怖くないホラーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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隣人

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僕は、段ボールだらけの部屋をしみじみと眺めた。
靴を何足か置いたらいっぱいになるような狭い玄関、そこから繋がる小さな台所と、部屋は4畳半と6畳の二間という典型的なアパートの間取りだ。



(今日からここでの新生活が始まるんだ…!)







「本当に三年だけだからな!」

「わかってるよ。」



それは絶対に破ることは出来ない親父との約束。
僕の家は、先祖代々農業を営んでる。
当然、僕も家業を継ぐことになっている。



そう…将来は決まっているけど…僕には小さな夢があった。



それは、都会で暮らすこと。



馬鹿みたいな夢だって友達には笑われたけど、それでも僕にとっては大切な夢だ。
僕は、地元の農大を卒業したその晩、両親にその夢を打ち明けた。
ほんの少しで良いから、都会で生活してみたいと懇願した。



両親は数日考えた結果、僕の夢のために三年の期間をくれた。
一切の援助はしない。
それでも良いなら、都会で暮らして良いと言ってくれたんだ。



信じられないような気分だった。
僕は早速、行動を開始した。
三年なんてあっという間だ。
わずかでも、時間を無駄にはしたくなかったから。



どうせ住むなら都会の中でも特に賑やかな所…
そう思ったけど、やっぱりどこか怖かった。
ネットで情報を調べ、僕は程々の所を拠点にに決めた。
早速、そこに行って、駅前のビジネスホテルに泊まり、仕事と家を探した。
職安に行くのも不動産屋に行くことも初めての経験だ。



そんなことをしている間にも貯金はどんどん減って行く。
地元とは違い、都会の家賃は本当に高い。
小洒落たマンションなんてとてもじゃないけど、借りられるはずもなかった。



僕に借りられたのは、駅から徒歩20分の古い木造アパートだった。
それでも家賃は5万近い。
地元だったら、一軒家が借りられる家賃だ。



「ここはとてもお得な物件ですよ。
駅からは少し離れてますが、自転車にでも乗ればすぐですよ。バス停も近いですし。」

「そうなんですか…でも、少し暗いですね。」


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