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プロローグ: 因習村の狐神
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カラッと晴れた秋空の中、俺は昔馴染みの依頼者で、探偵業を営んでいる阿久津に呼び出され、まだ残暑が残る舗装された道を歩いていた。
この男とは、お互い軍を辞めてからも繋がりがあり、時々俺に仕事を振ってはコキ使い、俺は日銭を稼ぐ為に頭が上がらないという関係性にあった。
あいつの依頼はいつもいきなりだし、ろくでもないものが多い。
だが、片眼をやってしまった俺にとっては仕事を見つける事すらままならないから文句は言えなかった。
重たい気分になりながらも、俺は塗装の剥げた鉄の階段を登り、重い扉を叩いた。
中から声がすると、見慣れぬ黒髪の中性的な顔立ちの青年が俺を出迎えた。
そして、奥へ通されると、冷えた茶を出して彼は音もなく去って行った。
「よく来たね、宗太郎。相変わらず筋肉だけは立派だ」
くるりと重厚な椅子を回転させこちらににこやかに話しかけてくるのは、この探偵事務所の所長の阿久津だ。俺の元同期でもあり、現役時代から食えないやつだった。
「やかましい。俺は最近郵便受けにお前の名を見つけると自慢の筋肉も縮みあがっちまう。それより、見ない顔の別嬪さんだな。また何か頭を突っ込みでもしたのか?」
俺は入り口の男を見やる。
「まさか。最近じゃあウチも忙しくなり始めてね、秘書を雇ったんだ。まだ見習い中だから色々と大目に見てくれ」
これが、こいつからのそれ以上は詮索するなの意味だという事は、流石の俺でも分からないではなかった。
「それで、早速だけど、君に依頼したい仕事があるんだ。どうせ暇を持て余していたんだろう?」
「悪いが俺だって暇じゃあねぇんだぜ?最近じゃ農家の手伝いをしていてな、そろそろ稲やら根菜やらの準備で忙しくなるんだ」
俺はムッとしながら答えた。毎度の事ながら、阿久津の失礼な物言いに辟易していたのだ。
「東京憲兵隊からの依頼だ。兵役逃れが、村ぐるみで行われている疑いがらしくてね。その調査を君に手伝って欲しい」
阿久津は俺の言葉を無視して依頼の説明を始めた。
日本男児は、国の義務で徴兵を受けなければならない。
20歳になると徴兵検査を受け、結果に応じて「甲・乙・丙・丁・戊」の5段階にわけられる。
そのうち、「甲」と「乙」は心身とも問題なし、「丙」と「丁」は要検討、「戊」は入隊には不可という判定である。
兵役逃れは犯罪となり、少なくとも3年以上の刑に処されるのだ。
特例で金持ちのボンボンだったり、一家の跡継ぎの長男なんかは免除になる事もある。
だがこの村では跡取り長男と幼子を残し、ある日突然、村から20歳前後の男子達が忽然と消えたというのだ。
「妙な話だろう?村のご婦人方が地元警察へ連絡してきたそうでね、朝起きたらうちの子が居ないと言うんだ。これはきっと、狐神様がお隠しになったに違いないって」
時折兵役逃れの為に、遠い親戚宅へ養子縁組をしたり、わざと大病に罹るように仕向けたりなどは聞いた事があるが……。
阿久津が話を続けた。
「どうやら、その村には昔から深く信仰される狐の土地神がいるらしくてね。それが関係しているみたいなんだ」
想定外の言葉に俺は顔をしかめる。
近代化のこの時代、今時神だの仏だの、この街じゃあ笑われちまう。
だが都心を一歩出れば未だに排他的な村ばかりだ。
そんなところからもお国は若者を引っ張ってくるつもりなのかと嫌な気分になった。
「土地神と言われても、そんなもん俺の管轄外だぜ?」
