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1章
3.放課後。
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放課後。
俺は、そっと教室を逃げ出す。
ここでさっさと帰れば、マジギレモードのルナの説教から逃れる事ができるのだ。
(さて、さっさと帰るか。)
ホームルームが終わった瞬間、鞄を持って教室を後にした俺は、既に自転車置き場まで来ていた。
(よし……あとは校門出ればミッションクリア!とにかく急げ……!)
「よう。ルナちゃん大好き野郎。
瀬川さんと帰らなくていいのかよ?」
パッと顔を上げれば、かなり積極的に俺を揶揄ってきたクラスメートで、俺の前の席に座っている友達・ユウキがニヤニヤとしていた。
「うるせぇどけよ!俺今ルナから逃げてんだって!」
「あ?瀬川さんから?何でだよ。夢の中でも、ルナ待ってぇーって叫んでた奴がよ。」
「あー黙れ黙れ!良いから退いてくれよ!」
「おやおや?良いのかい?そんな乱暴な言葉遣いして。天使キャラが崩壊すんぞ?女子にモテねぇぞ?」
「あ?何だよ天使キャラって?何の話してんだよ?」
「え、知らねぇのかよ。お前、学校中の女子が可愛い可愛いって騒いでんだぞ?」
「えっ。何それ。」
「マジかよ分かっててあんな事してんだと思ってたわ。」
「あんな事?」
「寝言で彼女の名前叫んだり?」
「うっ……。」
「起こされて椅子から落ちたり?」
「なっ……それの何が可愛いってんだ。」
「知るか。そんなの俺が聞きてぇわ。」
「いや、お前がやったって馬鹿扱いされて終わりだろ。」
「だろーな。全く、酷い人種差別だよ。」
「どんまい。」
「うるせぇ。」
「え、てか、可愛いって言われてぇのかよ。褒められてる気がしねぇからな、あれ。」
「いや、別に可愛いって言われてぇわけじゃねぇけど。」
「は?」
「単純にモテたい。」
「いや、もう十分だろ。」
こいつはあたかもモテない男の様な事を言っているが、確か先月は
『告白されているところを前日告白してきた女子に目撃されて修羅場になった』
などと自慢してきた奴だ。
この上更にモテようとするなど、犯罪だ。
裏切りだ!
冒涜だ!
「いやぁ~、まぁまぁ、嫉妬すんなって~。」
「してねぇよ!俺にはちゃんとルナって可愛い彼女が……って……今の忘れろ。」
「へぇ~。そーなんだぁー。リク君には~、ルナちゃんっていう可愛い~彼女がいるんだぁー。」
「ちょっ…マジやめろ。」
俺とルナが付き合っていることは、こいつ以外には秘密だったのだ。
まぁ、だからこそ、今日の寝言でキレていたのだが。
「えぇ?そんな態度で言われてもなぁ~?人に頼みごとするときは~、もっと~、懇願するんじゃない?」
「このっ……ドS野郎!柴田ユウキは変態だって言いふらしてやる……!」
「ふぅーん。別に良いけど、俺も言いふらすからね?そしたらどうなるんだろうねぇ?瀬川さん、美人だから、他の男子のやっかみうけるかもだよ?そしたら瀬川さんにまで被害飛ぶかもねぇ?」
「……っ頼むからやめろ。」
「あれれ?高圧的じゃないかい?」
「っ……お願いだから……やめてください。」
自分の情けなさについつい泣きたくなる。
「よしっ!配布用のムービーゲット!」
「はっ?どういう事だよ。」
「女子達に配るんだよこのムービー。そしたら、ユウキ君、優しい~って、モテるだろ。」
「……もう、勝手にしろよ。」
『っ……お願いだから……やめてください。』
そっと覗き込めば、ちょっと涙目で懇願する俺。
「ちょっ……これは流石にアウト!」
「んふふー。じゃあ言いふらしちゃお♪」
「汚ねぇぞ!」
「どうとでもー!」
「リク。」
澄んだ、可愛くて綺麗な声が、背後からした。
(ま、まさか……。)
「ルナ……?」
「ねぇ……今日の寝言の件だけど、お話したいなぁ?」
(怖い!笑顔で言われた方が怖い!)
