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第二十六章 南北戦争
民主党政権の発足
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最終的に、民主党のテロ攻撃によってワシントン市民六千人が死亡した。ワシントンが大混乱に陥る中、民主党全国委員長トルーマンはアメリカ総督府に入った。
「これほどの人を殺して、我々は正しいのでしょうか……」
「何も心配することはない。民主党員の手によって殺された人間の魂は必ず救済される。救済という徳を積んだ党員もまた、救済されることは間違いない。我々の行動は全て正しいのだ」
「は、はい……!」
民主主義の狂信者達はトルーマンの言葉を信じきっていた。
ワシントンを制圧すると、トルーマンは再び全世界に向けて演説を行った。
『ワシントンは私達が奪還しました。独裁者の傀儡として不遜にもアメリカ連邦などと名乗り、アメリカを恐怖で支配する悪魔は、首都から追放されたのです。これはまさに民主主義の勝利であり、自由を求める人民の意志が不滅であることを示したと言えるでしょう。
私はここに宣言します。ここに、アメリカ合衆国が復活すると! 独裁者によって押し付けられたあらゆる法をことごとく破棄し、アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人の為の合衆国を復活させるのです! そして私は、アメリカ全土に民主主義をもたらすまでの間、第33代アメリカ合衆国大統領を務めささていただきます。この聖戦が終わり次第、大統領選挙を行うと約束します。
アメリカ合衆国が復活した暁には、白人以外に人権を認めません。黒人は奴隷として生存することのみを許し、黄色人種は追放し、先住民は皆殺しにします。民主主義を理解できない先住民を民主化するには、民主党員が殺すしかないのです。古き良きアメリカを取り戻しましょう!
全てのアメリカ人に、蜂起を呼び掛けます。民主党と共に、独裁者スプルーアンスを倒しましょう! 恐れることはありません。民主主義に殉じた者には確実な救済が約束されています。全ての都市、全ての州を民主化するまで、民主党が歩みを止めることはないのです!』
トルーマンはこのように、アメリカ合衆国の復活を宣言した。
○
一九五七年七月二十七日、ドイツ国、大ベルリン大管区ベルリン、ミッテ区新総統官邸。
民主党はただの狂人の集まりではなく、極めて狡猾に準備を進めていた。民主党はアメリカ連邦が混乱している内に北部諸州を相次いで制圧し『アメリカ合衆国』に組み入れた。予算不足で州軍が大幅に削減されていたことが大きく響いた
これに対する各国の反応は様々であったが、真っ先に反応したのはイギリスであった。名目上とは言えアメリカ連邦は大英帝国の一部であり、イギリスが侵略を受けたも同然なのだから、当然のことである。エリザベス女王はワシントンが化学兵器による攻撃を受けたと知った時点で、内閣も通さず民主党へ宣戦布告すると公言したのだ。
この事態を受け、ドイツのゲッベルス大統領は直ちに内閣と軍上層部を総統官邸に招集した。
「ワシントンで使用されたのはサリンでした。アメリカ戦争の混乱に乗じ、民主党が入手していたものかと思われます」
陸軍のグデーリアン元帥は、ゲッベルス大統領にワシントンの惨状を報告した。
「困ったな。僕達が関わっていると思われるじゃないか」
「はい。実際、アメリカ連邦内部ではそれを疑う者も多いようです」
「そんな意思はないと、スプルーアンス総督と女王陛下に言っておいてくれ」
ドイツは本当に一切関与していないのである。
「しかし、幾ら現物を手に入れたとは言え、民主党の残骸が化学兵器を大々的に運用することなんてできるのか?」
「背後に何者かがいると考えるのが自然でしょう」
ザイス=インクヴァルト外務大臣は言った。
「それは誰だ?」
「今のところは不明ですが、日本にもソ連にも、十分な動機はあるように思われます」
「ソ連はともかく、日本がそんなことをするとは思えませんな」
海軍総司令官デーニッツ国家元帥は、専門外のことながら口を挟んだ。
「日本がアメリカを恨んでいるから、と仰りたいのですか?」
ザイス=インクヴァルト外務大臣がデーニッツ国家元帥に尋ね返す。
「ええ、その通りです。日本の民主党に対する憎しみは相当なものです。しかも人種差別的なイデオロギーを隠そうともしない連中を、日本が支持するとは思えませんな」
日本を侵略した悪魔、フランクリン・ルーズベルトは民主党所属であった。それどころかトルーマンは当時の副大統領だ。末期こそトルーマンとルーズベルトは明確に対立していたが、民主党という名前を使っている以上は同じ穴の狢だろう。
「確かに日本の国民感情は民主党に極めて否定的ですが、政府が秘密裏に支援することはできます」
「そんなことをして、もしもバレたら大変なことになるのでは? そこまでの危険を冒してまで、それほど利益のない支援を行うとは思えませんな」
