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鏡の中と外
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「確かに、そんな話を聞いたことがあります。」
執事は、そう言ってゆっくりと頷いた。
「なんでも、片方の鏡に酔客がぶつかり、それでひびが入ったか、割れたかしてしまったのだそうです。
それで、そのまま処分するにはもったいないということで、無事だった部分から、姿見だったかなんだったかを作ったとか……」
「それで、その鏡はこちらにあるのですか?」
「はて、それはどうでしたか…
あ…もしかしたら、納戸にあるかもしれませんが…なんせ大昔のことですから、確かなことは…」
「リチャード…一応、それを確かめてくれ。」
「ぼ、僕も一緒に探します!」
それから、リチャードと数人の使用人達が駆り出され、スコットと共に納戸の中や屋根裏を探し回った。
鏡はいくつもみつかったが、それらは比較的新しく、ごくありふれたものばかりで、スコットの探すものはなかった。
「残念ながら、ありませんね。」
「そうでしたか…
お手間を取らせて、どうもすみませんでした。」
「スコット君、そう気落ちすることはありません。
また、何か情報が入るかもしれませんから、しばらくうちに滞在されると良い。」
「エクトルさん、ありがとうございます。」
口ではそう答えたが、スコットの気持ちは、優しいエクトルの言葉にも癒されることはなかった。
すべての手掛かりが断たれたように思え、スコットは絶望的な気持ちを感じていた。
「そうだ、広間をご覧になりますか?
もう鏡はありませんが……」
「……そうですね。」
スコットにはもうどうでも良いことだったが、エクトルの好意に素直に従った。
「……この先が広間になります。」
「そうですか。」
広間に通じる控えの間に入った時、リチャードが小さな声を上げた。
「旦那様、もしやあれが……」
リチャードの指差す先には、壁に掛けられた鏡があった。
「あ……」
その鏡には、アラステアの地下室で見たものとよく似た金の縁取りがあることに、スコットは気付いた。
執事は、そう言ってゆっくりと頷いた。
「なんでも、片方の鏡に酔客がぶつかり、それでひびが入ったか、割れたかしてしまったのだそうです。
それで、そのまま処分するにはもったいないということで、無事だった部分から、姿見だったかなんだったかを作ったとか……」
「それで、その鏡はこちらにあるのですか?」
「はて、それはどうでしたか…
あ…もしかしたら、納戸にあるかもしれませんが…なんせ大昔のことですから、確かなことは…」
「リチャード…一応、それを確かめてくれ。」
「ぼ、僕も一緒に探します!」
それから、リチャードと数人の使用人達が駆り出され、スコットと共に納戸の中や屋根裏を探し回った。
鏡はいくつもみつかったが、それらは比較的新しく、ごくありふれたものばかりで、スコットの探すものはなかった。
「残念ながら、ありませんね。」
「そうでしたか…
お手間を取らせて、どうもすみませんでした。」
「スコット君、そう気落ちすることはありません。
また、何か情報が入るかもしれませんから、しばらくうちに滞在されると良い。」
「エクトルさん、ありがとうございます。」
口ではそう答えたが、スコットの気持ちは、優しいエクトルの言葉にも癒されることはなかった。
すべての手掛かりが断たれたように思え、スコットは絶望的な気持ちを感じていた。
「そうだ、広間をご覧になりますか?
もう鏡はありませんが……」
「……そうですね。」
スコットにはもうどうでも良いことだったが、エクトルの好意に素直に従った。
「……この先が広間になります。」
「そうですか。」
広間に通じる控えの間に入った時、リチャードが小さな声を上げた。
「旦那様、もしやあれが……」
リチャードの指差す先には、壁に掛けられた鏡があった。
「あ……」
その鏡には、アラステアの地下室で見たものとよく似た金の縁取りがあることに、スコットは気付いた。
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