「う、うん!も、もちろん!」
後ろでユウキが爆笑する声が聞こえたのは、多分気のせいじゃない。
俺は、そっと教室を逃げ出す。
ここでさっさと帰れば、マジギレモードのルナの説教から逃れる事ができるのだ。
(さて、さっさと帰るか。)
ホームルームが終わった瞬間、鞄を持って教室を後にした俺は、既に自転車置き場まで来ていた。
(よし……あとは校門出ればミッションクリア!とにかく急げ……!)
「よう。ルナちゃん大好き野郎。
瀬川さんと帰らなくていいのかよ?」
パッと顔を上げれば、かなり積極的に俺を揶揄ってきたクラスメートで、俺の前の席に座っている友達・ユウキがニヤニヤとしていた。
「うるせぇどけよ!俺今ルナから逃げてんだって!」
「あ?瀬川さんから?何でだよ。夢の中でも、ルナ待ってぇーって叫んでた奴がよ。」
「あー黙れ黙れ!良いから退いてくれよ!」
「おやおや?良いのかい?そんな乱暴な言葉遣いして。天使キャラが崩壊すんぞ?女子にモテねぇぞ?」
「あ?何だよ天使キャラって?何の話してんだよ?」
「え、知らねぇのかよ。お前、学校中の女子が可愛い可愛いって騒いでんだぞ?」
「えっ。何それ。」
「マジかよ分かっててあんな事してんだと思ってたわ。」
「あんな事?」
「寝言で彼女の名前叫んだり?」
「うっ……。」
「起こされて椅子から落ちたり?」
「なっ……それの何が可愛いってんだ。」
「知るか。そんなの俺が聞きてぇわ。」
「いや、お前がやったって馬鹿扱いされて終わりだろ。」
「だろーな。全く、酷い人種差別だよ。」
「どんまい。」
「うるせぇ。」
「え、てか、可愛いって言われてぇのかよ。褒められてる気がしねぇからな、あれ。」
「いや、別に可愛いって言われてぇわけじゃねぇけど。」
「は?」
「単純にモテたい。」
「いや、もう十分だろ。」
こいつはあたかもモテない男の様な事を言っているが、確か先月は
『告白されているところを前日告白してきた女子に目撃されて修羅場になった』
などと自慢してきた奴だ。
この上更にモテようとするなど、犯罪だ。
裏切りだ!
冒涜だ!
「いやぁ~、まぁまぁ、嫉妬すんなって~。」
「してねぇよ!俺にはちゃんとルナって可愛い彼女が……って……今の忘れろ。」
「へぇ~。そーなんだぁー。リク君には~、ルナちゃんっていう可愛い~彼女がいるんだぁー。」
「ちょっ…マジやめろ。」
俺とルナが付き合っていることは、こいつ以外には秘密だったのだ。
まぁ、だからこそ、今日の寝言でキレていたのだが。
「えぇ?そんな態度で言われてもなぁ~?人に頼みごとするときは~、もっと~、懇願するんじゃない?」
「このっ……ドS野郎!柴田ユウキは変態だって言いふらしてやる……!」
「ふぅーん。別に良いけど、俺も言いふらすからね?そしたらどうなるんだろうねぇ?瀬川さん、美人だから、他の男子のやっかみうけるかもだよ?そしたら瀬川さんにまで被害飛ぶかもねぇ?」
「……っ頼むからやめろ。」
「あれれ?高圧的じゃないかい?」
「っ……お願いだから……やめてください。」
自分の情けなさについつい泣きたくなる。
「よしっ!配布用のムービーゲット!」
「はっ?どういう事だよ。」
「女子達に配るんだよこのムービー。そしたら、ユウキ君、優しい~って、モテるだろ。」
「……もう、勝手にしろよ。」
『っ……お願いだから……やめてください。』
そっと覗き込めば、ちょっと涙目で懇願する俺。
「ちょっ……これは流石にアウト!」
「んふふー。じゃあ言いふらしちゃお♪」
「汚ねぇぞ!」
「どうとでもー!」
「リク。」
澄んだ、可愛くて綺麗な声が、背後からした。
(ま、まさか……。)
「ルナ……?」
「ねぇ……今日の寝言の件だけど、お話したいなぁ?」
(怖い!笑顔で言われた方が怖い!)
「う、うん!も、もちろん!」
後ろでユウキが爆笑する声が聞こえたのは、多分気のせいじゃない。
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