おうまいがーーー！

１

「今年もすごいな！」

「良いなぁ…翔は…」

「食べきれないから、チョコは好きなだけ持って帰ってくれよ。」

「えっ！？良いのか？」

「……あぁ。」



俺の周りにいた男子たちが、一斉にチョコの山に手を伸ばした。



バレンタイン・デーはいつもこんな感じだ。
思い出してみれば、幼稚園児の頃から、バレンタイン・デーには持ち切れないほどのチョコをもらったものだ。
頭はいまいちだけど、俺はルックスには恵まれた。
そのおかげで、幸せな人生を過ごさせてもらってる。



中学の時、ここ、聖マウリッツ学園に入学してからは、チョコだけに限らず、プレゼントもついて来るようになった。
しかも、なかなか高級なプレゼントばかりだ。
ブランドものの腕時計、プラチナのネックレス、わに革の財布…
なんせ、ここはそれなりに裕福な家庭じゃないと入れない、セレブな学園。
まるで外国の宮殿のように豪華な校舎、そして、制服は有名デザイナーのデザインによるスタイリッシュなもの。
俺の父親はそこそこの会社の部長で、それほど金持ちって程じゃないけど、おふくろの見栄でこの学園に入ったんだ。