阿久津は笑顔とも呆れとも言える表情で俺を一瞥した後、奥の秘書に「彼をお呼びして」と声をかけた。
数刻後に現れたのは、畑仕事などした事もないような青白い顔にきちんと爪が整えられた、洋装の男だった。
どことなく異国風な顔立ちで、髪の色が明るい。瞳の色もよく見ると青みを帯びており、澄んだビードロのようだった。
「彼は八雲仁さん。東京の大学で民俗学の研究をしていて、特に日本の地域信仰について知識が深いお方だ。仁さん、彼は池内宗太郎と言って私の元同期でしてね。筋肉だけが取り柄の男だ。好きに使ってやってください」
仁は俺の方を見ると、軽く会釈をした。
「待て待て。話が見えないんだが。筋肉だけが取り柄の俺にも分かるように説明してくれ」
「仁さんとバディを組んで狐隠村(こがくれむら)へ潜入するのが君への依頼だよ。バディというか、夫婦になってもらいたいんだ。当然の事だけれど、仮初めだから仁さんを襲うなんて事するなよ」
「はぁ?夫婦だあ?」
すると、仁が阿久津に目配せをし、古びた絵巻を机に置いた。
そこには人型になった狐が村に現れた絵、畑を眺める絵等、村の繁栄に関する様々な事象が描かれていた。
仁は淡々と、これが村の狐神による信仰に関する歴史を表したものだと説明した。
そして最後に……。
「なんだぁ?この春画は」
村の男と睦み合う狐神の絵が描かれている。
お狐様は人間と交わり子を成す事で村の繁栄を約束していたという。
「あの村の信仰神の性別は男型の狐だと言われています。そして、過去の文献を見るに、同性の男と添い遂げたという記録があり、それがこの絵です。こういったものは、基本的に史実に偶像を加え描かれている事が多いのですが……」
「それが何だってアンタと夫婦っつう話になってんだ?」
今度は阿久津が答えた。
「事前調査をしたところ、あの村、特にご年配の長老なんかは本気で狐様を信じて止まないみたいでね、幼い頃に実際見た事がある、その時は収穫量も増えただの言っていたらしい」
「京都の伏見稲荷なんかは五穀豊穣の神様と言われていますからね。お狐神は、村で身籠もった後、子を産まずあの集落を去りました。私は見た目がこんなですから、方々に産み落とされたお狐様の子孫のふりをして潜入するつもりでいます。ただ、信仰が深い村ですから、何をされるか分かったものではありません。だからあなたにはボディガードをお願いしたいと思い、阿久津さんに相談したのです」
「神の子が番を連れて帰ってきたと思わせた方が後々楽なんだ。手数も増やせるしな」
「警察に助けを求めたんだろ?素直に村の調査をさせてくれと頼めば良いだろ」
「それができないからこうして作戦を立てているんだ」
「はい、地方の外部から切り離された村は高齢化が進み、文明開化を未だ受け入れる事ができないのです。歳を取れば取るほどに」
「要するに、厄介な頑固ジジイがいるから、そいつを騙くらかす為にこんな事するってのか?……俺に拒否権はあるんだろうな?」
俺の言葉に、仁は不安そうな顔で阿久津へ視線を向けた。
当の阿久津はというと、涼しい顔をしてあっけらかんと答えた。
「君は断らないはずだ。憲兵へ怪我のせいで成せなかった恩を売ることができるんだ。それとも、本気で農家を目指したいと言うのならば何も言わないけれど」
俺は阿久津の言葉を否定する事が出来なかった。
俺の目は、名誉の負傷者という訳ではない。
ある日高熱を出し、そのまま見えなくなった。それだけである。
軍人として、武家として、功績を得ぬまま生涯を終えると思っていた。
それをこの男が、一世一代の機会を運んで来たのだ。
「相変わらず、食えない男だ。いつか刺されるぞ。今晩からは背後に気をつけるんだな、阿久津」
