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桐生樹②
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「皆様、アクシデントに翻弄され大変だったかと思いますが、無事閉幕しました!」
わっと周りから拍手と歓声が湧く。
夏樹が興味を持った為、好意で見学させてもらっているが、自分達は部外者であるから少し居心地が悪く感じていた。
「玲さん、場所離れちゃったねぇ…感想聞きたかったのにな。」
自分達の出番が終わった後も玲は忙しく走り回っていたようだ。
遠巻きに見る彼は、会社のチームメンバーであろう人達にもみくちゃにされていた。
「あのー…」
背後から女性に声をかけられる。
「川瀬さんのお茶の先生ですよね?実は私も興味があって…良ければ体験したいなーなんて…」
「あぁ、申し訳ありません。ありがたい事にいま予約で埋まっていまして…もし良ければ私の知り合いを紹介させていただきますよ。」
「で、でしたら予約が空いてからでも…」
すると、お待たせしてすみません!と西谷に声をかけられると同時に女性は去って行った。
「桐生さん、大丈夫でした?なんかすいません、あのまま放置してしまって。」
「いえ、見学させていただいているのは私達の方ですから。」
「川瀬のやつ、今日はもう捕まらないかもしれないですよ。何せメインで動いてたのあいつだから。挨拶できずすみません、お二人共打ち上げ参加OKなんですけど苦手そうだし好きな時間に帰っていただいて大丈夫って伝言預かってます。」
「そうですか…では僕は失礼させていただきます。なつくんはどうする?」
「俺もいいや。西谷さん、今日はありがとうございました。」
「いやいや、こちらこそ!本当に助かりました。後日改めてお礼はさせていただきます。川瀬も事後処理したら代休と有給一気に使うって言ってたから…あいつ最近ずっと仕事してて様子がおかしかったんで、相手してやって下さい!」
深々と頭を下げる西谷と別れ会場を後にした。
「ねぇ、玲さんからのお礼どうしよっか。」
玲は夏樹に何でも言う事を聞くと約束させられていた。この助手席に座る従兄弟にそんな言葉、自分なら恐ろしくて言えない。
「樹兄さんと付き合ってってお願いする?」
「ぶはっ!な、なつくん!今運転中!!」
危ない、ここが狭い片側一車線なら危うくぶつかる所だった。
「それに、冗談でもそんな事言っていい人じゃないのは分かるでしょ?」
「でも、玲さんの事狙ってる人結構居そうじゃなかった?ボヤボヤしてると取られちゃうんじゃない?樹兄さんは玲さんの事、神格化しすぎな気がする。」
「はあ、こんな一回り以上歳下の子に恋愛アドバイスもらうなんて情けなくて泣けてくるな。」
「気にしないでよ。俺だって昔の樹兄さんの事話したの悪いなって思ってるんだから。」
夏樹から自分の黒歴史と言っても過言ではない過去を玲にうっかり話してしまったと言われた。
それも含めて自分なのだから仕方ないと思っている。
ただ、それを聞いても普段と変わらぬ態度の玲に喜びを感じていた。
「休み…食事にでも誘ってみるか。」
しかし数日後、当たり前に続くと思っていた二人の関係は玲からのメッセージで一変する。
"急な連絡となりすみません。本日付けでお茶のレッスンを辞めたいと思っています。回数券の残り分は廃棄で構いません。先日のイベントのお礼は改めてお送りさせていただきます。直接お伝えできず申し訳ありませんが今までありがとうございました。"
わっと周りから拍手と歓声が湧く。
夏樹が興味を持った為、好意で見学させてもらっているが、自分達は部外者であるから少し居心地が悪く感じていた。
「玲さん、場所離れちゃったねぇ…感想聞きたかったのにな。」
自分達の出番が終わった後も玲は忙しく走り回っていたようだ。
遠巻きに見る彼は、会社のチームメンバーであろう人達にもみくちゃにされていた。
「あのー…」
背後から女性に声をかけられる。
「川瀬さんのお茶の先生ですよね?実は私も興味があって…良ければ体験したいなーなんて…」
「あぁ、申し訳ありません。ありがたい事にいま予約で埋まっていまして…もし良ければ私の知り合いを紹介させていただきますよ。」
「で、でしたら予約が空いてからでも…」
すると、お待たせしてすみません!と西谷に声をかけられると同時に女性は去って行った。
「桐生さん、大丈夫でした?なんかすいません、あのまま放置してしまって。」
「いえ、見学させていただいているのは私達の方ですから。」
「川瀬のやつ、今日はもう捕まらないかもしれないですよ。何せメインで動いてたのあいつだから。挨拶できずすみません、お二人共打ち上げ参加OKなんですけど苦手そうだし好きな時間に帰っていただいて大丈夫って伝言預かってます。」
「そうですか…では僕は失礼させていただきます。なつくんはどうする?」
「俺もいいや。西谷さん、今日はありがとうございました。」
「いやいや、こちらこそ!本当に助かりました。後日改めてお礼はさせていただきます。川瀬も事後処理したら代休と有給一気に使うって言ってたから…あいつ最近ずっと仕事してて様子がおかしかったんで、相手してやって下さい!」
深々と頭を下げる西谷と別れ会場を後にした。
「ねぇ、玲さんからのお礼どうしよっか。」
玲は夏樹に何でも言う事を聞くと約束させられていた。この助手席に座る従兄弟にそんな言葉、自分なら恐ろしくて言えない。
「樹兄さんと付き合ってってお願いする?」
「ぶはっ!な、なつくん!今運転中!!」
危ない、ここが狭い片側一車線なら危うくぶつかる所だった。
「それに、冗談でもそんな事言っていい人じゃないのは分かるでしょ?」
「でも、玲さんの事狙ってる人結構居そうじゃなかった?ボヤボヤしてると取られちゃうんじゃない?樹兄さんは玲さんの事、神格化しすぎな気がする。」
「はあ、こんな一回り以上歳下の子に恋愛アドバイスもらうなんて情けなくて泣けてくるな。」
「気にしないでよ。俺だって昔の樹兄さんの事話したの悪いなって思ってるんだから。」
夏樹から自分の黒歴史と言っても過言ではない過去を玲にうっかり話してしまったと言われた。
それも含めて自分なのだから仕方ないと思っている。
ただ、それを聞いても普段と変わらぬ態度の玲に喜びを感じていた。
「休み…食事にでも誘ってみるか。」
しかし数日後、当たり前に続くと思っていた二人の関係は玲からのメッセージで一変する。
"急な連絡となりすみません。本日付けでお茶のレッスンを辞めたいと思っています。回数券の残り分は廃棄で構いません。先日のイベントのお礼は改めてお送りさせていただきます。直接お伝えできず申し訳ありませんが今までありがとうございました。"
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