27 / 50
side アラステア
14
しおりを挟む
「アラステア、どうするつもりなの?
彼に私のことを話すの?」
僕はゆっくりと首を振る。
「言った所で、彼は信じてくれないよ。
なんせ、彼は生真面目な人だからね。」
「それじゃあ……」
「きっと僕は、新しいお医者に連れて行かれるだろうね。
この部屋には出入りさせてもらえなくなるかもしれないし、そうじゃなけりゃこの鏡を処分されるかもしれない。」
「そんな……」
「……大丈夫だよ。心配しないで…」
それは、賭けにも等しいものだった。
僕は自分でもスコットと同じようなことを考えることがあった。
僕が現実だと思っているものは、本当は実態のないただの妄想なのかもしれないと……
フィリスなんて、本当はどこにもいないのかもしれないと。
その度に、僕はそんな考えを必死に打ち消した。
彼女は妄想なんかじゃない。
いや…妄想だってなんだって良いんだ。
どうか、僕から彼女を奪わないで…!
(君のことは誰よりも信頼してたのに……)
僕は、彼女と絶対に離れない。
「フィリス……離れて。」
「アラステア……何をするつもりなの!?」
「僕はもう決めたんだ……」
僕は、鏡から離れ、大きく息を吸い込むと、助走をつけて全速力で走り出した。
フィリスがただの妄想ならば、僕は鏡の破片に貫かれ、血みどろになって死ぬだろう。
でも、そうでなければ……
ぶつかる!!
そう思った瞬間、僕は薄暗い冷え冷えとした部屋に転がっていた。
転がった時に打ったのか、足に痛みは感じたけれど、血は一滴も流れていなかった。
「あっ!」
鏡の向こうに、見慣れた光景が広がっていた。
さっきまで僕のいたあの部屋だ。
「ずいぶんと思い切ったことを……」
背中から聞こえた低い声に、僕は後ろを振り向いた。
彼に私のことを話すの?」
僕はゆっくりと首を振る。
「言った所で、彼は信じてくれないよ。
なんせ、彼は生真面目な人だからね。」
「それじゃあ……」
「きっと僕は、新しいお医者に連れて行かれるだろうね。
この部屋には出入りさせてもらえなくなるかもしれないし、そうじゃなけりゃこの鏡を処分されるかもしれない。」
「そんな……」
「……大丈夫だよ。心配しないで…」
それは、賭けにも等しいものだった。
僕は自分でもスコットと同じようなことを考えることがあった。
僕が現実だと思っているものは、本当は実態のないただの妄想なのかもしれないと……
フィリスなんて、本当はどこにもいないのかもしれないと。
その度に、僕はそんな考えを必死に打ち消した。
彼女は妄想なんかじゃない。
いや…妄想だってなんだって良いんだ。
どうか、僕から彼女を奪わないで…!
(君のことは誰よりも信頼してたのに……)
僕は、彼女と絶対に離れない。
「フィリス……離れて。」
「アラステア……何をするつもりなの!?」
「僕はもう決めたんだ……」
僕は、鏡から離れ、大きく息を吸い込むと、助走をつけて全速力で走り出した。
フィリスがただの妄想ならば、僕は鏡の破片に貫かれ、血みどろになって死ぬだろう。
でも、そうでなければ……
ぶつかる!!
そう思った瞬間、僕は薄暗い冷え冷えとした部屋に転がっていた。
転がった時に打ったのか、足に痛みは感じたけれど、血は一滴も流れていなかった。
「あっ!」
鏡の向こうに、見慣れた光景が広がっていた。
さっきまで僕のいたあの部屋だ。
「ずいぶんと思い切ったことを……」
背中から聞こえた低い声に、僕は後ろを振り向いた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
真実の愛は水晶の中に
立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。
しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。
※「なろう」にも重複投稿しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる