タイムトリップはいかがですか?

神在琉葵(かみありるき)

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タイムトリップ

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俺達の暮らしは順調だった。 
一緒に住むうちにあいつのことがよくわかってきた。
気が利いて家庭的なあいつに、俺はますます惹かれていった。



ただ、ひとつだけ、うまくいかないことがあった。 



それは家賃や生活費のことだ。 
あいつは俺がどんなに言っても、それを受け取ってくれなかった。 
確かに俺はバイトの身だ。 
だけど、ゆとりはあんまりないにしろ、今までだって俺はひとりで暮らして来たんだ。



「そんなの気にしないでって言ってるでしょ?
あなたが稼いだお金はあなたが好きに使えば良いのよ。」

「なんでだよ。家賃はかからないにしても、俺が転がり込んだんだから、生活費は今までよりかかるだろ。」 

「大丈夫よ。私、これでもけっこう稼いでるし、足りなきゃ残業でもバイトでもするから。」



あいつの気持ちはありがたかったが、俺にもプライドってものがある。 



その話になるといつも気まずい雰囲気になった。
喧嘩をして、数日、口を利かないことさえあった。



なぜ、金を受け取ってくれないんだ。
俺が年下だから?
それとも、俺が不甲斐ない男だからか?
ひがみにも似た気持ちが募り、俺達の関係はだんだんとぎくしゃくしていった。 
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