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洞
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「ねぇ…私と付き合ってみない?」
「……え?」
目の前にいる女子が、あまりにも似合わない言葉を口にするから僕はすっかり戸惑ってしまった。
「私のこと、嫌い?」
「え…?き、嫌いじゃないけど…」
「じゃあ…」
「いや、今はそういうこと考えられないんだ。
受験のことで頭がいっぱいで。」
「受験するのは私も同じよ。
でも、付き合うことが必ずしも受験の邪魔にはならないと思うけど…」
「ご、ごめん、僕には受験しか考えられないから。」
そう言って、僕は教室から逃げ出した。
まるで、野良犬に追いかけられてるみたいに、僕は全速力で家路を急いだ。
心臓が口から飛び出しそうに激しく動いてる。
そして、さっきの言葉が、頭の中をぐるぐると回り続ける。
『ねぇ…私と付き合ってみない?』
どう考えても、彼女にはやはり不似合いな言い回しだ。
このセリフを言った女子は、島田理沙。
小柄で、いつもなんだかせかせかしてて小動物っぽいせいか、『シマリス』っていうニックネームで呼ばれてる。
彼女について僕が知ってるのは、そのくらいのものだ。
彼女はクラスメイトとはいえ、それほど目立つ存在ではなくて…
それに、今まで特に接点もなかったし、関心もなかった。
その彼女にいきなり訊かれたんだ。
「ねぇ、岡本君、彼女いるの?」
って。
僕は、ありのままを答えた。
いない、と。
でも、まさかその後にあんなことを言われるなんて、考えてもいなかった。
そもそも、なんで僕なんかに関心を持つのかわからない。
僕も言ってみれば、彼女と同じようなタイプだ。
特に、秀でたところもなければ、逆に劣っているところもない。
地味で目立たないタイプだ。
女の子から告白されたこともない。
だから、今回のことは本来なら喜ぶべきことなのかもしれないけど…
でも、僕は逃げてしまった。
なぜかはわからなかったけど…
彼女のことが嫌いなわけじゃない。
だからといって、好きでもない。
だったら、確かに彼女の言うように付き合ってみても良かったのかもしれない。
けど…僕は逃げてしまったんだ。
「……え?」
目の前にいる女子が、あまりにも似合わない言葉を口にするから僕はすっかり戸惑ってしまった。
「私のこと、嫌い?」
「え…?き、嫌いじゃないけど…」
「じゃあ…」
「いや、今はそういうこと考えられないんだ。
受験のことで頭がいっぱいで。」
「受験するのは私も同じよ。
でも、付き合うことが必ずしも受験の邪魔にはならないと思うけど…」
「ご、ごめん、僕には受験しか考えられないから。」
そう言って、僕は教室から逃げ出した。
まるで、野良犬に追いかけられてるみたいに、僕は全速力で家路を急いだ。
心臓が口から飛び出しそうに激しく動いてる。
そして、さっきの言葉が、頭の中をぐるぐると回り続ける。
『ねぇ…私と付き合ってみない?』
どう考えても、彼女にはやはり不似合いな言い回しだ。
このセリフを言った女子は、島田理沙。
小柄で、いつもなんだかせかせかしてて小動物っぽいせいか、『シマリス』っていうニックネームで呼ばれてる。
彼女について僕が知ってるのは、そのくらいのものだ。
彼女はクラスメイトとはいえ、それほど目立つ存在ではなくて…
それに、今まで特に接点もなかったし、関心もなかった。
その彼女にいきなり訊かれたんだ。
「ねぇ、岡本君、彼女いるの?」
って。
僕は、ありのままを答えた。
いない、と。
でも、まさかその後にあんなことを言われるなんて、考えてもいなかった。
そもそも、なんで僕なんかに関心を持つのかわからない。
僕も言ってみれば、彼女と同じようなタイプだ。
特に、秀でたところもなければ、逆に劣っているところもない。
地味で目立たないタイプだ。
女の子から告白されたこともない。
だから、今回のことは本来なら喜ぶべきことなのかもしれないけど…
でも、僕は逃げてしまった。
なぜかはわからなかったけど…
彼女のことが嫌いなわけじゃない。
だからといって、好きでもない。
だったら、確かに彼女の言うように付き合ってみても良かったのかもしれない。
けど…僕は逃げてしまったんだ。
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