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「り…凛子…
今日…いや、最近、何か変わったことはなかった?」

 「変わったこと…?って、どんなこと?」

 「どんなって…だから、普段とは違うことよ!」

 「え~…特に何もないけど…」



おかしい。
 凛子が遼ちゃんに告白されて付き合うことになったのが、5月22日…
今日が5月23日じゃなくて22日だとしても、今日、凛子は遼ちゃんに告白されてるはず…



「ねぇ、今日は授業が終わってからどうしてたの?」

 「え…絵里と一緒にハンバーガー食べに行くつもりだったんだけど、絵里に用事が出来たから、今日は真っすぐ帰って来たけど…」

 「あの……遼ちゃんには会わなかった?」

 「お昼休みに会ったよ。」

 「その時…何か言われた?」

 「何かって…廊下で会ってちょっとしか喋ってないけど…遼君がどうかしたの?」

 「え?う、ううん、なんでもない。」



やっぱり…
凛子は、遼ちゃんに告白されてない…



つまり、ここは……



(遼ちゃんが私に惹かれる世界…??)



そんなこと、信じられない、ありえない!
だけど、もしも本当にそうだったら…



言い知れない恐怖に体の震えが酷くなる。
 信じられない話だけど…
でも、それなら今のこのおかしな状況はどう説明すれば良いんだろう?



 考えれば考える程、怖さが募る。



 「お姉ちゃん…どうかしたの?
 顔色が悪いよ。
しかも、すごい汗…」



そうでしょうとも…
もう取り繕う気力もない程、私はダメージ受けてますから。



 「なんか頭痛がするから、今日は寝るわ。」

 「えっ!お母さん!お姉ちゃん、頭が痛いんだって!」

 凛子は、晩御飯の支度をするお母さんに声を掛けた。




 「救急箱に痛み止めがあるから飲みなさい。」

 忙しかったのか、お母さんはちょっと不機嫌な声でそう言った。



 「いい。寝たら治るから…」

そう言い残して、私は部屋に戻った。
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