ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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人形師Ⅱ

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良かった…これで、この国は救われた…
撤退していく隣国の兵士達を見て僕がそう思った時だった。



 「……え?」



めらめらと赤い炎が僕の目に映ったのだ。
それは、僕たちの住む村のあたりからだった。
 撤退して行く兵士達が、腹いせに火を付けたのだ。



 「ア、アニー!」

 僕は命がけで駆け出した。
 村に向かって…



だが、その間にも赤い炎はどんどん燃え広がって行く。
 僕は、死に物狂いで走り続けた。




 *



 「エディ!」

 村の傍には、村人たちが身を寄せ合っていた。
だけど、そこにアニーの姿はなかった。
 僕はすぐさま、燃え盛る村の中に飛び込もうとした。



 「エディ!何をする気だ!
 村人たちは全員無事だ!」

 僕は木こりのロバートさんに強い力で引き留められた。



 「アニーがいないじゃないか!
アニーを助けなきゃ!」

 「アニー?何を言っている?
アニーならもう何年も前に…あっ!エディ!
やめろ!エディー!」



 僕は、ロバートさんの手を振り切り、燃え盛る村の中に飛びこんだ。
 助けなきゃ…!アニーを助けなきゃ!
そう思ったら、炎なんて少しも怖くなかった。



 ***



 次の日、エディの家で、人形に寄り添いながら焼け死んでいたエディの亡骸がみつかった。



 「エディ…なんでこんなことに…」

 村人たちは、皆、一様に涙した。
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