ステータス表記を変えて貰ったら初期設定に戻ってたー女神公認のハーレム漫遊記ー

ささやん

文字の大きさ
63 / 80
5章 表舞台へ、静かに階段を上る

59話 可愛い後輩がちょっと怖いと感じる男

しおりを挟む
「おっはよ――! 朝だよ、シーナ先輩!!」
「ほへぇ?」

 いきなり元気はつらつな甲高い声に慌てて上半身を起こした俺は寝ぼけ眼で辺りをキョロキョロと見渡す。

 同じように飛び起きたターニャとパメラも驚いて上半身を起こしたが、すぐに縮こまるようにして胸元をシーツで隠そうとしたせいで、朝から元気な俺の息子が『おはよう』と飛び出した。

 おい、待て、なんか分からんけどシーツを持って行かないで!

 慌てて手で隠そうとするが隠しきれずに中腰になって前を見るとマロン達がおり、輝かんばかりの笑みを浮かべたピンクのお団子頭のマロンが俺の首に跳び付いて抱きつく。

 ターニャ達も突撃してきたのがマロン達と分かると露骨に安堵の溜息を吐き、肩から力を抜いて、呆れたような顔を浮かべる。

「ねっねっ、早朝訓練しよ!」

 俺の頬にスリスリと頬ずりするマロンから視線をずらして窓の外の暗がりを見て、まだ深夜から朝に切り替わるかという時間帯と知り、げんなりした想いを隠さずに告げる。

「早朝訓練って言っても早過ぎだろ……もう少し寝かせてくれよ」
「ええ、そうでしょうね? 昨日もお楽しみだったようですし、ターニャさんとパメラさんは、エッチ好きなシーナ先輩に付き合ってしてるって言ってませんでしたっけ? 毎日はしたいと思ってないと言ってたと思いましたけど、『オッパイ触って……意地悪しないでぇ』ってオネダリされてましたけど?」
「い、言ってない、そんな事っ!!」

 金髪のポニーテールの髪が首で振って後ろに流したレティアがネコのような目を細めてパメラのオッパイを指差して「手跡が付いてますよ?」と言われてパメラは耳まで真っ赤にしてシーツの中に潜りこむ。

 な、なんだと……アイツ等、また盗み聞きを始めたのか……

 えっ? って言うか、毎晩、部屋に入って3人になると15分もゆっくりさせて貰えずに押し倒されてるの俺なんですが……

 確かにパメラは2~3回目ぐらいまでは、若干消極的なところがあったがそれもすぐに開き直ったのか、「あれ? 俺、もしかしてレ○プされてねぇ?」って思えるぐらいな日々なんですが……

 ターニャは、最初からスイッチが入ってたから、消極的な期間がなかったはずなんだが……

 お酒でも休肝日があるし、残業もノー残業デーというのもある。今度、エッチしない日を提案してみようか……なんか浮気を疑われる前に凄まじく機嫌が悪くなりそうな気がする……

 ターニャとパメラにそうしても、ラフィ達に襲われるから結局は意味がなさそうだな。
 一時は取得して後悔したけど、あって良かった『精力増大』だな。

 なかったら死んでるね、ハーレムは本来、夢で終わらせとくべき案件。

 パメラがやり込められているのを見て、ウワァと思ってそうな顔をしているターニャにキャウが年不相応な胸を揺らして詰め寄る。

「ターニャさんは~私達の前では~先輩にキツくあたりますがぁ~見えない所では~『ダ~メ、もっと可愛がってくれないと』と言って~」

 キャウは耳元にかかっているボブカットの黒髪を耳裏に掻き上げるようにして押さえながら空いてる片手を輪っかにするようにして大きく開けた口許で激しく上下させる。

 その隣で白髪の少女、スイが紅い瞳を半眼にし、じゅっじゅ じゅるるぅ と擬音を鳴らす。

「などと大きな音を鳴らしたり~、『シーナ、ウチをギュしてぇぇ!』と……ターニャさんって甘えん坊なんですね?」

 キャウにそう言われるとターニャもシーツの中に逃亡した。

 追い詰めたターニャにスイとエルが囁くように何かを話しかけていた。

 な、何事だぁ!? パメラはともかく、あのターニャを反論させずに引っ込めただと……嫁会議がどうのこうのって言ってるけど何の事だ?

 ここのところ、マロン達の行動が読めなくなったというか分からない。

 多分、ワイバーン騒動の後から5人の俺に対する態度が露骨になった。変わったというより強化されたというのが正しい気がする。

 マロンとエルは元々から強くなる実感が付き始めてからは、素直に俺の指導は受けていた。だが、あれ以降はベッタリ指導を受けたがるようになり、凄く距離感が近く、纏わりつくようになった。

 しかも、あの基本、俺の言う事を聞かないマロンはある意味、絶対服従レベルでイエスガールだ。

 ホッペをグニグニして変顔にしても嬉しそうにするマロンに、「今は怒っていいとこだぞ?」と俺が言うぐらいにおかしい。

 レティアはやたらと俺に世話を焼くようになった。

 例えば、コップの水が無くなったと思えば、何も言わずとも、お代わりが注がれ「自分の水を入れるついでなんだから!」とキレ気味で良く言われる。
 俺は、嫌われてるのかと考える事もあったが、視線を感じて振り返ると良くそこにはレティアがいたりする事が多い。