「依頼を受けてくれて助かるよ。ああ、そうだ」
阿久津はにこやかにパチンと手を叩いた。
「君達は"夫婦"なんだ。これから潜入までの間、お互い親睦を深めるといい。因習村はめざといんだ」
「そんなもん、必要ないだろ。設定だけ教えてくれればその通りにする」
阿久津は今度はやれやれと言った態度を取った。いつもの事ながら鼻につく態度に苛立ちを隠しきれない。
「君に演技の期待はしていないよ。それに、君達は夜毎"コレ"をしている関係なんだよ。ぎこちないとすぐバレるぞ」
阿久津はトントンと先程の春画を指差した。
途端に仁がボッと顔を赤くする。
「そりゃあ……まあ……確かにそうなんだが」
次の依頼者が来るからと、俺と仁は事務所を早々に追い出された。
儲かっているみたいで結構な事だ。
「アンタ、家はこの近くなのか?」
二人して帰路につく途中、無言になる気まずさを避ける為、俺は仁に大して意味をなさない問いかけをした。
すると、仁はビュンと音が鳴りそうな程の速さでコチラを振り返った。
その姿はさながら、餌を漁っていた所に人間に見つかった小動物のようであった。
依頼が依頼だ。
俺がそのままこの男の家に上がり込み、押し倒すとでも思ったのか。
悪いが俺にはそんな趣味はない。
「そう怯えないでくれ、学者先生。単なる世間話だよ。何も取って食おうなんて思っちゃいないさ」
「……怯えている訳ではありません」
そう言いながらも、仁は肩にかけた斜めがけ鞄の紐をソワソワといじっている。
「そうかい、そりゃ良かった。なんたって俺たちは"バディ"なんだからな」
正直なところ、不安材料の方が多い。
この男が上手く神のふりをできるとは思えないし、あまりに楽観的すぎる。
もし村人達を逆上させ、襲われでもしたら。
俺一人ならまだしも、仁を庇って逃げ切れるかどうか。
「あの、私の部屋へ来ませんか?」
唐突な仁の言葉に思わずつんのめって転びそうになる。
「いやいや、何でだ!そんな流れじゃなかっただろう」
「……夫婦の練習をしませんか?」
この男とは、お互い軍を辞めてからも繋がりがあり、時々俺に仕事を振ってはコキ使い、俺は日銭を稼ぐ為に頭が上がらないという関係性にあった。
あいつの依頼はいつもいきなりだし、ろくでもないものが多い。
だが、片眼をやってしまった俺にとっては仕事を見つける事すらままならないから文句は言えなかった。
重たい気分になりながらも、俺は塗装の剥げた鉄の階段を登り、重い扉を叩いた。
中から声がすると、見慣れぬ黒髪の中性的な顔立ちの青年が俺を出迎えた。
そして、奥へ通されると、冷えた茶を出して彼は音もなく去って行った。
「よく来たね、宗太郎。相変わらず筋肉だけは立派だ」
くるりと重厚な椅子を回転させこちらににこやかに話しかけてくるのは、この探偵事務所の所長の阿久津だ。俺の元同期でもあり、現役時代から食えないやつだった。
「やかましい。俺は最近郵便受けにお前の名を見つけると自慢の筋肉も縮みあがっちまう。それより、見ない顔の別嬪さんだな。また何か頭を突っ込みでもしたのか?」
俺は入り口の男を見やる。
「まさか。最近じゃあウチも忙しくなり始めてね、秘書を雇ったんだ。まだ見習い中だから色々と大目に見てくれ」
これが、こいつからのそれ以上は詮索するなの意味だという事は、流石の俺でも分からないではなかった。
「それで、早速だけど、君に依頼したい仕事があるんだ。どうせ暇を持て余していたんだろう?」
「悪いが俺だって暇じゃあねぇんだぜ?最近じゃ農家の手伝いをしていてな、そろそろ稲やら根菜やらの準備で忙しくなるんだ」
