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樹と玲①※
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あれから樹からの電話が鳴ってもメッセージが届いても出る事ができなかった。
さすがに一方的で酷いよな、あんなに良くしてもらったのに何の説明もなしに。
だけど、恋を自覚した今、少しでも樹の顔を見たら樹の周りにいたような、恋する乙女の如き雌の顔をしてしまうに違いない。
そして上手くかわされた時、自分は酷く落ち込む気がする。
「んっ…」
忙しくて暇がなかったが、休みが取れた事により思い出したかのように、しっかりと性欲が湧き起こる。
「く…うぅっ…」
あの人はどんな風に人を抱くんだろう。
「あっ…樹さ…んっ…はぁ、はぁ…」
情緒不安定すぎる。
ブーブーと携帯が震える。
今度は夏樹からの電話だった。
夏樹なら…夏樹になら。
玲は一人で抱え込むには重荷すぎて、本当は誰かに相談したくてたまらなかったのだ。
「ちょっと玲さん急にどうしたの?もしかしてこの前のイベント俺らが何かやらかしたとかで怒ってる?」
「違うよ。二人は完璧だった。これは僕自身の問題だから。」
「だからってはいそうですか、なんて納得できないよ。」
「夏樹くんには、謝らないといけないって思ってた。樹さんと友達でいてって約束したのに。」
「…ねぇ直接話す時間ない?樹兄さんには内緒にしとくから。」
ーーーー
夏樹との待ち合わせ場所に着くと、そこに居たのは夏樹ではなかった。
「玲さん…」
「!!樹、さ…」
「待って!逃げないで!!」
冬の雨は寒い。
傘も持たずに夏樹と会うはずだった待ち合わせ場所から走り出した玲は雨に打たれ身体中が冷え、指先が痺れてもなお走っていた。
しかし長身な上、足も速い樹にあっという間に追いつかれてしまった。
「あのっ…はぁ、話を聞きたくて。一緒に居て楽しんでくれてると思ってたから。何か不快にさせたのなら謝りたい。」
「ちがっ…違うんです!僕が勝手に意識して、あっ!そうじゃなくて…」
「…このままだと風邪ひいちゃうから、良ければ僕がこっちに借りてる賃貸に来ない?着替えを貸すから。」
ここから車で10分くらいだからと。
賃貸…前に家に招かれた時に夏樹が言っていた、こっちに連れ込むの珍しいと言っていたもう一つの場所。
「は…い。」
声が掠れてしまい、あからさまな自身の態度を必死に隠す。
うまく返事ができていただろうか。
樹に連れられた賃貸は一人暮らし用の一般的なものだった。
こっちへ。と玄関まで案内される。
この部屋で…
その瞬間、樹で抜いてしまった気まずさと、バチッと頭の中に樹が他の誰かと抱き合う情景を想像してしまい、思わず手を払ってしまった。
「あ…ごめん、なさい…でも、この部屋で…知らない人と…」
「えっち…してるんでしょ?」
今日の自分はおかしい。
気が大きくなってるのだろうか。いい大人が、しかもこんなにかっこいい人が自分の知らない人と関係を持っている。
そんなの当たり前なのに。なのに受け入れられない、受け入れたくない。
「あの…僕やっぱり…」
「玲さん、今自分がどんな顔してるか分かってる?」
躊躇する玲を樹は部屋の中へ強く引き入れた。
壁に押し付けられながらキスをされ、樹は股の間に膝を滑りこます。
「はぁ…えっろい顔…」
そう言うとわざとらしく大きくリップ音をさせながら、何度も吸い付き、股間を膝でグリグリと押し付けられた。
「ぁ、んっ…それ…」
樹が唇の端から顎へ首へと舌を這わせ、やわやわと噛みながら口を開いた。
「そうだよ。あのソファでも、ベッドでも。君の知らない人を抱いた。…ねぇ、ここに来るまでにどっちを想像した?」
「分から…ない…」
「抱く方と抱かれる方、どっち?」
「あ…見ない…で…」
「どう思った?教えて。」
はぁ…と耳元でつく吐息に首筋がぞくぞくし思わず腰を引く。
「逃げないで…」
その声はどこか縋るような寂しそうな子どものようだった。
ーーーー
肌に張り付いた衣服を強引に剥ぎ取ると雨で冷えた身体を温める為、裸になった二人はシャワーを浴びながら樹はまだ迷いがあるかのように、口先だけを掠めるように唇に触れた。
求められた口付けを返すと、堰を切ったように何度も吸い付くようになぶる。
「ん…ふっ…」
名残惜しそうに張り付く互いの唇が離れる間もなく舌を割り入れられた。
「ふぁっ…」
玲の後孔に樹の指が這う。
「あっ…そこっ…んっ」
「玲…さん」
自分の事は何も教えてくれないくせに。
「手をついて」
僕ばかりが暴かれて。
「あぁっ、中…っく。」
それでも抵抗できない自分が嫌だ。
樹の片足に乗せられる形で、樹は玲の後ろをじわじわと開く。
