忘れえぬ人

１７

セシリアが……




彼女が…死んだ…？




 怖れていた最悪の事態起きてしまったとがいうのか…？



 私の心はその残酷な事実に、粉々に砕け散った。
声を張りあげて彼女の名を呼び、何度も透明の壁に身体をぶつけた。



なぜだ…なぜ、私に彼女を救わせなかった？
私には、彼女を救うことが出来たのに…




悲しくて悔しくて、たまらなかった。
泣いて喚いて、めちゃくちゃに暴れて…
それでも、私の心は少しも落ち着くことは出来なかった。




 私が鏡の世界に封じ込められたということなど、どうでも良かった。




この世から…私の目の前から、彼女が姿を消したという事実だけが、私の胸を支配していた。
それ以外のことなど、何も考えられなかった。