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しおりを挟む「……人間の世界に行けるのはごく限られたうさぎだけだ。
僕の一族は先祖代々その特権を持ってるけど、それでもそう頻繁に扉を開く事は許されない。
第一、開けたくても鍵がみつからないだろうし…」
「あの、さ…うさちゃん…
言ってることがよくわからないんだけど…」
私がそう言うと、うさぎは一瞬呆れたような顔をして、その後俯き加減に小さく首を振った。
「……つまりだな。
君は元の世界に帰りたいのだろう?
だが、人間界に…さっき、君がいたあの森だが…あそこへの扉には鍵がかかっていて、その扉はそう頻繁には開けてはならない。
さらに言えば、開けたくてもおそらく鍵がみつからないだろうということなのだが…わかるか?」
あの…うさちゃん…
そういうことでなくて…
っていうか、それはさっきも聞いたから…
…と、言いたい所だったけど、うんざりしたようなうさぎの顔を見ていると、わざわざ説明するのも億劫になって来て…
私はこのややこしい夢にいやけが差してきていた。
あぁ、なんでも良いから早く決着を着けて目覚めたい!
「うさちゃん、私がその鍵探して来るよ。
どこにあるの?」
どういう意味だかわからないけど、私がそう言うとうさぎは短い鼻をひくひくさせて、緑の絨毯の方に顔を向けた。
「あそこだ。
鍵きのこはこの平原に育つんだ。
だが、その数は非常に少ない。
しかも、今日僕がそれを採ってしまったから、ここにはもうないかもしれない。
鍵きのこは三ヶ月程で成育するから、みつからなかったら三ヶ月は待たねばなるまい。」
さ……三ヶ月……?
それに、扉の鍵がきのこって、何なんだ、それ!?
意味不明なファンタジーなこの夢にますます腹が立ってきた。
ファンタジーっていうよりRPGだ。
難題を克服するためには、それなりの努力をしなければならない…
苛々しながらも、それをクリアしないことには先に進めないから、泣きそうになりながらも頑張って…だから、私はRPGが嫌いなのに、なんで夢の中でまでそんな目にあわなきゃならないんだ!?
ぢーぐーじょーーーーー!
絶対にみつけてやるさ!
だって、私にはこれからすごく楽しいことが待ってるんだもん。
きのこの鍵さえみつかれば、このおかしな夢から覚めることが出来るんだ!
……多分ね。
いくらなんでもその先はないと思うから、何がなんでもみつけてやる~~!
私はその場にしゃがみこみ、目を皿のようにしてきのこの鍵とやらを探し始めた。
それがどんなものかなんて知るはずもなかったけれど、とりあえずきのこを探せば良いんだと思う。
このあたりに生えてるのは明らかにきのこじゃない同じ種類の雑草…?みたいなもの。
だから、それじゃないものを探せば良いんだ!
なんだ、そんなこと、チョロい、チョロい!
私は自分自身を鼓舞するために、心の中でそう言い聞かせた。
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