だから僕は男の娘じゃないっ!

飛永英斗

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カキナの日常編

中国からの訪問者っ!

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 今日の労働も終わり、放課後となった。鞄に荷物をしまい始めると、びわが僕の席の前に来た。


「カキナ、もたもたしてないで、早く帰りますわよ」

「わかった......あれ、いちごは今日も部活だから、一緒に帰れないんだっけ」

「そうですわ。そんな事よりも、今日は早く帰った方がいい気がしますの。嫌な予感がしまして......」


 びわは深刻そうな表情を浮かべながら、僕にそう言った。何かの気のせいでしょ、と言いたいところではあるが、口に出したら何されるか分からないから、言わない事にした。


「その予感、当たってると思うよ。僕もそんな気がするんだ」


 周りの目を気にすることもなく教室の入り口から入って来たのは、隣のクラスのメロくんだった。


「......また貴方でしたの。相手してる時間なんてありませんわよ」

「一緒に帰ろうと思ったのに、びわさんは冷たいね。カキナくんはどうだい?」

「まあ、いいよ。何か起きるって思うなら、一緒に帰ろう」


 びわはムスッとした顔を僕に見せてきた。嫌だとは思うけど、ちょっとだけ我慢しておくれ......。


 ※


「私、帰り道こっちなのに、なんで貴方の家の方から帰らなきゃいけないんですの!?」

「嫌な予感がするなら、僕の家の方から帰るといいって言うの、これで何回目かな?」


 予想はしていたが、やはり喧嘩へと発展してしまった。びわの嫌な予感ってこれの事だったんじゃ......。


「おーおー、二人はとても仲良しさんなのって、本当だったんダナ」

「なっ!?」


 突如、特徴的な語尾と共に電信柱の裏から出てきたのは、お団子頭に青のチャイナ服、背中には長い棒、という、まるで漫画の世界から飛び出してきたような子だった。


   「ニーハオ、ウチの名は、リンランメイ。十九歳なんダナ」

   「ランメイ......この子、やばいかもしれないな......」

   「こんな所で共感したくありませんが、私にも感じますわ......」


 いつも余裕そうな顔をしているメロくんとびわだが、今回は何だか思いつめた顔になっている。ランメイさん、見た目は可愛らしいのに。


 「まーまー、今日はお二人に用はないんダナ。本来の目的は、シィズナ、君ダナ」


 僕の名前はシィズナなんかじゃないのに、ランメイさんは僕の両肩をポン、と叩いた。


「ひ、人違いじゃないですか?」

「おっと失礼、シィズは中国語で柿って意味なんダナ。確か......カキナ。 君の情報は国を跨いで伝わってきてるんダナ」

  「まさか......ダークパワーで?」
 
  「まー、そういう事だネ。今日はそのダークパワーの事で気になって来たんダナ。という事で......少し痛いかもしれないネ」



 ランメイさんは背中に付いていた長い棒を手に取り、僕の背中を刺すように棒の先で打撃した。


 「痛......っ!? 体が動かない......!?」

 「カキナっ! 貴方カキナに何をしたんですの!?」

 「金縛りのツボを押したんダナ。暫くシィズナを借りる事にするヨ」


 そう言うとランメイさんは僕を担ぎ、どこかへ逃げようとした。


 「逃がすかっ!! いも天ビー......ぐはぁっ!?」

 「ウチの如意棒の方が早いんダナ」


 メロくんの太ももに、如意棒の先が当たる。そしてメロくんの様子が、何かおかしくなった。


 「......漬け物。漬け物を僕に......」

 「メロには、漬け物が無性に食べたくなるツボを押したネ。今はそう考える事しか出来ない体だヨ」



 つ、漬け物......? さっきまでのシリアス感は何処に......?
 

 「メロはともかく、カキナに手を出す奴は......ぶった切りますわァッ!!」


 びわは我を忘れてスタータグリップを上下に引き、チェーンソーの音を住宅街に響かせる。そしてエンジンが起動し、刃をこちらに向ける。



 「さ、流石に殺人鬼レベルだ。やり過ぎだよ......」

 「心配はいらないネ、シィズナ」


 ランメイさんは逃げるどころか、今度は逆にびわの方へ走っていく。何をする気だ......と思ったら、びわの目の前に来た途端、大きく宙を舞った。


 「な、何ですのその飛躍力!?」

 「そんな事を気にしてる場合なのかナ? ホイ」

 「きゃぁッッ!!」


 びわの脛骨辺りに、如意棒の先が当たる。そして、メロくんと同様、様子がおかしくなった。


  「......うがいがしたい......うがいがしたいですわぁ!!」

  「見ての通り、うがいがしたくなるツボを押したんダナ。にしても、二人とも思ってた程の力じゃなかったネ、期待外れだヨ」


 二人とも、住宅街で変な事を呟いている。緊急時じゃなきゃ他人事にしたい。


 「じゃ、意識あっても困るし、気絶させるヨ」

 「ちょ、準備させてよ......ウッ......」


 そしてこのまま、意識が無くなってしまった。最後は普通に手刀でやられた気がした。

 

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