怖くないホラーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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隣人

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 「へぇ、そうなんだ。
でも、全然訛りがないね。」

 「訛らないように無理してるんですよ。」



 引っ越しから三日後がスーパーの初出勤だった。
 昼休みには、同僚の人達が気さくに声をかけてくれた。



 「ところで、家はどこ?この辺りなの?」

 「はい、ここから二つ目の駅の…」

 「あぁ、〇〇町だね。
なかなか良い所じゃないか。」



やはりこの場所にしたのは、正解だった。
 都会でも、下町ならではの人情があって暮らしやすい。
 両隣の二人は、会えば必ず何か話しかけてくれるし、職場の人も良い感じの人ばかりで、僕の都会暮らしはとても快適だった。



 「あら、沢田さん…お帰り。
初仕事はどうだった?」

 「あ、山岡のおばあちゃん、ただいまです。」



ちょっとした会話でも、気持ちが和む。
 休みの日には、憧れていた場所に遊びに行ったり、買い物に行ったり…楽しい日々が続いた。



そんなある日、僕は同僚の家に招かれた。
 僕より三年先輩のその人の家は、まさに僕が理想としていた小洒落たマンションだった。
 実家がお金持ちっていう噂はどうやら本当らしい。



 「うわぁ…さすがに良い眺めですね。」

 「それ程じゃないよ。なんせ六階だからね。」

 「いえ、すごいですよ。」

ベランダからは都会の街並みが一望出来る。
 夜になれば、どれほど美しい夜景が見られるだろうか?



 「あ、あの…不躾な質問ですが、ここって家賃はおいくらなんですか?」

 「14万だけど…」

 「ええっ!!」

 「そのくらいはするでしょ。
沢田ん家はいくらなの?」

 「よ、47000円です。」

 「えっ…!?まさか、ヤバい物件じゃないよね?」

 「えっ!?」



 驚いたことに、47000円っていうのは、滅多にない低家賃らしい。



 「あの…ヤバいっていうのはどういう事ですか?」

 「だから…所謂、事故物件…みたいな…」

 「ええっ!?」

そんなこと、考えた事がなかった。
だって、この半年、おかしな出来事なんて何もなかったから。



 僕は、もやもやとした気持ちを抱え家に戻った。
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