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エピローグ
夜は明けぬ
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柔いランプの光に照らされたシェヘラザードの白く柔い肌。しかしそこには女性としてある筈のものがなく、女性としてない筈のものがあった。
シャフリヤール王は驚いたが、その瞳に宿る熱いものは冷める事なく、シェヘラザードに向ける想いが消える事はなかった。
「私、…いや、俺を王を謀った罪で殺しますか? 」
シェヘラザードの瞳が揺れる。
そんなシェヘラザードの頰をシャフリヤール王は優しく撫でた。
「否だ。シェヘラザードよ。余はお前を愛している。それはお前が男であろうが、お前の語った先程の物語のジャスミン王子とアーモンド姫のようにその愛は変わらない。」
シャフリヤール王はシェヘラザードを抱き寄せた。シェヘラザード涙を浮かべ、抱き返した。
「俺も貴方を愛しています。次の朝殺されたとしても。」
「お前は殺さぬ。余はもうお前以外いらぬ。国中の生娘を呼ぶのはもうやめよう。余はお前だけを愛していたい。」
シェヘラザードはその言葉に喜びに震え俯いたが、やがて頰を染めて、自らシャフリヤール王の唇を奪い、シャフリヤール王の口の中に舌を入れ込んだ。
シェヘラザードの舌からシャフリヤール王の口の中にとろりとした甘い液体が注がれた。それが口の中に流れ、喉を通ると途端に身体が熱くなり、シャフリヤール王はその熱に身を震わせて閨に倒れ込んだ。閨の絹のシーツに皮膚が擦れる度、甘い疼きに身体が支配される。
シェヘラザードはそんなシャフリヤール王のあられもない姿を見て、うっとりとした表情を浮かべて、シャフリヤール王の服を剥ぎ取り、その男らしい肉体を愛撫でした。
まるで最初に聞いた『商人とジン』の商人の青年のようにシャフリヤール王の身体は鋭敏になる。シーツに擦れただけで自身でも聞いた事のないハスキーな色っぽい声があがる。シェヘラザードの手で撫でられるとモノを弄ってもいないのに達してしまう。
脳味噌はその甘い熱でトロトロに溶けて、何も考えられない。
シェヘラザードはそんなシャフリヤール王の立派で勇ましい髭を全て剃り、閨に入ってきた兵士にその髭を渡した。
髭を剃ったシャフリヤール王の顔は髭を剃った事で威厳ある風格はなくなってしまったが、その代わり若々しい男前な顔に変わった。しかし、その顔もシェヘラザードが飲ませた媚薬の所為でぐずぐずに蕩けてしまっているのだが。
「俺も貴方を愛している。…だが、貴方は王として人としてしてはならない事をしました。それは償わなければならない。」
シェヘラザードはシャフリヤール王の身体を愛撫でする手を止め、閨に今し方入ってきた御仁に頭を垂れた。
その御仁はあられもないシャフリヤール王の姿を見て少し憐んだが、御仁の後ろに控えるドニアザードにあるものをシェヘラザードに渡すように命じる。
それは鉄の焼印だった。
奴隷の刻印を施す為の焼印だった。
「狂王シャフリヤール。我が兄である其方の蛮行は目に余るものがある。それはかの者が申したように償わねばならぬ。よって……。」
鉄の焼印が兵士達が用意した兵の兜に詰められた火の付いた炭の中で黒かった鉄の焼印が赤く熱される。
シェヘラザードは甘い熱に支配され、思考を奪われたシャフリヤール王をうつ伏せにして、赤く熱された鉄の焼印を御仁の合図とともに腰部と尻の合間に押し付けた。
シャフリヤール王は背をのけ反らせ、悲鳴をあげた。直ぐにシェヘラザードが焼印を押した部分を冷やしたが押された印は赤々と残り、痛々しい。
大粒の涙を浮かべ、荒い息をあげたが、やがてその痛みすらも抜けない甘い熱で快楽へと変換されてしまう。
