4 / 13
登場
4
しおりを挟む
まだ学校内に人があまり来ないユキからしたら気を抜ける憩いの場などないので教室で大人しく座っていた
まだ新入学で浮かれ気分の取れていない一年生達は違う学校から来た新しいクラスメイト達と仲良くなろうと放課のたびにキャッキャしながら楽しそうに会話をする賑やかな教室内にユキは居場所のなさを感じていた
『周りがうるさいのは別にいいんだけど……暇すぎる……マジで帰りたくなる』
授業が始まれば暇ではなくなるのでいいのだが、ユキにとっては皆が楽しみにしている放課のこの何もやる事のない退屈な時間がたまらなく苦痛だった
暇潰しで教科書を読んで時間を潰したいのだが、この見た目のユキが教科書なんて見ていたら絶対に変な噂がまた拡がるのはわかっているのでそれすらも我慢していた
いっそのこと寝てしまおうと目を閉じていると、聞き耳を立てているわけではないが周りの会話が耳に入ってきて、ラジオを聞いているかのように聞き流しながら時間の過ぎるのを待つ放課を繰り返していた
とっとと終わって早く帰りたい……そんな事を考えていると、ふと人の気配を感じて薄目を開けた
ノンちゃんが驚かそうと思ってこっそり近寄ってきたのかと思ったら、こういう所に空気も読まずに敢えて話しかけて来ようとする調子のいい男子が来ていた
「あ、あの、佐々木…さん……だよね」
「だから?」
ユキは首を少し斜め傾けながら眉間にシワを寄せて下から少し睨むようにして見ると男子は一瞬怯んだ顔をして「いや……あの……お、俺、伊東雄大……同じクラスだから……」と言って不安そうな表情でユキを見た
「で?」
新しい学校の新しいクラスメイトに対してなら男子の行動は何らおかしな事ではないのだが、クラスメイトとも馴れ合う気のないユキにとっては不愉快極まりない行動に受けとれてしまう
不機嫌そうに彼を見て威圧感を出しながら一言だけで返事をすると、彼はどうしていいかわからないが早くこの場を立ち去りたいような弱気な顔をしながら振り絞るように「ょ……ょろしく……」と、少し震えた声で言った
「…………あっそ……ウザイ」
ユキはあしらうように冷たくいい放つと「ご、ごめんなさい」と彼は言い残して逃げるように足早にその場を立ち去った
『バッカじゃないの?
何を偽善者ぶって話しかけてきてんだよ
謝るくらいなら最初から近づくなっての
マジでウザイ』
その後、数人の男子が怖いもの見たさ的な感じで話しかけてきたのでユキもいい加減イライラが募ってきていた時に一番空気を読まないアイツがやってきた
「ユッキちゃ~ん」
「だからさ、マジで来なくていいって言ったでしょ
ノンちゃんも自分のクラスで仲良く楽しんどきなって」
「だってユキちゃん一人だと寂しいでしょ」
今まで超危険物の腫れ物扱いで周りに人が近寄ろうともせずにクラスで浮きまくりのユキを全く怯えもなくフレンドリーに話しかけ、さらに不機嫌丸出しで近寄る男子の心を打ち砕いていたユキが呆れ顔だが普通に会話をしている姿に周りがヒヤヒヤした顔で注目していた
「うわっ 超視線が刺さる」
こんな注目のされ方だがノンちゃんは何故か嬉しそうにしているのでユキは呆れ顔で素っ気なく言った
「だから言ってんじゃん
て言うか何を喜んでんのよ
もう帰りな」
ノンちゃんは目立ちたがり屋で浅い考えで安直に行動して失敗を繰り返してもめげないと言うか学習しない性格なので、ユキは男子からのウザイ挨拶が落ち着きだしたので再び火種を撒き散らさないでほしい気持ちしかなかった
「もぉ~ 恥ずかしがり屋さんっ
私も初日だからクラスに馴染まないと
んじゃまた来るね~」
彼女はそう言うとニコニコとして慌ただしく教室を出て行った
しかし、ノンちゃんのペースで少し表情を緩めたユキだったが、また不機嫌そうな雰囲気を出すと周りは再び見て見ぬ振りをしてユキと目を合わさないようにしていた
『もう……早く帰りたい……マジで放課が嫌い』
