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海辺のクルミ
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私はクルミと並んで、ベンチに座り海を眺めて、食事をした。彼女が、修道院の台所でさっと作ったサンドイッチだ。
「美味しいね!」
「切って挟んだだけだけどね。でも、材料にこだわってるんだよ! もちろん、ソースもね!」
彼女は、きっと私のことを知っていてシンパシーを感じていたのだろう。
海に浮かぶ帆船が、風を受けて、ゆっくりと移動しているのが見える。
「良いなぁ、乗ってみたい!」
私は、ふと呟いた。気持ちよさそうな風を受けてら
「じゃあ、乗る? マリスフィア侯爵領の侯都セーヴァスに遊びに行こうよ!」
西の侯爵家、マリスフィアは、王国の海軍であり、セーヴァスは、大陸一の港を持っている。
まずい、これは罠だ。
「ははは、私、船酔いするんだった」
「大丈夫よ! 海の穏やかな日を選ぶわ。それに、マリスフィアの船は揺れないし、船乗りは優秀よ!」
「そうね、機会があったら……」
そう答えるしか、私には逃げ道が無かった。
「それじゃあ、旅行の計画を立てないとね。リリカは、学校に、バイトに忙しいから」
クルミが、手帳を開いて、予定を確認してくる。
※
「明日は、バイトに来ない方がいいわ。まだ、騒がしいと思うから! でも好きにしていいわよ!」
「クルミはどうするの?」
「もちろん、お休みよ。風邪を引いたみたい」
トラブル警報出てるのに、私一人、突っ込んでいくのは、遠慮したい。
「私、やることを思い出したから、明日は休みます」
「それがいいわ」
クルミは、頷いた。
「一つ、聞いて良いですか? なぜ、そこまで暴れるんですか?」
「失礼ね……。リリカだから教えるわ。私が誰か覚えてる?」
「マリスフィア侯爵家の娘」
「不正解よ。養女よ。父さんが亡くなった今、私は奴らに売りに出されているの。マリスフィアと関係を持ちたい国家や貴族たちにね」
ああ、そういうことか。こんな女を嫁にしたら、大変なことになるぞと、知らしめたいのか……。
「でも、ドノバン様なら嫁いでもいいわ」
「へぇ、あんなのが……」
「いらないなら、私、求婚しようかしら……」
私は胸がちくりと痛んだ。
「冗談よ」
「なあんだ……」
なぜか安心した私がいた。
理由。まあ、私もドノバンの友人だしねー。こんな嵐呼ぶ女が妻とは可哀想だからね……。
※
「じゃあ、送っていくわ」
夜になり、クルミが、修道院を出ようとした時、一台の馬車が、修道院の入り口に停まった。
噂をすれば、ドノバンかと思ったが、セバスだった。ノクスフォード家の家紋の入っている馬車だ。
「残念!」
クルミは笑って言った。
「それじゃあ、またね」
このノクスフォード家の馬車は、例の霊柩車を改造したものだ。いつのまにか光輝くことは無くなってしまった。
だが、スサノオの木は、恐るべき魔力を含んだ丈夫な木だ。
「この木は生きている。スサノオがリリカに与えたものだ。だから、好きに切れるし、形も変えれる。そして、他のものからリリカを守るんだよ」
霊柩車をどうしようかと悩んでいて、ティアに相談した時、そう言われたのだ。
私は、その話を聞いてから、この馬車に乗る時、話しかけるようにしている。
まあ、何も反応は無いのだが。
「ねえ、セバス。マリスフィア侯爵って誰に殺されたの?」
「……。真の犯人はわからないのです。その件でガンツたちが逃亡するしか無くなったのは知ってますよね?」
「ええ……」さっき、クルミが話していた。
「誰かに恨まれていたのかしら?」
「いえ」
マリスフィア侯爵が、殺されたトンネルを通る。
「どうやって襲ったのかしら?」
「時限爆弾とトンネルの両側から、大量のら魔術を撃ち込まれたらしいです。ですから、死体はとても無惨で……」
「そうか……」
クルミが祈っていたのを思い出して、私も祈りを捧げた。
※
私が、屋敷に帰ると、そこには、『ナクサ商会連合』の社員が勢揃いしていた。
「ねえ、何かあったかしら?」 私は用事を忘れてみんなを待たせてしまったのだろうか?
