千夜と一夜の物語

きっせつ

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千夜一夜物語

商人とジン

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ある日、商人の青年はトボトボと落ち込みながら帰路に着いていた。折角大量に仕入れたナツメヤシが1個も売れなかったからだ。

「チクショウ。何で1個も売れないんだ。また、借金が増えた。」

青年は商才がなく、何を売っても上手く売れず、負債だけが積み重なっていく。


荷台に乗せた大量のナツメヤシが重い。
荷台を運んでいたラバが急勾配で悲鳴をあげる。急勾配をやっと登りあげると青年の棲む町が見える丘に出た。ゼェゼェと息をあげるラバに水を飲ませ、自身の棲む町を見下ろしながら丘で休息を取る。

売れない上に重荷になるナツメヤシに腹が立ち、青年は丘の上から投げ捨てた。

「こんなもん。もう要らん!! 」

1個投げ捨てて、少し怒りが収まった青年はその場に腰を落とす。そのままうたた寝でもしようかと思ったが、丘の下から「イテッ。」と声が聞こえた。

青年がナツメヤシを投げ捨てた丘の下には人が居たようで、青年は自身がやったとバレない内にその場から逃げようとした。

「オイ、我にナツメヤシをぶつけておいて逃げようとは良い度胸だな、人間。」

何故か空から声が聞こえる。

恐る恐る青年が空を見ると燃えるような赤い髪に褐色の肌をした男が空に浮かんでいた。

青年は腰を抜かし、その場に倒れ込む。
男は青年の元へ降り、赤い髪を掻き分け、頭にできたタンコブを見せた。

「この鬼神イフリートの頭にこんな不格好なものを作りやがって。どうしてくれようか。」

イフリートと名乗った男の顔が吐息がかかる程近付く。イフリートの吐く息は炎のように熱く。皮膚と髪を少し焦がし、その息は青年の服までも溶かした。

「ひっ。」

服を溶かされ、全裸になってしまった青年。
青年は怯え、後ずさるがイフリートに足を掴まれカエルのように情けなく開脚させられる。

青年の健康的な引き締まった肉体にイフリートは舌舐めずりをした。

「中々美味そうではないか。喰うてやろう。」

「ヒェッ!! 」

ベロンッと熱い舌が青年の身体を舐め回す。
このままでは食い殺されてしまうと青年は怯えながらも逃げようとするが舐められる度に肌が鋭敏になり、口から変な声が漏れ始める。

「ふっ、あ、…ぁん。」

「ふん、好き物め。舐められただけで感じるのか。」

尖ったイフリートの爪でカリッと掻くだけで胸の突起はピンッと熟れあがり、青年の性器からはトロトロとした液体が先走る。

「あ、あぁ…んっ、ゃあ。」

青年の性器から漏れた液体をイフリートは自身の指に入念に塗り付けて、もう既に頭の中まで蕩けてしまった青年の秘孔につぷりと指を差し込んだ。

指を差し込まれた青年は甘い声をあげた。
初めて指を受け入れた筈のそこは掻き混ぜられる度に蕩けていき、指に吸い付いてくるようになった。指を増やしても最初こそ、圧迫感に苦しい表情をするが柔軟にそれを受け入れ、快楽を拾い、達してまう。

「淫乱な人間だ。そんなヤシ売るよりもその感じ易い身体を売った方が余程財を稼げるのではないか。」

「はぅ、あ、…また…イっちゃう。」

「ふんっ、淫乱過ぎて客を喜ばせる以前の問題か。」

何度も吐精を繰り返し、それでも身体から消えぬ甘い疼きと快楽に青年は口から粘度の強くなった涎すら飲み込めず、零れ落ちる。 
青年の目はもう既に焦点が定まっておらず、青年の排泄するだけだった部分はパクパクと刺激を求めて開閉する。

「随分良い仕上がりじゃないか。これなら十分我を受け入れられるな。」

イフリートが自身のモノを取り出し、青年にあてがう。イフリートのモノは中々の巨根であったが、解された青年のそこは難なく飲み込んでいく。しかし中を穿っていくモノはまるでマグマのように熱い。

「あづぃい。あ、ぁあ。ぃ…。」

青年はあまりの熱量に身体の中が焼けるような痛みが走ったが、それもやがてイフリートのモノから放たれた液が鎮めていく。マグマのような熱さが鎮められるとお腹の中でイフリートのモノがホカホカと温かくて。その温かな熱が擦られる度に伝わり、気持ちいい。その熱を逃したくなくてキュッと青年は秘孔に力を入れた。

その瞬間、余裕だったイフリートの顔から余裕がなくなり、唇が重なった。燃えるような熱い口付け。

「一度だけでは喰い足りぬ。」 

1人と1体は何度も口付けを交わし、身体を交わらせ、甘いひと時を過ごした。




「まぁ、なんて素敵な話かしら。」

ドニアザードは目を輝かせて、シェヘラザードの話にうっとりとした顔を浮かべた。

一方、シャフリヤール王は首を傾げた。『商人とジン』の物語はこんな話だったかと。

「シェヘラザードよ。余が知っている話と大分異なる内容なのだが…。」

「そうですか?  」

「いや、まぁ、余もそこまで詳しくはないからなんとも言えんが…。男同士の恋愛ではなかったのは確かだ。」

物語の内容にかなりシャフリヤール王は困惑したが、話を聞いていたシェヘラザードの妹のドニアザードは満足そうな表情を浮かべている。確かに物語自体は官能的ではあったが、面白くない訳ではない。寧ろ、官能的な物語がシャフリヤールへの気持ちを昂めて、早くシェヘラザードを抱きたくてしょうがない。

「あら、もう朝ね。」

窓から朝日が暗かった部屋に差す。
シェヘラザードが優しい笑みを浮かべて、シャフリヤール王の頰を撫でた。

「王様。今夜も呼んで下さるのなら、今回の話よりも官能的で面白いお話をお聞かせ致しましょう。」

シェヘラザードをこのまま押し倒したかったが、それでもそう言われると次の話が気になる。このまま抱き、そして殺してしまえば話はもう聞けないだろう。

「いいだろう。」

今夜こそは抱いてやろう。
シェヘラザードの絹のような肌をするりと一度だけ撫で離した。

シェヘラザードは魔窟と呼ばれた王の部屋から生還をはたした。しかし命を懸けた時間稼ぎは始まったばかりだ。
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