おうまいがーーー!

神在琉葵(かみありるき)

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「あ…ありがとう…」

俺は、震える手を差し出した。



「受け取っていただけるのですか?」

「え?」



あ…そうか…
お金は想いだって言ってたよな。
想いを受け取るってことは、彼女の好意を受け取るってこと…
つまり、俺は、公佳と付き合わなきゃいけないってことか…



今まで俺は特定の彼女を作らなかった。
だからこそ、人気者でいられたとも言える。
だけど、1000万だぞ!
いや、それだけじゃない。
もしかしたら、これが縁で公佳と結婚することになるかもしれない。
そうなったら、俺は西園寺財閥の一員となれるんだ。
今まで、気付きもしなかった俺の野心が目を覚ました瞬間だ。
俺は、ずっしりと重い紙袋を受け取った。



「さすがは翔様ですわ。
これを受け取って下さったということは…」

俺はゆっくりと頷く。



あぁ、かまわない。
公佳なら付き合う相手に不足はない。



公佳は、急に高笑いを始めた。



「あなたに、そんな甲斐性があったとは、驚きました。
では、ホワイト・デーを楽しみにしております。」

「え?……どういうこと?」

「ホワイト・デーのお返しは、三倍返しと相場が決まっておりますわ。
来月、3000万をたのしみにしております。」



「えーーーーーっ!!」



俺は、紙袋をその場に放り投げ、一目散に駆け出した。
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