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「セシリア!」

「レオナール!」




教会の前で待つセシリアが大きく手を振り、私の方へ駆けて来る。
私もそれに応えて駆け出した。




「待たせたかな?」

「いえ、私もついさっき来たところです。」



彼女の顔を見るだけで、こんなにも胸が弾むのはなぜだろう。
ほんの数日会わなかっただけなのに、その間もずっと彼女のことが頭から離れなかった。




抱きしめたい気持ちをぐっと堪えて、私は彼女と同じ歩調で歩き出した。




「どこに行きましょう?」

「まずはランチに行きましょうか?
早くに出て来過ぎたからお腹がすきまし…あ…」

「え?」




目を丸くするセシリアは、慌てて口元を押さえた。
私はそんなセシリアに思わず吹き出した。




「では、急ぎましょう。
あなたが腹ペコで倒れないうちに…」

「まぁっ…!」



セシリアも笑った。
いつもと変わらない純真な笑顔で…
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