「新たな王、シャフゼナーンの名の下にシャフリヤールを奴隷落ちに処す。」
新たな王、シャフゼナーン王は威厳溢れる佇まいで王として初めて下す命をいい遂げると、弟として兄のシャフリヤールを見た。初めての王としての仕事が肉親を処分を下す事とは、とその内心は複雑だ。
「シェヘラザード。其方の1001夜にも渡る命を懸けた時間稼ぎ大義であった。其方の知恵と勇気のおかげで多くの民が助かった。私が国を掌握するまでよくぞ耐えた。」
「恐悦至極に御座います。」
「して、本当に褒美は奴隷シャフリヤールの所有権で良いのか? 」
「はい。」
シェヘラザードは甘い疼きで身体の痙攣が止まらないシャフリヤールの汗ばむ髪を撫で、微笑む。シェヘラザードがシャフリヤールに向ける目には熱がこもっている。
「シャフリヤールへの向けた愛は決して演技では御座いません。俺はシャフリヤールを愛してします。」
その言葉にシャフゼナーン王は少しホッと胸を撫で下ろした。やはり肉親が無体に扱われるのは心が痛む。奴隷の身分でも愛されるのであればまだ救いがあると。
シャフゼナーン王を見送るとシェヘラザードは赤々と痛々しく焼き付いた奴隷印を気遣いながら、また愛撫でを始める。
「は、…は、ぁ、ああ。」
「安心してください。俺は貴方の不貞の妻とは違い、貴方だけをずっと愛して差し上げましょう。そして貴方に聞かせた物語の全てを今度は貴方の身体に刻みましょう。さぁ、ともに物語の続きを紡ぎましょう。」
シェヘラザードが口付けを落とすとシャフリヤールはシェヘラザードの絡み付くように抱き付き、夢中で舌を絡ませた。シェヘラザードはシャフリヤールの尻の割れ目に手を這わせ……。
目眩く2人の夜の物語は続く。
毎夜あがるシャフリヤールの嬌声とともに。
ー Fin ー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んで頂きありがとうございました。
楽しんで頂けたら幸いです。
シャフリヤール王は驚いたが、その瞳に宿る熱いものは冷める事なく、シェヘラザードに向ける想いが消える事はなかった。
「私、…いや、俺を王を謀った罪で殺しますか? 」
シェヘラザードの瞳が揺れる。
そんなシェヘラザードの頰をシャフリヤール王は優しく撫でた。
「否だ。シェヘラザードよ。余はお前を愛している。それはお前が男であろうが、お前の語った先程の物語のジャスミン王子とアーモンド姫のようにその愛は変わらない。」
シャフリヤール王はシェヘラザードを抱き寄せた。シェヘラザード涙を浮かべ、抱き返した。
「俺も貴方を愛しています。次の朝殺されたとしても。」
「お前は殺さぬ。余はもうお前以外いらぬ。国中の生娘を呼ぶのはもうやめよう。余はお前だけを愛していたい。」
シェヘラザードはその言葉に喜びに震え俯いたが、やがて頰を染めて、自らシャフリヤール王の唇を奪い、シャフリヤール王の口の中に舌を入れ込んだ。
シェヘラザードの舌からシャフリヤール王の口の中にとろりとした甘い液体が注がれた。それが口の中に流れ、喉を通ると途端に身体が熱くなり、シャフリヤール王はその熱に身を震わせて閨に倒れ込んだ。閨の絹のシーツに皮膚が擦れる度、甘い疼きに身体が支配される。
シェヘラザードはそんなシャフリヤール王のあられもない姿を見て、うっとりとした表情を浮かべて、シャフリヤール王の服を剥ぎ取り、その男らしい肉体を愛撫でした。
まるで最初に聞いた『商人とジン』の商人の青年のようにシャフリヤール王の身体は鋭敏になる。シーツに擦れただけで自身でも聞いた事のないハスキーな色っぽい声があがる。シェヘラザードの手で撫でられるとモノを弄ってもいないのに達してしまう。
