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見知らぬ花嫁
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教会に入ると、岡林がすでにいた。
「あ、岡林さん…こん……」
「あの部屋で、服を着替えて来い。」
「え?は、はい。」
挨拶さえする暇も与えてもらえず、僕は部屋に向かった。
今日の岡林は、なんだか機嫌が悪そうだ。
元々愛想の良い人ではないが、今日は沈んでいるようにも見えた。
部屋に入ると、礼服が準備されていた。
僕は、言われた通り、それに着替えた。
鏡に映った僕には、純白の礼服が全く似合ってない。
あまりに似合わな過ぎて、笑いが込み上がる程だ。
日に焼けた、結婚をするには老けすぎている顔が浮きまくっている。
僕の両親は、この姿を雲の上から見ているだろうか?
見ていたら恥ずかしい…
それに、心配をかけて申し訳ない。
(父さん、母さん…どうか、僕を守って下さい。)
申し訳ないとは思いながら、つい心細くて、心の中でそんなことを祈った。
「準備は出来たのか?」
不意にドアが開いて、岡林が顔をのぞかせた。
「は、はい。」
「じゃあ、早く来い!」
礼拝堂の扉を開くと、そこに参列者は一人もいなかった。
花嫁は車椅子に乗り、すでに主祭壇の前にいた。
具合でも悪いのか、それとも何らかの障害か?
別にそんなことはどうでも良いが…
その場所に神父はいなかった。
おかしいなと思いながらも、僕は、花嫁の後ろ姿を見ながらひとりでバージンロードを歩いて行った。
「あ、あの…今日はよろしくお願いします。」
僕は小声で花嫁に声をかけた。
花嫁は俯き、何も返事をしなかった。
「大垣満は岡林美津子を妻とするな?」
僕らの前に立った岡林が神父の真似事をする。
彼は今『岡林美津子』と言った。
岡林の身内なのだろうか?
「は、はい。」
僕にはそう言うしかない。
「よし、これでお前たちは晴れて夫婦だ。」
そう言うと、岡林は花嫁の車椅子の後ろに回り、それを動かした。
その時、ぐらりと花嫁の体が前のめりに車椅子から転がり落ちたのだ。
(ま、まさか!?)
床に転がったその体は、ぴくりとも動かなかった。
「あ、岡林さん…こん……」
「あの部屋で、服を着替えて来い。」
「え?は、はい。」
挨拶さえする暇も与えてもらえず、僕は部屋に向かった。
今日の岡林は、なんだか機嫌が悪そうだ。
元々愛想の良い人ではないが、今日は沈んでいるようにも見えた。
部屋に入ると、礼服が準備されていた。
僕は、言われた通り、それに着替えた。
鏡に映った僕には、純白の礼服が全く似合ってない。
あまりに似合わな過ぎて、笑いが込み上がる程だ。
日に焼けた、結婚をするには老けすぎている顔が浮きまくっている。
僕の両親は、この姿を雲の上から見ているだろうか?
見ていたら恥ずかしい…
それに、心配をかけて申し訳ない。
(父さん、母さん…どうか、僕を守って下さい。)
申し訳ないとは思いながら、つい心細くて、心の中でそんなことを祈った。
「準備は出来たのか?」
不意にドアが開いて、岡林が顔をのぞかせた。
「は、はい。」
「じゃあ、早く来い!」
礼拝堂の扉を開くと、そこに参列者は一人もいなかった。
花嫁は車椅子に乗り、すでに主祭壇の前にいた。
具合でも悪いのか、それとも何らかの障害か?
別にそんなことはどうでも良いが…
その場所に神父はいなかった。
おかしいなと思いながらも、僕は、花嫁の後ろ姿を見ながらひとりでバージンロードを歩いて行った。
「あ、あの…今日はよろしくお願いします。」
僕は小声で花嫁に声をかけた。
花嫁は俯き、何も返事をしなかった。
「大垣満は岡林美津子を妻とするな?」
僕らの前に立った岡林が神父の真似事をする。
彼は今『岡林美津子』と言った。
岡林の身内なのだろうか?
「は、はい。」
僕にはそう言うしかない。
「よし、これでお前たちは晴れて夫婦だ。」
そう言うと、岡林は花嫁の車椅子の後ろに回り、それを動かした。
その時、ぐらりと花嫁の体が前のめりに車椅子から転がり落ちたのだ。
(ま、まさか!?)
床に転がったその体は、ぴくりとも動かなかった。
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