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洞
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どんな顔をしていけば良いのか…僕は次の日、彼女に会うのが怖かった。
僕が良い返事をしなかったから、彼女が落ち込んでいるんじゃないかとかいろいろ考えていたけれど…意外にも、彼女に特に変わった様子はなく、女子達と何か話しながら明るく笑っていた。
でも、それは僕に気遣って…或いは彼女のプライドのためかもしれない。
僕は平静を装いつつ、気付けば彼女のことを盗み見て、彼女の声に聞き耳を立てていた。
次の日も、またその次の日も…
僕は、彼女のことを毎日じっと観察するようになっていた。
時が経つにつれ、僕は彼女についていろいろなことを知るようになっていた。
彼女の好きな食べ物、好きな芸能人、苦手な科目、好きな本…
皮肉なことに、僕はいつの間にか、彼女に強く惹かれていた。
そして、それが恋心なのか、それとも単なる興味なのか、僕にはそんなことさえ良くわからなかった。
ただ、彼女のことが気になって仕方がなかった。
でも、だからといって、僕には何か行動を起こすことは出来ない。
何がしたいのかもわからないし、何かをする勇気もない。
だけど、転機は突然やって来た。
*
(あ……)
忘れ物をして放課後の教室に戻ったら、そこに彼女がいた。
目が合った瞬間…顔が急激に熱くなるのを感じた。
「どうしたの?忘れ物?」
「う、うん、そうなんだ。」
動揺を僕は懸命に隠した。
「岡本君…これ、あげる。」
「え?」
僕は戸惑いながらも、反射的に片手を差し出していた。
掌に載せられたのは、小さなシマリスのストラップだった。
「……良いの?」
「うん、もらってくれる?」
「ありがとう。」
胸が震えた。
たかがストラップ…だけど、シマリスと呼ばれる彼女がくれたシマリスのストラップは、まるで、彼女の一部みたいに思えて、僕は嬉しくてたまらなかった。
なのに、僕はありがとう以外の言葉は何も言えず…
彼女もその後何かを言うこともなく、僕は教室にいる理由を失って、仕方なく外へ出てしまった。
言いたいことも、聞きたいこともあったのに…僕は本当に意気地なしだ。
僕が良い返事をしなかったから、彼女が落ち込んでいるんじゃないかとかいろいろ考えていたけれど…意外にも、彼女に特に変わった様子はなく、女子達と何か話しながら明るく笑っていた。
でも、それは僕に気遣って…或いは彼女のプライドのためかもしれない。
僕は平静を装いつつ、気付けば彼女のことを盗み見て、彼女の声に聞き耳を立てていた。
次の日も、またその次の日も…
僕は、彼女のことを毎日じっと観察するようになっていた。
時が経つにつれ、僕は彼女についていろいろなことを知るようになっていた。
彼女の好きな食べ物、好きな芸能人、苦手な科目、好きな本…
皮肉なことに、僕はいつの間にか、彼女に強く惹かれていた。
そして、それが恋心なのか、それとも単なる興味なのか、僕にはそんなことさえ良くわからなかった。
ただ、彼女のことが気になって仕方がなかった。
でも、だからといって、僕には何か行動を起こすことは出来ない。
何がしたいのかもわからないし、何かをする勇気もない。
だけど、転機は突然やって来た。
*
(あ……)
忘れ物をして放課後の教室に戻ったら、そこに彼女がいた。
目が合った瞬間…顔が急激に熱くなるのを感じた。
「どうしたの?忘れ物?」
「う、うん、そうなんだ。」
動揺を僕は懸命に隠した。
「岡本君…これ、あげる。」
「え?」
僕は戸惑いながらも、反射的に片手を差し出していた。
掌に載せられたのは、小さなシマリスのストラップだった。
「……良いの?」
「うん、もらってくれる?」
「ありがとう。」
胸が震えた。
たかがストラップ…だけど、シマリスと呼ばれる彼女がくれたシマリスのストラップは、まるで、彼女の一部みたいに思えて、僕は嬉しくてたまらなかった。
なのに、僕はありがとう以外の言葉は何も言えず…
彼女もその後何かを言うこともなく、僕は教室にいる理由を失って、仕方なく外へ出てしまった。
言いたいことも、聞きたいこともあったのに…僕は本当に意気地なしだ。
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