忘れもの

神在琉葵(かみありるき)

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それからの毎日は喧嘩ばかりだった。
開き直った彼女は、平気で家を空けるようになった。
もう別れた方が良いのかと思いながらも、友達の手前もあり、なにより僕自身の未練もあって、彼女とすっぱりと別れることが出来なかった。
苛々とした気持ちを晴らすため、僕は飲めない酒を飲むようになった。
そのせいで、僕は酷い怪我をした。
酔った勢いで誰かと喧嘩をし、殴られたようなのだが、僕は相手の顔どころか、そんな喧嘩をしたことさえ覚えていなかった。
休みの日には、ギャンブルに興じるようになり、そのせいもありいつの間にか僕は返しきれない程の借金を抱えていた。



結局、僕はマイホームであるマンションを手放した。
それを機に彼女と別れれば良かったのだが、彼女への憎しみと未練からやはりそうは出来なかった。
彼女だけが幸せになることが、どうしても許せなかったのだ。
彼女と別居はしたが、籍を抜いてやるつもりはなかった。
鬱々とした気持ちで過ごす毎日…仕事に身が入るはずもなく、僕は降格し、給料も下がった。
そうなるとますますやる気がなくなり、ついには退職してしまった。
昼過ぎに起き出して、パチンコ屋やギャンブル場へ向かう…




生きがいもなにもなくなったそんなある日のことだった。
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