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森で騎士(っぽい人)に出会いました1

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「大丈夫か?」
「え、だだだ誰? あなた」

 わたしの着地を手助けしてくれたのは茶金髪に青灰色の瞳を持った、わたしよりいくらか年上なだけの青年。

 わたしはまじまじと青年を見つめた。

 森を歩くにしては、ずいぶんと立派な身なりだ。騎士装束だが、あたりに馬はいない。一応体験はしているものの、体の線は騎士にしては細い方。どちらかというと王宮の近衛騎士をしていると言われたほうがしっくりきそうな雰囲気をしている。

 にしても、どうして人間が竜の領域の中に。ていうか、ここってすでに人間の国だったりする? 彼はシュタインハルツの人間なのかな。

「その言葉はそっくりきみにお返ししたいけど。空から悲鳴やらが聞こえてきたら魔法の気配がして、女の子がゆっくり降りてきたから」
「あー……あはは」

 まさか黄金竜の子供たちのおもちゃになっていましたとは思うまい。
 どこまで正直に言えばいいのかな。目の前の人が誰かもわからないのに。
 二人はしばし黙り込む。

「あああああリジー様!」

 わたしが次何を話そうか迷っているところに血相を変えたドルムントが降下してきた。

「大丈夫でしたか? お怪我はしていませんか? ほんっとうに申し訳ございません。私が付いていながら」
 泣きそうな声でわたしの体のあちこちを見分し始めるドルムント。
「たぶん大丈夫な、はず……? どこもけがはしていないよ。……超怖かったけど」
 けがはしていないが恐怖体験はした。落下経験なんて一度で十分だ。

「この人が、ちょっと手助けしてくれたの」

 わたしの声にドルムントが顔を上げる。
 青年の方を見て、それから「あなたはレイル殿」と口にした。

「知り合い?」
 わたしはドルムントに尋ねた。

「なんだ。ドルムントの知り合いか。突然女性の声が空から降ってきたから驚いた。ルーベルトと一緒に魔法を使おうと思ったけど、風がたくさん彼女の方へ集まっていくのを感じたから魔法は使わずに見守ってた。着地が心配だったから最後に少し手を貸したけど」

 あら、もう一人誰かいるらしい。わたしはあたりを見渡すが、ルーベルトらしき人物は見当たらない。

「彼なら、もう行ってしまったよ。いや、行ったというか少し離れた場所で待機しているんだ」
 わたしが顔をきょろきょろさせるものだから、レイルと呼ばれた彼がそう説明をした。

「ドルムントの知り合い?」

 わたしはドルムントに尋ねることにした。竜に仕える精霊と顔見知りって、目の前のレイルってどういう人なのだろう。

「リジー、無事ー?」
「ごめんねーリジー。落としちゃってぇ」

 空から高い声が響く。フェイルとファーナだ。竜の姿のままこちらにむかって急転直下。
 って、そのまま突進して来たら危ないでしょう!
 同じことを思ったのかレイルがわたしの肩を抱いてその場から移動する。

 間一髪セーフ。直後、わたしたちがいた場所埃が舞い、チビ黄金竜が突撃をした。



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