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第1章 出会い編

自己紹介と媚薬の残り香

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 この世界、『アルゼンテ』には一つの伝説がある。
 その伝説はまだ新しく、誕生してから200年の年月しか経っていない。
 伝説の内容を簡潔にいえばこうだ。
 人々を苦しめ、世界を征服せんとする悪逆非道の魔王を倒す勇者の物語。
 登場人物は大まかに五人。
 一人は悪役である魔王。残りの四人は魔王を倒すために立ち上がった者たちだ。
 勇者、騎士、賢者、魔法使いは、神の御使いである神龍の加護を受けて魔王を討伐した。
 伝説の内容は、世に埋没する程度の実にありふれたものだ。だが、この世界で最も有名な伝説でもある。
 なにせ、生き証人が存在する本当にあった出来事なのだから。
 世界を我が物にせんとする魔王は倒され、世界は平和になった。――だが、それは建前上の話だ。
 これが創作物ならばめでたしめでたしで終わるのだろうが、残念ながらこの物語は現実である。
 幕は決して降りはしない。
 魔王を倒した後に待っていたのもまた、争いだった。
 醜い、醜い、人と人の争い。
 魔王を倒した勇者は政治に利用されることに疲れ、世を捨てた。
 賢者は国に帰り、ただ殻に閉じこもり、醜さから目を逸らした。
 騎士は人の汚さを知り、忠義に揺れて自殺した。
 魔法使いは、自分のことを大量殺戮を行なった魔女として指差す人々に絶望した。
 英雄と謳われた四人は、その華々しい物語とは裏腹に、悲惨な結末を辿っている。
 四人の英雄を切り捨て、それでも人はまだ争っている。まるでそれしかしらない白痴はくちのように、いまも争い続けている。

 ******

 恥ずかしさのあまり逃げ出して布団を被った少女を無理矢理に引きずり出し、リビングの椅子に座らせてから、気を落ち着かせる為に、青年はお茶を振舞った。
 少女は、青年に出されたお茶をおそるおそるといった感じで口を付ける。

「あ、美味しい」
「どうやら口に合ったみたいだな」

 ようやく笑顔を見せてくれた少女に微笑むと、ギクリとした表情をして顔を逸らされてしまう。
 それでも気にせず、青年は話しかける。

「どうやら不幸な事故はあったみたいだが目を覚ましてくれてよかった。俺は勇人ゆきひと一之瀬いちのせ勇人だ。適当にユーキとでも呼んでくれ。それでこっちが――」
「シェンロンじゃ。シェロとでも呼んでくれたもう」

 勇人とシェロが挨拶をすると、少女は顔を逸らしたまま呟いた。

「……リリア。リリア・クレスティン・フェミルナです」
「クレスティン?」

 勇人は、リリアの名乗ったクレスティンという姓に眉を反応させ、口を開きかけたとろで、睨まれていることに気がついた。

「俺、なんか悪いことしたか?」
「しました! シェンロンちゃんみたいな幼い子にあんな、は、破廉恥なことを無理矢理していたじゃないですか!」

 涙目になりながら、訴えかけてくるリリアの顔を見て、勇人は困ったように頬をかいた。

「あ? あー…あれは合意の上だぞ? それにシェロは見た目ほど若くないぞ。多分今年で――」
「誰がババァじゃ!」

 シェロの尻尾が勇人の頭へと叩きつけられる。

「いでっ! 誰もババァだなんていってないだろ!」
「ふんっ、乙女の歳を勝手にバラそうとした罰じゃ」
「……乙女って歳かよ」
「なんじゃ? もう一発くらいたいのかえ?」
「なんでもねえよ」
「まあよい。それでのう、リリアよ。いまの行動を見てわかるように妾は別に無理矢理に犯されておったわけではないぞ。まあ、そういうプレイも悪くはないがのう。仮に隷属させられておるのなら、主人に危害を加えるなぞできんからのう。この首輪は|装飾品《アクセサリー)じゃ」
「み、みたいですね。え? ということは本当に合意の上で……?」
「うむ、そういうことじゃ」
「イチノセさんは、その、小さい子でないと欲情できない人?」
「その通りじゃ! だからお主に手を出すこともないから安心せい」
「ちげぇよ! なに力強く頷いてんだよ!? お前自分の年齢を考えろよ!」