まだ新入学で浮かれ気分の取れていない一年生達は違う学校から来た新しいクラスメイト達と仲良くなろうと放課のたびにキャッキャしながら楽しそうに会話をする賑やかな教室内にユキは居場所のなさを感じていた
『周りがうるさいのは別にいいんだけど……暇すぎる……マジで帰りたくなる』
授業が始まれば暇ではなくなるのでいいのだが、ユキにとっては皆が楽しみにしている放課のこの何もやる事のない退屈な時間がたまらなく苦痛だった
暇潰しで教科書を読んで時間を潰したいのだが、この見た目のユキが教科書なんて見ていたら絶対に変な噂がまた拡がるのはわかっているのでそれすらも我慢していた
いっそのこと寝てしまおうと目を閉じていると、聞き耳を立てているわけではないが周りの会話が耳に入ってきて、ラジオを聞いているかのように聞き流しながら時間の過ぎるのを待つ放課を繰り返していた
とっとと終わって早く帰りたい……そんな事を考えていると、ふと人の気配を感じて薄目を開けた
ノンちゃんが驚かそうと思ってこっそり近寄ってきたのかと思ったら、こういう所に空気も読まずに敢えて話しかけて来ようとする調子のいい男子が来ていた
「あ、あの、佐々木…さん……だよね」
「だから?」
ユキは首を少し斜め傾けながら眉間にシワを寄せて下から少し睨むようにして見ると男子は一瞬怯んだ顔をして「いや……あの……お、俺、伊東雄大……同じクラスだから……」と言って不安そうな表情でユキを見た
「で?」
新しい学校の新しいクラスメイトに対してなら男子の行動は何らおかしな事ではないのだが、クラスメイトとも馴れ合う気のないユキにとっては不愉快極まりない行動に受けとれてしまう
不機嫌そうに彼を見て威圧感を出しながら一言だけで返事をすると、彼はどうしていいかわからないが早くこの場を立ち去りたいような弱気な顔をしながら振り絞るように「ょ……ょろしく……」と、少し震えた声で言った
「…………あっそ……ウザイ」
ユキはあしらうように冷たくいい放つと「ご、ごめんなさい」と彼は言い残して逃げるように足早にその場を立ち去った
『バッカじゃないの?
何を偽善者ぶって話しかけてきてんだよ
謝るくらいなら最初から近づくなっての
マジでウザイ』
その後、数人の男子が怖いもの見たさ的な感じで話しかけてきたのでユキもいい加減イライラが募ってきていた時に一番空気を読まないアイツがやってきた
「ユッキちゃ~ん」
「だからさ、マジで来なくていいって言ったでしょ
ノンちゃんも自分のクラスで仲良く楽しんどきなって」
「だってユキちゃん一人だと寂しいでしょ」
今まで超危険物の腫れ物扱いで周りに人が近寄ろうともせずにクラスで浮きまくりのユキを全く怯えもなくフレンドリーに話しかけ、さらに不機嫌丸出しで近寄る男子の心を打ち砕いていたユキが呆れ顔だが普通に会話をしている姿に周りがヒヤヒヤした顔で注目していた
「うわっ 超視線が刺さる」
こんな注目のされ方だがノンちゃんは何故か嬉しそうにしているのでユキは呆れ顔で素っ気なく言った
「だから言ってんじゃん
て言うか何を喜んでんのよ
もう帰りな」
ノンちゃんは目立ちたがり屋で浅い考えで安直に行動して失敗を繰り返してもめげないと言うか学習しない性格なので、ユキは男子からのウザイ挨拶が落ち着きだしたので再び火種を撒き散らさないでほしい気持ちしかなかった
「もぉ~ 恥ずかしがり屋さんっ
私も初日だからクラスに馴染まないと
んじゃまた来るね~」
彼女はそう言うとニコニコとして慌ただしく教室を出て行った
しかし、ノンちゃんのペースで少し表情を緩めたユキだったが、また不機嫌そうな雰囲気を出すと周りは再び見て見ぬ振りをしてユキと目を合わさないようにしていた
『もう……早く帰りたい……マジで放課が嫌い』
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる