SFSS集

再会

４

「酷いじゃないか！」



 僕は、恵美に一言も言わずに帰還させられたことを抗議したが、帰還の時刻は絶対だと一蹴された。 



 壊れたのは腕時計の機能だけだったらしい。 
 心配することなんてなかったのだ。 



 恵美のことが気になり、僕は何も手に付かない。 
 恵美に会って謝りたい。 



そうだ！もう一度、調査の旅に行くんだ！ 



 僕は、調査結果をまとめる作業に取りかかった。 
それを済ませない限り、新たな旅には出られないからだ。 
しかし、膨大な調査結果をまとめるのには、三年近い時間がかかった。 



それから、また昭和への調査を希望したが、最近は昭和が人気でなかなか予約が取れない。 



 「えっ！2043年にキャンセルが！？」

 「昭和ではありませんが…」

 「結構です！」

 僕は、2043年に飛び立った。 
 恵美が生きていれば、８３歳になっているはずだ。 
 僕は恵美の消息を探した。 



そして、半年後…僕はついに恵美をみつけた。 



 「恵美…」

 「こ、浩二さん…」

 彼女は僕が知る恵美とはまるで別人のようになっていた。
 髪は白く、顔には皺が刻まれ、以前よりもずっと小さくなっていた。 



 「恵美…ごめん…」

 「…あの話は本当だったのね。」

 恵美は皺だらけの頬を一筋の涙で濡らした。 



 僕は、帰還の日の事を…元の世界に戻ってからの事を一気に話した。 



 「…そうだったの…」

 「本当にすまなかった。」

 「謝ることなんてないわ。私は幸せだったもの…」

 僕は、小さくなった彼女をそっと抱き締めた。 



 「会えて良かった…」

その言葉に嘘はない。 
 見た目がどれ程変わろうと、僕は彼女に会えた事が嬉しかった。 



 「あの時の続きを再開したい。」

 「馬鹿な…」

 「君の傍にいさせてくれ。」



 彼女に残された時間はそう長くはないだろう。 



でも、だからこそ…僕は彼女の傍にいたかった。



 「恵美…これからはずっと一緒だよ。」

 恵美は、潤んだ瞳で僕を見つめ、ゆっくりと頷いた。