俺はムッとしながら答えた。毎度の事ながら、阿久津の失礼な物言いに辟易していたのだ。
「東京憲兵隊からの依頼だ。兵役逃れが、村ぐるみで行われている疑いがらしくてね。その調査を君に手伝って欲しい」
阿久津は俺の言葉を無視して依頼の説明を始めた。
日本男児は、国の義務で徴兵を受けなければならない。
20歳になると徴兵検査を受け、結果に応じて「甲・乙・丙・丁・戊」の5段階にわけられる。
そのうち、「甲」と「乙」は心身とも問題なし、「丙」と「丁」は要検討、「戊」は入隊には不可という判定である。
兵役逃れは犯罪となり、少なくとも3年以上の刑に処されるのだ。
特例で金持ちのボンボンだったり、一家の跡継ぎの長男なんかは免除になる事もある。
だがこの村では跡取り長男と幼子を残し、ある日突然、村から20歳前後の男子達が忽然と消えたというのだ。
「妙な話だろう?村のご婦人方が地元警察へ連絡してきたそうでね、朝起きたらうちの子が居ないと言うんだ。これはきっと、狐神様がお隠しになったに違いないって」
時折兵役逃れの為に、遠い親戚宅へ養子縁組をしたり、わざと大病に罹るように仕向けたりなどは聞いた事があるが……。
阿久津が話を続けた。
「どうやら、その村には昔から深く信仰される狐の土地神がいるらしくてね。それが関係しているみたいなんだ」
想定外の言葉に俺は顔をしかめる。
近代化のこの時代、今時神だの仏だの、この街じゃあ笑われちまう。
だが都心を一歩出れば未だに排他的な村ばかりだ。
そんなところからもお国は若者を引っ張ってくるつもりなのかと嫌な気分になった。
「土地神と言われても、そんなもん俺の管轄外だぜ?」
阿久津は笑顔とも呆れとも言える表情で俺を一瞥した後、奥の秘書に「彼をお呼びして」と声をかけた。
数刻後に現れたのは、畑仕事などした事もないような青白い顔にきちんと爪が整えられた、洋装の男だった。
どことなく異国風な顔立ちで、髪の色が明るい。瞳の色もよく見ると青みを帯びており、澄んだビードロのようだった。
「彼は八雲仁さん。東京の大学で民俗学の研究をしていて、特に日本の地域信仰について知識が深いお方だ。仁さん、彼は池内宗太郎と言って私の元同期でしてね。筋肉だけが取り柄の男だ。好きに使ってやってください」
仁は俺の方を見ると、軽く会釈をした。
「待て待て。話が見えないんだが。筋肉だけが取り柄の俺にも分かるように説明してくれ」
「仁さんとバディを組んで狐隠村(こがくれむら)へ潜入するのが君への依頼だよ。バディというか、夫婦になってもらいたいんだ。当然の事だけれど、仮初めだから仁さんを襲うなんて事するなよ」
「はぁ?夫婦だあ?」
すると、仁が阿久津に目配せをし、古びた絵巻を机に置いた。
そこには人型になった狐が村に現れた絵、畑を眺める絵等、村の繁栄に関する様々な事象が描かれていた。
仁は淡々と、これが村の狐神による信仰に関する歴史を表したものだと説明した。
そして最後に……。
「なんだぁ?この春画は」
村の男と睦み合う狐神の絵が描かれている。
お狐様は人間と交わり子を成す事で村の繁栄を約束していたという。
「あの村の信仰神の性別は男型の狐だと言われています。そして、過去の文献を見るに、同性の男と添い遂げたという記録があり、それがこの絵です。こういったものは、基本的に史実に偶像を加え描かれている事が多いのですが……」
「それが何だってアンタと夫婦っつう話になってんだ?」
今度は阿久津が答えた。
「事前調査をしたところ、あの村、特にご年配の長老なんかは本気で狐様を信じて止まないみたいでね、幼い頃に実際見た事がある、その時は収穫量も増えただの言っていたらしい」