 距離感が近い。

 逆に今まで距離感が近かったスイとキャウが俺を前にすると微妙な違いだが、半歩ほど距離を開けてモジモジする事が多くなった。

 これらに気付いた当初は、こ、これはデレ期か! と想い、ずっと胸に秘めて諦めてなかった言葉を吐き出した。

「お兄ちゃんと呼んで?」
「「「「絶対に嫌だぁぁ!!」」」」

 前回とは明らかに比にならない拒絶に俺はビビらされた。何せ、キツイ物言いを一番しなさそうなエルですら「えっと、ボクも嫌かな~」と眉を寄せながら言われるレベルだ。

 その日の晩、枕で涙で濡らした……かったけど、ターニャとパメラに阻止されたけどな。

 それをターニャ達に相談したら、ワイバーンの騒動の時に顔を見られてしまったんじゃないか? と言われて確かに英雄に憧れていた特にマロンとレティアであれば変化があるかもと俺も思ったので素直に聞き取り調査をした。

 だが、5人共、口を揃えて「西日で顔は分からなかった」と証言した。

 もうちょっと突っ込んで聞いた方が良かったのかもしれないが、聞き過ぎて勘繰られても困ったので追及はそこまでにするしかなかったんよね。

 考え込む俺の腕をマロンが引っ張って外へと連れ出そうとする。

「さっさ、早朝訓練しよ? 時間が惜しいし!」
「ま、待て、引っ張るな、ガードが甘くなる!」
「シーナ先輩、ボク、男の人の初めて見ました……なんというか……凄いですね?」

 栗色の髪を短く刈っている一見すると女顔の美少年にも見えるが、既に女性としてのプロポーションと胸を張れる領域にまで育っているエルが興味津々に俺のマイサンを見つめる。

「本気で待って……」

 俺は寝室の真ん中で、『おぱんつをはかせてください』と叫んだ。



 早朝訓練が終わり、マロン達が薬草採取に出かけるのを見送った俺はポーション作りに勤しんでいた。

 ゴブリン神の時に減ったポーションの在庫をなんとか補填出来たかな? というところでワイバーン騒動が起きてしまい、また枯渇したので俺も大忙しだ。

 傷んでしまったのは建物だけでなく、人もだという事、まあ、当然な話である。

 何故か分からないがワイバーン達は基本、建物を潰すのに注意がいっており、直接、人を襲うという事は少なかったようだ。

 おそらくではあるが、王国軍がワイバーンの住処に攻撃してきたが、弱過ぎてワイバーンに害を為す事が出来なかったが、住処を襲われたから人間の住処である街の建物を潰せ……勿論、根拠はない。そうかもな? と俺が勝手に思っているだけだけどな。

 俺は辺りを見渡す。

 ワイバーン騒動直前に完成したスラムの子達に提供した寮や、醤油や味噌、酒の蔵は無事だ。

 ワイバーンの襲撃はあったそうだが、結界で弾かれて無事だったそうだ。(ラフィ談)

 そうそう、ルイーダさんから朗報というか、楽しみな報告が届いた。

 遂に、醤油の試作に入ったそうだ。

 まずは失敗ありきでやるそうなんで少量から試すそうだが、是非、成功して欲しい。

 残念ながら俺は元の世界で醤油の作り方なんて気にした事がないからルイーダさん頼り……最悪はルイーダさんの故郷に行って製造方法を取得って面倒そうな事をしなくちゃならんかもしれない。

 でも、酒はともかく醤油と味噌は多分、大丈夫って言ってたからそこまで心配はしてない。

 こうして調味料が増えてくるとアレが食べたくなる。

 卵料理だ。

 卵焼きは俺の基本は塩味だから、現状でも問題はない。だが、醤油と卵……分かるだろ? アレだ、TKG(古いか?)卵かけご飯だぁぁ!

 朝に是非食べたい……とはいえ、実は卵も結構良い値段がしたりする。

 毎朝のお供にしたいレベルだが、懐具合の問題ではなく、贅沢は敵だというターニャがきっと許してくれない。

 養鶏にも手を出すしかないか……

 やりたい事が無限大な俺であった。

 などと色々とやりたい事を考えているが、あれだけ広大だと思ってた土地をほとんどフルに使ってしまっていた。

 実は、急に人手が増えて一気に畑などの準備や世話が一気に進んで余裕というかすべき事を捜すような事になっていた。
 そのおかげでルイーダさんが醤油の試作に取りかかれた訳だが……

 ワイバーン騒動のせいで職を失った、再構築中で手は空いてるが資金に乏しい人々、特に雇って貰ってた場所を失った子供達が「農場で雇って欲しい」と駆けこんできていた。

 勿論、子供達は特にだが、追い払うような事が出来ずに受け入れた訳だが正直芳しくはない。

 仕事にたいして人が多くなってしまった事もあるが、働く人達の給料、食費が馬鹿にならない。

 勿論、それをカバー出来るぐらいには稼いではいたが、今はこないだのワイバーン騒動のせいか、近くにモンスターが寄り付かなくなり稼げない。

 しかも、農場を広げようとする金を用立てようとするなら更に頭が痛い。

 それらをクリアさせる術はなくはないんだけどな……

 何故なら、俺のポシェットに入っている素材の山を売り払えばいい。

 前回のワイバーン騒動、更にその前のゴブリン神の素材が手付かずに保存されている。これを売り払えば土地問題も当面の稼ぎも心配ないのは間違いないはず。

 しかし、下手に放出したら問題ありそうな気しかしないんだよな……

 はぁ……このままだと手詰まりになるのも見えてるし。

 俺はポーションの製作道具をテキパキと片付け終えると近くを通りかかったラフィ達3人に出かける事を告げてプリットの城門を目指して歩き始めた。

「なるべく口が堅そうなあそこで相談してみるか」

 成るようになるだろう、と楽観的に考えた俺だが、この安易な行動が事態を動かす事をこの時の俺はまだ知るよしもなかった。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...