地下の初恋

神在琉葵(かみありるき)

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鏡の中と外

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 (スコット…)




 毎日のように、地下室を訪れるスコットに、アラステアの胸は痛んだ。



 (ごめんよ、スコット…
僕は、自分のことしか考えてなかった。
 周りからあれこれ言われるのが煩わしくて…フィリスと引き離されることを畏れて、僕は鏡の中へ飛び込んだ。
ここに来れば、すべてがうまくいくと…幸せになれるんだと思ってた。
 僕は、なんて愚かだったんだろう……)



 「スコット!
 僕はここだ!スコット!」



アラステアは、鏡を叩きながら、声を限りに彼の名を叫んだが、その声がスコットに届くことはなかった。



 「またそんなことをしているのか……」

 背後から聞こえて来る低い声に、アラステアの動きが止まった。



 「無駄だと言っただろう?
こちらの声は向こうには届かない。
おまえに私の声が聞こえたのは奇蹟だ。
 奇蹟とはそう度々起きるものではない。」

 「彼は、特別だ。
 彼ならきっと……」

 「おまえをここから出してくれるとでも言うのか?」

 男は、アラステアを挑発するような視線でみつめた。



 「ならば、見ているが良い。」

レオナールは、鏡に向かって助走をつけ、獣のような雄叫びを上げて突進する。
しかし、鏡はそんなこと等ものともせず、レオナールの逞しい身体を撥ね飛ばした。
もんどりうって転がったレオナールは、再び立ち上がり、鏡に向かって突進する。
 何度も何度も繰り返されるその行動にアラステアはついに声を上げた。




 「もう、やめて!」

レオナールはゆっくりと立ち上がり、片手で乱れた髪を直し、大きく肩を動かして弾む息を整えた。
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