ああ、僕はこれからこの人に…。
自分にはこんな一面があったのだと分からせられる。
そんな自分に興奮する。
さすがに一方的で酷いよな、あんなに良くしてもらったのに何の説明もなしに。
だけど、恋を自覚した今、少しでも樹の顔を見たら樹の周りにいたような、恋する乙女の如き雌の顔をしてしまうに違いない。
そして上手くかわされた時、自分は酷く落ち込む気がする。
「んっ…」
忙しくて暇がなかったが、休みが取れた事により思い出したかのように、しっかりと性欲が湧き起こる。
「く…うぅっ…」
あの人はどんな風に人を抱くんだろう。
「あっ…樹さ…んっ…はぁ、はぁ…」
情緒不安定すぎる。
ブーブーと携帯が震える。
今度は夏樹からの電話だった。
夏樹なら…夏樹になら。
玲は一人で抱え込むには重荷すぎて、本当は誰かに相談したくてたまらなかったのだ。
「ちょっと玲さん急にどうしたの?もしかしてこの前のイベント俺らが何かやらかしたとかで怒ってる?」
「違うよ。二人は完璧だった。これは僕自身の問題だから。」
「だからってはいそうですか、なんて納得できないよ。」
「夏樹くんには、謝らないといけないって思ってた。樹さんと友達でいてって約束したのに。」
「…ねぇ直接話す時間ない?樹兄さんには内緒にしとくから。」
ーーーー
夏樹との待ち合わせ場所に着くと、そこに居たのは夏樹ではなかった。
「玲さん…」
「!!樹、さ…」
「待って!逃げないで!!」
冬の雨は寒い。
傘も持たずに夏樹と会うはずだった待ち合わせ場所から走り出した玲は雨に打たれ身体中が冷え、指先が痺れてもなお走っていた。
しかし長身な上、足も速い樹にあっという間に追いつかれてしまった。
「あのっ…はぁ、話を聞きたくて。一緒に居て楽しんでくれてると思ってたから。何か不快にさせたのなら謝りたい。」
「ちがっ…違うんです!僕が勝手に意識して、あっ!そうじゃなくて…」
「…このままだと風邪ひいちゃうから、良ければ僕がこっちに借りてる賃貸に来ない?着替えを貸すから。」
ここから車で10分くらいだからと。
賃貸…前に家に招かれた時に夏樹が言っていた、こっちに連れ込むの珍しいと言っていたもう一つの場所。
「は…い。」
声が掠れてしまい、あからさまな自身の態度を必死に隠す。
うまく返事ができていただろうか。
樹に連れられた賃貸は一人暮らし用の一般的なものだった。
こっちへ。と玄関まで案内される。
この部屋で…
その瞬間、樹で抜いてしまった気まずさと、バチッと頭の中に樹が他の誰かと抱き合う情景を想像してしまい、思わず手を払ってしまった。
「あ…ごめん、なさい…でも、この部屋で…知らない人と…」
「えっち…してるんでしょ?」
今日の自分はおかしい。
気が大きくなってるのだろうか。いい大人が、しかもこんなにかっこいい人が自分の知らない人と関係を持っている。
そんなの当たり前なのに。なのに受け入れられない、受け入れたくない。
「あの…僕やっぱり…」
「玲さん、今自分がどんな顔してるか分かってる?」
躊躇する玲を樹は部屋の中へ強く引き入れた。
壁に押し付けられながらキスをされ、樹は股の間に膝を滑りこます。
「はぁ…えっろい顔…」
そう言うとわざとらしく大きくリップ音をさせながら、何度も吸い付き、股間を膝でグリグリと押し付けられた。
「ぁ、んっ…それ…」
樹が唇の端から顎へ首へと舌を這わせ、やわやわと噛みながら口を開いた。
「そうだよ。あのソファでも、ベッドでも。君の知らない人を抱いた。…ねぇ、ここに来るまでにどっちを想像した?」
「分から…ない…」
「抱く方と抱かれる方、どっち?」
「あ…見ない…で…」
「どう思った?教えて。」
はぁ…と耳元でつく吐息に首筋がぞくぞくし思わず腰を引く。
「逃げないで…」
その声はどこか縋るような寂しそうな子どものようだった。
ーーーー
肌に張り付いた衣服を強引に剥ぎ取ると雨で冷えた身体を温める為、裸になった二人はシャワーを浴びながら樹はまだ迷いがあるかのように、口先だけを掠めるように唇に触れた。
求められた口付けを返すと、堰を切ったように何度も吸い付くようになぶる。
「ん…ふっ…」
名残惜しそうに張り付く互いの唇が離れる間もなく舌を割り入れられた。
「ふぁっ…」
玲の後孔に樹の指が這う。
「あっ…そこっ…んっ」
「玲…さん」
自分の事は何も教えてくれないくせに。
「手をついて」
僕ばかりが暴かれて。
「あぁっ、中…っく。」
それでも抵抗できない自分が嫌だ。
樹の片足に乗せられる形で、樹は玲の後ろをじわじわと開く。
ああ、僕はこれからこの人に…。
自分にはこんな一面があったのだと分からせられる。
そんな自分に興奮する。
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