地下の初恋

神在琉葵(かみありるき)

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鏡の中と外

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「エクトルさん!どうかお願いします!
あの鏡を僕に譲っていただけませんか?」

 「……構いませんよ。」

エクトルは、使用人に申付け、すぐに鏡を壁から降ろした。



 *



 「では、お気をつけて。
あなたのご親戚が、早くみつかられますように。」

 「ありがとうございます。
エクトルさん、本当にお世話になりました。」

 鏡が手に入ったからといって、それが役に立つのかどうかはわからなかったが、なぜだかスコットにはそれが一筋の光のように感じられた。
エクトルから譲ってもらった鏡を大切に胸に抱き、スコットはまた馬車を乗り継ぎ、アラステアの屋敷を目指した。



だが、屋敷に近付くにつれ、スコットの心は重く沈んだ。
 冷静になればなるほど、心の中は暗い色で塗り潰された。




 (僕はなぜあんなに浮かれてたんだろう?
 鏡が手に入ったからといって、それで何が出来るっていうんだ?
そうだ…僕はアラステアのあの鏡の出所を突き止めたに過ぎない。
あの鏡と対の鏡の一部を譲ってもらったけれど、それがなんだって言うんだ!
これで、アラステアの居所がわかると言うのか?

……僕はこの何ケ月もの間、一体、何をしてたんだ!?)




うなだれるスコットの瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
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