「いや、みんな駆けつけたんだよ!」ガンツが、全員の顔を見回して言った。
全員、笑顔で頷いた。
「リリカ様の活躍は、王都中の噂になってますよ!」
どこかで、ナイルが聞きつけて、みんなに教えたのだろう。
「つまり、お仕事の成功のお祝いですよぉ!」
エマの説明では簡潔すぎてわからない。話を端折りすぎだ。
嫌な予感しかしないし、珍しく、そしてなぜかいる能天気なドノバンが難しい顔をしている。
「じゃあ、これから少しだけ、第三回ナクサ商会連合の役員会をします。一般社員は、パーティの準備をして下さいね!」
私が、指示を出すと、「そう言うと思いましたよ」とばかりに移動を始めた。
すでに、料理の買い出しも終わっているらしい。
「遅くなりました」ネイサン司祭とトモオが到着した。
え? きっと、この手筈はセバスチャンだな。
「それじゃ、会議を簡単に終わらせるわ」
屋敷の大会議室に主要メンバーが揃ったところで、質問をする。
「それで、どんな噂なの、ナイル?」
「今日朝、リリカ様が商会を一つぶっ潰した。商会長は、逆さ吊りからの生き埋めにされて、従業員は、恐るべき尋問を受けたと」
「はぁ……」
やられた。犯人は女狐だ。クルミだ。
私は、大声で叫びそうになるのを我慢した。
「美味しいね!」
「切って挟んだだけだけどね。でも、材料にこだわってるんだよ! もちろん、ソースもね!」
彼女は、きっと私のことを知っていてシンパシーを感じていたのだろう。
海に浮かぶ帆船が、風を受けて、ゆっくりと移動しているのが見える。
「良いなぁ、乗ってみたい!」
私は、ふと呟いた。気持ちよさそうな風を受けてら
「じゃあ、乗る? マリスフィア侯爵領の侯都セーヴァスに遊びに行こうよ!」
西の侯爵家、マリスフィアは、王国の海軍であり、セーヴァスは、大陸一の港を持っている。
まずい、これは罠だ。
「ははは、私、船酔いするんだった」
「大丈夫よ! 海の穏やかな日を選ぶわ。それに、マリスフィアの船は揺れないし、船乗りは優秀よ!」
「そうね、機会があったら……」
そう答えるしか、私には逃げ道が無かった。
「それじゃあ、旅行の計画を立てないとね。リリカは、学校に、バイトに忙しいから」
クルミが、手帳を開いて、予定を確認してくる。
※
「明日は、バイトに来ない方がいいわ。まだ、騒がしいと思うから! でも好きにしていいわよ!」
「クルミはどうするの?」
「もちろん、お休みよ。風邪を引いたみたい」
トラブル警報出てるのに、私一人、突っ込んでいくのは、遠慮したい。
「私、やることを思い出したから、明日は休みます」
「それがいいわ」
クルミは、頷いた。
「一つ、聞いて良いですか? なぜ、そこまで暴れるんですか?」
「失礼ね……。リリカだから教えるわ。私が誰か覚えてる?」
「マリスフィア侯爵家の娘」
「不正解よ。養女よ。父さんが亡くなった今、私は奴らに売りに出されているの。マリスフィアと関係を持ちたい国家や貴族たちにね」
ああ、そういうことか。こんな女を嫁にしたら、大変なことになるぞと、知らしめたいのか……。
「でも、ドノバン様なら嫁いでもいいわ」
「へぇ、あんなのが……」
「いらないなら、私、求婚しようかしら……」
私は胸がちくりと痛んだ。
「冗談よ」
「なあんだ……」
なぜか安心した私がいた。
理由。まあ、私もドノバンの友人だしねー。こんな嵐呼ぶ女が妻とは可哀想だからね……。
※
「じゃあ、送っていくわ」
夜になり、クルミが、修道院を出ようとした時、一台の馬車が、修道院の入り口に停まった。
噂をすれば、ドノバンかと思ったが、セバスだった。ノクスフォード家の家紋の入っている馬車だ。
「残念!」
クルミは笑って言った。
「それじゃあ、またね」
このノクスフォード家の馬車は、例の霊柩車を改造したものだ。いつのまにか光輝くことは無くなってしまった。
だが、スサノオの木は、恐るべき魔力を含んだ丈夫な木だ。
「この木は生きている。スサノオがリリカに与えたものだ。だから、好きに切れるし、形も変えれる。そして、他のものからリリカを守るんだよ」
霊柩車をどうしようかと悩んでいて、ティアに相談した時、そう言われたのだ。
私は、その話を聞いてから、この馬車に乗る時、話しかけるようにしている。
まあ、何も反応は無いのだが。
「ねえ、セバス。マリスフィア侯爵って誰に殺されたの?」
「……。真の犯人はわからないのです。その件でガンツたちが逃亡するしか無くなったのは知ってますよね?」
「ええ……」さっき、クルミが話していた。
「誰かに恨まれていたのかしら?」
「いえ」
マリスフィア侯爵が、殺されたトンネルを通る。
「どうやって襲ったのかしら?」
「時限爆弾とトンネルの両側から、大量のら魔術を撃ち込まれたらしいです。ですから、死体はとても無惨で……」
「そうか……」
クルミが祈っていたのを思い出して、私も祈りを捧げた。
※
私が、屋敷に帰ると、そこには、『ナクサ商会連合』の社員が勢揃いしていた。
「ねえ、何かあったかしら?」 私は用事を忘れてみんなを待たせてしまったのだろうか?
「いや、みんな駆けつけたんだよ!」ガンツが、全員の顔を見回して言った。
全員、笑顔で頷いた。
「リリカ様の活躍は、王都中の噂になってますよ!」
どこかで、ナイルが聞きつけて、みんなに教えたのだろう。
「つまり、お仕事の成功のお祝いですよぉ!」
エマの説明では簡潔すぎてわからない。話を端折りすぎだ。
嫌な予感しかしないし、珍しく、そしてなぜかいる能天気なドノバンが難しい顔をしている。
「じゃあ、これから少しだけ、第三回ナクサ商会連合の役員会をします。一般社員は、パーティの準備をして下さいね!」
私が、指示を出すと、「そう言うと思いましたよ」とばかりに移動を始めた。
すでに、料理の買い出しも終わっているらしい。
「遅くなりました」ネイサン司祭とトモオが到着した。
え? きっと、この手筈はセバスチャンだな。
「それじゃ、会議を簡単に終わらせるわ」
屋敷の大会議室に主要メンバーが揃ったところで、質問をする。
「それで、どんな噂なの、ナイル?」
「今日朝、リリカ様が商会を一つぶっ潰した。商会長は、逆さ吊りからの生き埋めにされて、従業員は、恐るべき尋問を受けたと」
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