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彼女の差し向けた弁護士が家に来た。
すみやかに離婚に応じなければ裁判に持ち込むと言う。
訴えられれば、僕に勝ち目がないことはわかっている。
マイホームを手放してからというもの、彼女には1円たりとも生活費は渡してはいない。
ギャンブルで多額の借金を作ってしまったのもこの僕だ。
勝てる道理がない。
自分でもわかっていた。
もう別れる潮時だと。
それでも、どうにか一言文句を言ってやりたくて、僕は彼女の実家を訪ねることにした。
*
「美和子!」
最寄りのバス停に降り立った時に、ちょうどその近くで美和子をみかけた。
僕の顔を見て逃げようとした彼女に、離婚のことで話がしたいと言って呼び止めた。
ゆっくりと話したかったから、僕は彼女を僕のアパートに呼び寄せた。
「すごい所に住んでるのね…」
「……まぁな。」
一年後には取り壊すことが決まっているそのアパートには、俺の他には老人がひとり住んでるだけだ。
最初は穏やかに話していたが、落ちぶれた僕とは違い以前よりも美しくなった彼女に嫉妬と愛情の入り混じった感情が高ぶり、僕は彼女に精一杯の悪態を吐いていた。
「あなたって最低ね。
本当に見損なったわ!」
冷ややかな…僕を見下すような視線に僕は逆上した。
彼女のか細い首に力を込め、壁に押し付け、彼女の抵抗をものともせずに僕はぐいぐいと締め上げた。
「……美和子……?
美和子!!」
激しい怒りの感情から我に返った時、そこにはぐったりとした美和子が横たわり、彼女は、すでに息をしていなかった。
(な、なんてことを…!)
俺は美和子の身体を揺さぶったり、以前何かで見たことのある心臓マッサージの真似事をやってみたが、彼女が息を吹き返すことはなかった。
眠っているように見える美和子をみつめながら、僕は涙が止まらなかった…
だが、もはやどうすることも出来ない。
僕は、隣の空室の床下に彼女を埋めた……
すみやかに離婚に応じなければ裁判に持ち込むと言う。
訴えられれば、僕に勝ち目がないことはわかっている。
マイホームを手放してからというもの、彼女には1円たりとも生活費は渡してはいない。
ギャンブルで多額の借金を作ってしまったのもこの僕だ。
勝てる道理がない。
自分でもわかっていた。
もう別れる潮時だと。
それでも、どうにか一言文句を言ってやりたくて、僕は彼女の実家を訪ねることにした。
*
「美和子!」
最寄りのバス停に降り立った時に、ちょうどその近くで美和子をみかけた。
僕の顔を見て逃げようとした彼女に、離婚のことで話がしたいと言って呼び止めた。
ゆっくりと話したかったから、僕は彼女を僕のアパートに呼び寄せた。
「すごい所に住んでるのね…」
「……まぁな。」
一年後には取り壊すことが決まっているそのアパートには、俺の他には老人がひとり住んでるだけだ。
最初は穏やかに話していたが、落ちぶれた僕とは違い以前よりも美しくなった彼女に嫉妬と愛情の入り混じった感情が高ぶり、僕は彼女に精一杯の悪態を吐いていた。
「あなたって最低ね。
本当に見損なったわ!」
冷ややかな…僕を見下すような視線に僕は逆上した。
彼女のか細い首に力を込め、壁に押し付け、彼女の抵抗をものともせずに僕はぐいぐいと締め上げた。
「……美和子……?
美和子!!」
激しい怒りの感情から我に返った時、そこにはぐったりとした美和子が横たわり、彼女は、すでに息をしていなかった。
(な、なんてことを…!)
俺は美和子の身体を揺さぶったり、以前何かで見たことのある心臓マッサージの真似事をやってみたが、彼女が息を吹き返すことはなかった。
眠っているように見える美和子をみつめながら、僕は涙が止まらなかった…
だが、もはやどうすることも出来ない。
僕は、隣の空室の床下に彼女を埋めた……
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