「利益があるかどうかは、現時点で判断しきれるものではありません。しかし、日本よりソ連を疑った方が蓋然性が高いとは、私も思います」
そもそも民主党は北から現れた。カナダに潜伏していた可能性が極めて高い。人種的なイデオロギーでの衝突も少ないだろうし、誰かが支援しているとしたらソ連なのは、ほぼ確実なのである。
「これほどの人を殺して、我々は正しいのでしょうか……」
「何も心配することはない。民主党員の手によって殺された人間の魂は必ず救済される。救済という徳を積んだ党員もまた、救済されることは間違いない。我々の行動は全て正しいのだ」
「は、はい……!」
民主主義の狂信者達はトルーマンの言葉を信じきっていた。
ワシントンを制圧すると、トルーマンは再び全世界に向けて演説を行った。
『ワシントンは私達が奪還しました。独裁者の傀儡として不遜にもアメリカ連邦などと名乗り、アメリカを恐怖で支配する悪魔は、首都から追放されたのです。これはまさに民主主義の勝利であり、自由を求める人民の意志が不滅であることを示したと言えるでしょう。
私はここに宣言します。ここに、アメリカ合衆国が復活すると! 独裁者によって押し付けられたあらゆる法をことごとく破棄し、アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人の為の合衆国を復活させるのです! そして私は、アメリカ全土に民主主義をもたらすまでの間、第33代アメリカ合衆国大統領を務めささていただきます。この聖戦が終わり次第、大統領選挙を行うと約束します。
アメリカ合衆国が復活した暁には、白人以外に人権を認めません。黒人は奴隷として生存することのみを許し、黄色人種は追放し、先住民は皆殺しにします。民主主義を理解できない先住民を民主化するには、民主党員が殺すしかないのです。古き良きアメリカを取り戻しましょう!
全てのアメリカ人に、蜂起を呼び掛けます。民主党と共に、独裁者スプルーアンスを倒しましょう! 恐れることはありません。民主主義に殉じた者には確実な救済が約束されています。全ての都市、全ての州を民主化するまで、民主党が歩みを止めることはないのです!』
トルーマンはこのように、アメリカ合衆国の復活を宣言した。
○
一九五七年七月二十七日、ドイツ国、大ベルリン大管区ベルリン、ミッテ区新総統官邸。
民主党はただの狂人の集まりではなく、極めて狡猾に準備を進めていた。民主党はアメリカ連邦が混乱している内に北部諸州を相次いで制圧し『アメリカ合衆国』に組み入れた。予算不足で州軍が大幅に削減されていたことが大きく響いた
これに対する各国の反応は様々であったが、真っ先に反応したのはイギリスであった。名目上とは言えアメリカ連邦は大英帝国の一部であり、イギリスが侵略を受けたも同然なのだから、当然のことである。エリザベス女王はワシントンが化学兵器による攻撃を受けたと知った時点で、内閣も通さず民主党へ宣戦布告すると公言したのだ。
この事態を受け、ドイツのゲッベルス大統領は直ちに内閣と軍上層部を総統官邸に招集した。
「ワシントンで使用されたのはサリンでした。アメリカ戦争の混乱に乗じ、民主党が入手していたものかと思われます」
陸軍のグデーリアン元帥は、ゲッベルス大統領にワシントンの惨状を報告した。
「困ったな。僕達が関わっていると思われるじゃないか」
「はい。実際、アメリカ連邦内部ではそれを疑う者も多いようです」
「そんな意思はないと、スプルーアンス総督と女王陛下に言っておいてくれ」
ドイツは本当に一切関与していないのである。
「しかし、幾ら現物を手に入れたとは言え、民主党の残骸が化学兵器を大々的に運用することなんてできるのか?」
「背後に何者かがいると考えるのが自然でしょう」
ザイス=インクヴァルト外務大臣は言った。
「それは誰だ?」
「今のところは不明ですが、日本にもソ連にも、十分な動機はあるように思われます」
「ソ連はともかく、日本がそんなことをするとは思えませんな」
海軍総司令官デーニッツ国家元帥は、専門外のことながら口を挟んだ。
「日本がアメリカを恨んでいるから、と仰りたいのですか?」
ザイス=インクヴァルト外務大臣がデーニッツ国家元帥に尋ね返す。
「ええ、その通りです。日本の民主党に対する憎しみは相当なものです。しかも人種差別的なイデオロギーを隠そうともしない連中を、日本が支持するとは思えませんな」
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「そんなことをして、もしもバレたら大変なことになるのでは? そこまでの危険を冒してまで、それほど利益のない支援を行うとは思えませんな」
「利益があるかどうかは、現時点で判断しきれるものではありません。しかし、日本よりソ連を疑った方が蓋然性が高いとは、私も思います」
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