39 / 50
39
しおりを挟む
*
「趣味なんか一緒じゃなくても付き合えるよ。」
「そ、そうですか?」
次の日…私は、神社に行って、クニさんと会っていた。
遼ちゃんのことで、胸に巣食うもやもやを誰かに聞いてもらいたくて…そんな事を思ったら、クニさんの顔が浮かんで…
「そうだよ。違う趣味じゃうまくいかないなんてありえないよ。
そもそも遼ちゃんとはまだ一度デートをしただけだよ。
たったの一度ではまだ何もわからないじゃない。」
「は、はい。」
そういうものなんだね。
私…デートなんて初めてだったから、なんか考えすぎちゃったんだよね。
そう思ったら、何となく落ち着いた。
「あ、それから、もう一つ質問なんですけど…デートの度に新しい服を着ないといけないものですか?
妹が、次のデートに備えて服を買いに行こうって言ってるんですけど…」
「そんなことはないと思うけど、君の場合、今までほとんど服装に気遣ってなかったみたいじゃない。
だから、デートに着て行けそうな服は、先日買ったあの服しかない。
毎度毎度、同じ服ってわけにはいかないから、妹さんもそう言ったんじゃない?」
「あ……」
なんだ、そういうことか。
言われてみたら確かにそうだ。
私が持ってる服の中には、デート向きなのは一着もない。
あと何着か買わなきゃいけないのは当然だよね。
私はそんなことにも気付いてなかったけど、凛子は、わかってたんだね。
自分の愚かさにがっかりだ。
「あれ?どうかしたの?」
「い、いえ。」
そうは言ったものの、がっかりし過ぎて顔が上げられない。
「そんなに考え込むんじゃないの。
ほらほら、肩の力を抜いて。
良いかい?ここはアトラクションだよ。
悩むためにここに来たんじゃない。
楽しむために、君はここに来たんだよ。」
(楽しむために…)
そうだ、そうだった!
ここでは楽しまなきゃいけないのに、またいつもの真面目癖が出てしまったんだ。
「は、はいっ!
私…楽しみます!」
私がそう言うと、クニさんはとても優しい笑顔を浮かべ…
クニさんって、本当に良い人だね。
心がじわっと温もった。
「趣味なんか一緒じゃなくても付き合えるよ。」
「そ、そうですか?」
次の日…私は、神社に行って、クニさんと会っていた。
遼ちゃんのことで、胸に巣食うもやもやを誰かに聞いてもらいたくて…そんな事を思ったら、クニさんの顔が浮かんで…
「そうだよ。違う趣味じゃうまくいかないなんてありえないよ。
そもそも遼ちゃんとはまだ一度デートをしただけだよ。
たったの一度ではまだ何もわからないじゃない。」
「は、はい。」
そういうものなんだね。
私…デートなんて初めてだったから、なんか考えすぎちゃったんだよね。
そう思ったら、何となく落ち着いた。
「あ、それから、もう一つ質問なんですけど…デートの度に新しい服を着ないといけないものですか?
妹が、次のデートに備えて服を買いに行こうって言ってるんですけど…」
「そんなことはないと思うけど、君の場合、今までほとんど服装に気遣ってなかったみたいじゃない。
だから、デートに着て行けそうな服は、先日買ったあの服しかない。
毎度毎度、同じ服ってわけにはいかないから、妹さんもそう言ったんじゃない?」
「あ……」
なんだ、そういうことか。
言われてみたら確かにそうだ。
私が持ってる服の中には、デート向きなのは一着もない。
あと何着か買わなきゃいけないのは当然だよね。
私はそんなことにも気付いてなかったけど、凛子は、わかってたんだね。
自分の愚かさにがっかりだ。
「あれ?どうかしたの?」
「い、いえ。」
そうは言ったものの、がっかりし過ぎて顔が上げられない。
「そんなに考え込むんじゃないの。
ほらほら、肩の力を抜いて。
良いかい?ここはアトラクションだよ。
悩むためにここに来たんじゃない。
楽しむために、君はここに来たんだよ。」
(楽しむために…)
そうだ、そうだった!
ここでは楽しまなきゃいけないのに、またいつもの真面目癖が出てしまったんだ。
「は、はいっ!
私…楽しみます!」
私がそう言うと、クニさんはとても優しい笑顔を浮かべ…
クニさんって、本当に良い人だね。
心がじわっと温もった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる