」

 ザイス=インクヴァルト外務大臣がデーニッツ国家元帥に尋ね返す。

「ええ、その通りです。日本の民主党に対する憎しみは相当なものです。しかも人種差別的なイデオロギーを隠そうともしない連中を、日本が支持するとは思えませんな」

 日本を侵略した悪魔、フランクリン・ルーズベルトは民主党所属であった。それどころかトルーマンは当時の副大統領だ。末期こそトルーマンとルーズベルトは明確に対立していたが、民主党という名前を使っている以上は同じ穴の狢だろう。

「確かに日本の国民感情は民主党に極めて否定的ですが、政府が秘密裏に支援することはできます」
「そんなことをして、もしもバレたら大変なことになるのでは? そこまでの危険を冒してまで、それほど利益のない支援を行うとは思えませんな」
「利益があるかどうかは、現時点で判断しきれるものではありません。しかし、日本よりソ連を疑った方が蓋然性が高いとは、私も思います」

 そもそも民主党は北から現れた。カナダに潜伏していた可能性が極めて高い。人種的なイデオロギーでの衝突も少ないだろうし、誰かが支援しているとしたらソ連なのは、ほぼ確実なのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

対ソ戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。 前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。 未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!? 小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!

防空戦艦大和        太平洋の嵐で舞え

みにみ
歴史・時代
航空主兵論と巨砲主義が対立する1938年。史上最大の46cm主砲と多数の対空火器を併せ持つ戦艦「大和」が建造された。矛盾を抱える艦は、開戦後の航空機による脅威に直面。その真価を問われる時が来る。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

徳川慶勝、黒船を討つ

克全
歴史・時代
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 尾張徳川家(尾張藩)の第14代・第17代当主の徳川慶勝が、美濃高須藩主・松平義建の次男・秀之助ではなく、夭折した長男・源之助が継いでおり、彼が攘夷派の名君となっていた場合の仮想戦記を書いてみました。夭折した兄弟が活躍します。尾張徳川家15代藩主・徳川茂徳、会津藩主・松平容保、桑名藩主・松平定敬、特に会津藩主・松平容保と会津藩士にリベンジしてもらいます。 もしかしたら、消去するかもしれません。

電子の帝国

Flight_kj
歴史・時代
少しだけ電子技術が早く技術が進歩した帝国はどのように戦うか 明治期の工業化が少し早く進展したおかげで、日本の電子技術や精密機械工業は順調に進歩した。世界規模の戦争に巻き込まれた日本は、そんな技術をもとにしてどんな戦いを繰り広げるのか? わずかに早くレーダーやコンピューターなどの電子機器が登場することにより、戦場の様相は大きく変わってゆく。

日本が危機に?第二次日露戦争

歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。 なろう、カクヨムでも連載しています。

処理中です...