脳味噌はその甘い熱でトロトロに溶けて、何も考えられない。
シェヘラザードはそんなシャフリヤール王の立派で勇ましい髭を全て剃り、閨に入ってきた兵士にその髭を渡した。
髭を剃ったシャフリヤール王の顔は髭を剃った事で威厳ある風格はなくなってしまったが、その代わり若々しい男前な顔に変わった。しかし、その顔もシェヘラザードが飲ませた媚薬の所為でぐずぐずに蕩けてしまっているのだが。
「俺も貴方を愛している。…だが、貴方は王として人としてしてはならない事をしました。それは償わなければならない。」
シェヘラザードはシャフリヤール王の身体を愛撫でする手を止め、閨に今し方入ってきた御仁に頭を垂れた。
その御仁はあられもないシャフリヤール王の姿を見て少し憐んだが、御仁の後ろに控えるドニアザードにあるものをシェヘラザードに渡すように命じる。
それは鉄の焼印だった。
奴隷の刻印を施す為の焼印だった。
「狂王シャフリヤール。我が兄である其方の蛮行は目に余るものがある。それはかの者が申したように償わねばならぬ。よって……。」
鉄の焼印が兵士達が用意した兵の兜に詰められた火の付いた炭の中で黒かった鉄の焼印が赤く熱される。
シェヘラザードは甘い熱に支配され、思考を奪われたシャフリヤール王をうつ伏せにして、赤く熱された鉄の焼印を御仁の合図とともに腰部と尻の合間に押し付けた。
シャフリヤール王は背をのけ反らせ、悲鳴をあげた。直ぐにシェヘラザードが焼印を押した部分を冷やしたが押された印は赤々と残り、痛々しい。
大粒の涙を浮かべ、荒い息をあげたが、やがてその痛みすらも抜けない甘い熱で快楽へと変換されてしまう。
「新たな王、シャフゼナーンの名の下にシャフリヤールを奴隷落ちに処す。」
新たな王、シャフゼナーン王は威厳溢れる佇まいで王として初めて下す命をいい遂げると、弟として兄のシャフリヤールを見た。初めての王としての仕事が肉親を処分を下す事とは、とその内心は複雑だ。
「シェヘラザード。其方の1001夜にも渡る命を懸けた時間稼ぎ大義であった。其方の知恵と勇気のおかげで多くの民が助かった。私が国を掌握するまでよくぞ耐えた。」
「恐悦至極に御座います。」
「して、本当に褒美は奴隷シャフリヤールの所有権で良いのか? 」
「はい。」
シェヘラザードは甘い疼きで身体の痙攣が止まらないシャフリヤールの汗ばむ髪を撫で、微笑む。シェヘラザードがシャフリヤールに向ける目には熱がこもっている。
「シャフリヤールへの向けた愛は決して演技では御座いません。俺はシャフリヤールを愛してします。」
その言葉にシャフゼナーン王は少しホッと胸を撫で下ろした。やはり肉親が無体に扱われるのは心が痛む。奴隷の身分でも愛されるのであればまだ救いがあると。
シャフゼナーン王を見送るとシェヘラザードは赤々と痛々しく焼き付いた奴隷印を気遣いながら、また愛撫でを始める。
「は、…は、ぁ、ああ。」
「安心してください。俺は貴方の不貞の妻とは違い、貴方だけをずっと愛して差し上げましょう。そして貴方に聞かせた物語の全てを今度は貴方の身体に刻みましょう。さぁ、ともに物語の続きを紡ぎましょう。」
シェヘラザードが口付けを落とすとシャフリヤールはシェヘラザードの絡み付くように抱き付き、夢中で舌を絡ませた。シェヘラザードはシャフリヤールの尻の割れ目に手を這わせ……。
目眩く2人の夜の物語は続く。
毎夜あがるシャフリヤールの嬌声とともに。
ー Fin ー
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楽しんで頂けたら幸いです。
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