人気者にも限度ってモノがあるでしょおおお!!

べう

文字の大きさ
1 / 6

1話

しおりを挟む
「春しゅん 早く起きなさい!!」



「やだ、行きたくない。」



「何言ってんの?!遅刻するよ! ほら、朝ごはん出来てるから!!」



「ちぇっ、俺のこの17年間何にも楽しくないし、俺が行かなくても困るやつは1人もいないよ……。」



 俺の名前は藤宮春ふじみやしゅん。17年間彼女もいない友達もいない青春もしたことがない、

 通称ぼっちだ。朝起きて、学校へ行き、家に帰り、風呂に入り、寝る。そうやって過ごして気が付いたら17年が過ぎていた。



 でもそんな俺を母や父は知らない。なんてったって隠してきたからな、こんな姿を話したら泣くどころじゃすまない。そんなことを気にしていたら、いつものように父と母は俺を笑顔で送ってくれた。



 俺はいつものように行ってきますと言い外へ出た……。



「今日こそ絶対友達を作ろう! 」 



「俺ってブサイクなのか? 」



「いや、俺はかっこいいほうだろ。はははははは」



「母さん、ごめんな。もっと俺が人気者なら楽しい学校生活になってたのになー……。」



 登校中そんなことを呟きながら思っていると、あっという間に学校に着いた。

 時間を気にして時計を見ると時刻は8時26分だ。

 ギリギリ遅刻は免れたがほとんどクラスの子が揃っている状態だ。正直行きにくい、

 でも後5分で遅刻扱い。



 そんな事を思っていると、俺の隣の方から声がした。



「おはよう! 早く行かねーと遅刻するぞ!!」



 久しぶりの自分への声にびっくりし、振り向くとそこには国道大河こくみちたいががいた。

 そう、彼はこの学校で誰もが知っている人気者だ。



「ねえ君、転校生? 名前教えてよ!!」



「……藤宮春です。」



「初めまして、俺の名前は国道大河こくみちたいが! 分からないことがあれば俺に言って! 

 なんでも答えるからさ。」



「あの、俺転校生じゃなくてここの生徒です。」



「ええ?!まじ? 見たことなかったから知らなかった。ごめんね? 」



「いえ、別に大丈夫です慣れてますから……。」



「慣れてる? てか、やべっ遅刻するじゃん! んじゃあまたな!!」



 そして彼との会話が終わり急いで俺達はそれぞれの教室へ向かった。

 2年5組のドアを開け誰からの挨拶もないまま一番左の一番後ろの席に着いた。



キーンコーンカーンコーン



 ーーよかった、ギリギリ遅刻は免れた。

 相変わらず、いつも通りの日常だ。





 そんなことを思い下校の時間になった。

 帰る準備をしてると、廊下側の窓が開き、声が聞こえた。



「やっと見つけたぞ! 春!!」



 そこには、朝会った国道大河がいた。

 どうやら、あちこち探していたらしい。

 その瞬間クラスの人たちが慌てふためく顔で俺たちを見つめた。



「春!!一緒に帰ろうぜ! 」



 正直俺は嬉しかったが、クラスメイトの視線が気になり、その場から

 勢い良く逃げてしまった。



「なんだよあいつ。俺がしゃべりかけて無視して逃げるとか、最低かよ」

「なあ、アイツってどんな奴? 」



 そう近くの生徒に聞くと、その生徒達は無関心な顔で言った。



「ぼっち」



 その時大河は朝聞いた慣れているの意味を理解し、

 帰ろうとしたとき春の席のほうに何か落ちてるのを見つけた……。





 ーーそして俺は気が付くと家に着いていた。

 いつもよりゆっくりと俺はドアを開けた。



「ただいま! 」



「おかえり!!」



 俺はすぐさま部屋に向かった。日課をする為に……、



 俺には唯一の趣味がある。それは『写真撮影』だ。

 写真を撮るのは街中や風景の綺麗な所、主に外が多い。それを今話題で大人気のネットコミュニティーアプリ、『SUTERA』に上げることがいつもやっていることだ。



 このアプリは主に星を増やすアプリで、星マークはお気に入りしてくれた人の数を表し、プロフィールの横にある星矢印は人気度を表す。

 ちなみに、俺のSUTERAのフォロワーは0だ。でもなぜか毎回星マークは1つ付いている。



 俺は何も気にしない。ただの自己満で上げているだけだから、いつも通り写真を撮ろうと携帯を探すが、どこにもない。



「しまった! 」



 急いで帰ったことを思い出し、どこかで落としたのか不安になった。

 探しに行こうとした時家のチャイムがなった。



ピーンポーン



 こんな時間に誰だ?宅配か?そう思い玄関に向かうと、

 先に出ていた母が嬉しそうな笑顔を浮かべながら俺を呼んだ。



「春! 友達来てるわよ!!」



「え、友達?!」



 思わず驚いてしまい、

 その言葉を聞くと涙が出てしまった。

 すると、母がニッコリと笑いキッチンへと帰っていった。

 そこで俺は悟った。

 母は気づいていたらしい。俺が17年間ぼっちだってことに……。



 外に出ると、

 そこには俺の携帯を持っていた同じ制服を着た子がいた。



「これ、教室に落としていた物です。」



 ソワソワしている彼女の手に携帯が握りしめてあった。

 そうだ、俺が使っている携帯の裏には落とした時のために住所が書いてあるんだった。



「わざわざありがとう! 」



 すると、彼女は照れた顔をしながら急いで帰っていった。



 俺はそのまま携帯を持ち、家を後にし

 写真撮影へと向かった。



 時刻は18時半頃、撮りたい写真はなかった。

 夕暮れ時の小道、涼しい風、今日はやけに空気が薄い。

 そう、俺は気が付くと泣いていた。

 街灯が灯るベンチに腰掛け、

 気が付くと辺りは真っ暗になっていた……。



「そろそろ帰ろう。」



 そうして俺は家へ向かった。



 家に帰ると母は何も言わず、

 今まで通り笑顔で



「おかえり! 」



 と言ってくれた。



 俺はその笑顔に答えるようにこう言った。



「ただいま! 俺を生んでくれてありがとう!!」



 そう言って、ご飯と風呂を済ませ部屋へと向かった。



 写真を撮っていない事に気が付き、部屋のぬいぐるみや窓から見える景色……

 いろんなものを撮ったがしっくりくるものがなかった。



「仕方がない。 俺のイケメンの顔でも撮って投稿するか! 」



 でも撮ったことがない事に気が付き、携帯で調べた。



「自撮りのやり方っと、出てきた! 最近のネットはすごいな! 」



 そうして感心しながら調べたサイトで勉強をして、

 俺は照れながら自分を撮り投稿した。題名は……『人気者になりたい』



 そして、投稿を済ませて俺は眠った。



 ピコーン 通知が来ました。

 春さんの星の数は300から1301になりました。

 人気度は120%になりました。

 フォロワーは0から1000人になりました。





 この瞬間から俺の人生が変わる事になるなんて思いもよらなかった……。









 ーーその頃、携帯を届けてくれた子は、

 藤宮春のSUTERAをいつも通り開き……星を送った……。











----------------







 藤宮春ふじみやしゅん


 フォロー 0人



 フォロワー 1000人



 星の数 1301



 人気度 120%







----------------
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」 その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ! 「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた! 俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!

処理中です...