夜を歩いて

神在琉葵(かみありるき)

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(……あれ?)



 近所の公園に差し掛かると、ブランコに座り、涙を流す女子高生をみつけた。
 少女は顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き続けていた。



 「良かったら、どうぞ。」

 僕は隣のブランコに座りハンカチを差し出した。
 少女は、僕を一瞥し、顔を背けた。



 「余計なお世話だったかな?
ごめんよ。おじさんって奴はおせっかいでいけないよね。」

 少女は黙っていたが、やがて、僕のハンカチにそっと手を伸ばした。



 「ガム食べる?」

 少女は涙を拭いながら、小さく頷いた。
 僕はポケットの板ガムを一枚、彼女の前に差し出した。



 「なにかあった?」

 最初は黙ってた彼女も、心が重かったのか、ぽつりぽつりと言葉を吐き出した。
どうやら彼女は、付き合ってた彼氏にふられたらしい。
しかも、女友達に彼氏を取られたと言うのだ。



 「そっか…そりゃあ酷い話だね。
 君が傷つくのも当然だよ。」

 「そうでしょ?私、もう生きていく気力がないよ…」

 「何言ってんだよ。世の中にはまだまだ山ほど良い男がいるんだよ。
それに、良いの?
 友達に彼氏を盗られた女ってレッテルを張られたままで…」

 「だって、あれは私にとって、最初で最後の恋だったんだもん…」

 彼女の言葉に僕は思わず噴き出してしまった。



 「何よ、笑うことないでしょ!
 失礼ね!」

 「君、一体いくつなの?
まだ十代で最後の恋なんてわけないじゃない。」

 「私はそれだけ真剣に悟のことを愛してたの!」

 「それは良いことだと思うよ。
でもね…真剣に愛しててもうまくいかないことはあるし、ふられることだってある。
だけど、その分、チャンスだって一回じゃないんだ。
その気になれば、何度だってあるんだから…」

 「……偉そうなこと言うのね。」

 「まぁ、僕は君の倍くらいは生きてるからね。
 亀の甲より年の功ってやつだよ。」

 僕がそう言うと、少女は突然くすくすと笑い出した。



 「あれ?何か僕、おかしなこと言った?」

 「さすがおじさん…言うことが古いなって思って…」
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