地下の初恋

神在琉葵(かみありるき)

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鏡の中と外

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「これほどのことをしても、鏡には何の影響も与えない。
もちろん、スコットもこんな騒ぎには全く気付かない。」

アラステアは、何も答えずただぼんやりとスコットの方を見ていた。




 「私もここに来たばかりの時は、なんとか出られる方法はないものかと、あらゆる手を尽くしたものだ。
あまりに無茶をしすぎて、肩を痛めたこともあった。
おそらく骨が折れたんだと思う。
あの時は本当に痛かったぞ。
 痛みで眠れぬ夜が幾日も続き…そうなってやっと、私はこんなことをしても無駄だと気付いた。
 我ながら、愚かだと思うよ。」

レオナールはそう言って、失笑する。
その話にも言葉を返すことのないアラステアに、レオナールの表情は固くなる。




 「おまえは本当に勝手な奴なのだな。
あいつを裏切ってこちらに来たというのに、ここに愛しいフィリスちゃんがいないとわかると、またあいつに助けを求める…
あいつはおまえに振り回されてばかりだな。」

 「……確かに、君の言う通りだ。」

その言葉に、アラステアの心は重く沈んだ。
 本当にことだけに、何も言い返すことが出来ない。
アラステアは、その場に立ち尽くしたまま、すぐ傍にいるスコットを悲しい瞳でみつめた。



 「……案ずることはない。
 奴もじきに諦めるさ。」

 「そ、そんなことはない!
たとえ、僕がここから出られる手立てがなかったとしても、彼は、そんなに簡単に僕を見捨てたりしない!」

 熱く叫ぶアラステアとは裏腹に、レオナールは、冷たい微笑みを浮かべた。



 (僕は本当に自分勝手だ…)



 *




それから数日後、レオナールの言ったことが早くも現実のものとなった。
スコットが地下室を訪れることはぴたりとなくなったのだ。

 彼の訪問を信じ、今か今かと待ちわびるアラステアの心にも、やがて、見捨てられたのだという諦めの気持ちが芽生え始めていた。

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