「京都の伏見稲荷なんかは五穀豊穣の神様と言われていますからね。お狐神は、村で身籠もった後、子を産まずあの集落を去りました。私は見た目がこんなですから、方々に産み落とされたお狐様の子孫のふりをして潜入するつもりでいます。ただ、信仰が深い村ですから、何をされるか分かったものではありません。だからあなたにはボディガードをお願いしたいと思い、阿久津さんに相談したのです」
「神の子が番を連れて帰ってきたと思わせた方が後々楽なんだ。手数も増やせるしな」
「警察に助けを求めたんだろ?素直に村の調査をさせてくれと頼めば良いだろ」
「それができないからこうして作戦を立てているんだ」
「はい、地方の外部から切り離された村は高齢化が進み、文明開化を未だ受け入れる事ができないのです。歳を取れば取るほどに」
「要するに、厄介な頑固ジジイがいるから、そいつを騙くらかす為にこんな事するってのか?……俺に拒否権はあるんだろうな?」
俺の言葉に、仁は不安そうな顔で阿久津へ視線を向けた。
当の阿久津はというと、涼しい顔をしてあっけらかんと答えた。
「君は断らないはずだ。憲兵へ怪我のせいで成せなかった恩を売ることができるんだ。それとも、本気で農家を目指したいと言うのならば何も言わないけれど」
俺は阿久津の言葉を否定する事が出来なかった。
俺の目は、名誉の負傷者という訳ではない。
ある日高熱を出し、そのまま見えなくなった。それだけである。
軍人として、武家として、功績を得ぬまま生涯を終えると思っていた。
それをこの男が、一世一代の機会を運んで来たのだ。
「相変わらず、食えない男だ。いつか刺されるぞ。今晩からは背後に気をつけるんだな、阿久津」
「依頼を受けてくれて助かるよ。ああ、そうだ」
阿久津はにこやかにパチンと手を叩いた。
「君達は"夫婦"なんだ。これから潜入までの間、お互い親睦を深めるといい。因習村はめざといんだ」
「そんなもん、必要ないだろ。設定だけ教えてくれればその通りにする」
阿久津は今度はやれやれと言った態度を取った。いつもの事ながら鼻につく態度に苛立ちを隠しきれない。
「君に演技の期待はしていないよ。それに、君達は夜毎"コレ"をしている関係なんだよ。ぎこちないとすぐバレるぞ」
阿久津はトントンと先程の春画を指差した。
途端に仁がボッと顔を赤くする。
「そりゃあ……まあ……確かにそうなんだが」
次の依頼者が来るからと、俺と仁は事務所を早々に追い出された。
儲かっているみたいで結構な事だ。
「アンタ、家はこの近くなのか?」
二人して帰路につく途中、無言になる気まずさを避ける為、俺は仁に大して意味をなさない問いかけをした。
すると、仁はビュンと音が鳴りそうな程の速さでコチラを振り返った。
その姿はさながら、餌を漁っていた所に人間に見つかった小動物のようであった。
依頼が依頼だ。
俺がそのままこの男の家に上がり込み、押し倒すとでも思ったのか。
悪いが俺にはそんな趣味はない。
「そう怯えないでくれ、学者先生。単なる世間話だよ。何も取って食おうなんて思っちゃいないさ」
「……怯えている訳ではありません」
そう言いながらも、仁は肩にかけた斜めがけ鞄の紐をソワソワといじっている。
「そうかい、そりゃ良かった。なんたって俺たちは"バディ"なんだからな」
正直なところ、不安材料の方が多い。
この男が上手く神のふりをできるとは思えないし、あまりに楽観的すぎる。
もし村人達を逆上させ、襲われでもしたら。
俺一人ならまだしも、仁を庇って逃げ切れるかどうか。
「あの、私の部屋へ来ませんか?」
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