 勝手にロリコン認定されかけたことで、勇人は慌てて割って入る。

「シェロ。お前は若く見られたからって適当な嘘つくんじゃねえよ。それとなフェミルナ。龍人りゅうじんが見た目通りの年齢なわけないだろ」
「あっ」

 勇人に指摘すると、リリアは思い出したとばかりに口を開けた。

「ちっ、まったく余計なことばかりするやつじゃ」
「自分の名誉を守るためだから当たり前だろうが」
「別に間違ったことは言っておらんじゃろ」

 確かにそうだが、出会ったばかりの可愛い女の子にロリコン認定されるのを黙ってみているほど勇人は人間が出来ていなかった。

「まったく……話が色々と脱線したが、納得してもらえたか?」
「はい。一応ですが納得できました」
「それはよかった。とりあえずでも話が進めることができるな。とはいっても、大して話すことはないけどな。聞きたいことはアンタがこれからどうするのかってことだ。見たところ身分の高い家の娘だと思うが、帰るなら街まで送るぞ?」
「それだけは嫌です!!」

 反射ともとれるくらいの勢いで、キッパリと断るリリアの姿に、勇人は眉を潜める。
 リリアも、自分の言葉が失言だと気がついたのか、慌てて口を押えて噤んだ。

「あ、いえ、その……」
「……まだ疲れているだろ。飯の準備ができたら呼びにいくから部屋で待ってろ」
「は、はい。それでは失礼します!」

 勇人が部屋に戻るように促すと、リリアは急いで立ち上がり、逃げる様に部屋へと戻っていった。
 部屋に戻るリリアを見送ってから、勇人は盛大に溜め息を吐く。

「貴族の娘らしき女の子が森の中で護衛も付けずに襲われていたんだ。なにか訳有りだと思っていた、どうやら予感は当たったみたいだな」
「主様は本当に厄介事に好かれておるのう」

 横に座っていたシェロが、腕を首に回しながら勇人にしなだれかかる。
 その動きは、幼いはずの見た目に反して実に妖艶だった。だが、そんなシェロに大して勇人はぶっきらぼうな態度をとる。

「うるせえな。言われなくてもわかってるよ」
「本当かのう? しかし、クレスティンとは。つくづく奇縁じゃのう。主様はどうするつもりじゃ?」
「……どうもうこうもねえ。現状じゃ俺たちにできることなんてなにもない。ここに居たいっていうなら部屋くらいは貸してやる程度だ」
「ふむ。まあ、それもまたよかろう。なんにせよ、妾は主様に従うだけじゃ」

 くくくっ、と喉で笑うシェロを尻目に、勇人は考える。
 自分のよく知る少女に似た、クレスティンという名を冠する彼女リリアをどうするべきか――。

「――って、お前なにやってんだ?」
「んむぅ? ひゃまっひぇひょろう」

 いつの間にか勇人の身体から離れていたシェロは、彼のズボンをずりおろし、ペニスを口に咥えていた。

「ぷはっ。先ほどの続きじゃよ。せっかくいい所じゃったのにリリアに邪魔されたからのう。妾は欲求不満じゃ」
「だからっていきなりスボンをズリおろして咥えるやつがいるか」
「くくくっ、そうはいっても主様のここは嬉しそうじゃぞ」

 シェロがぺろりと舌で亀頭部分を舐め上げる。半立ちだったペニスはいつの間にか膨れ上がり、完全に目を覚ましていた。

「まったく、とんでもない変態だな」
「こんな未熟な身体で勃起する主様ほどじゃないさね」
「そんな蕩けた顔で言われてもな」

 勇人は、頬を上気させ、発情した犬のように舌を出しながら必死に亀頭を舐めるシェロを見て、口端を歪める。

「たく、俺を誘ったことを後悔するなよ?」
「くふふっ、小童が吠えよる」

 勇人とシェロ。二人は熱の篭った目で見つめ合うと、どちらかともなくキスをした。

 *******

「なんだ。もうグショグショじゃねえか」
「んふっ! 言うたであろう。欲求不満じゃと……あんっ!」

 勇人がパンツをズラし、シェロの陰部に指をツッコムと、媚薬の香が抜けきっていないのか、漏らしたかのようにグショグショだった。
 これならば、前戯などまったくの不要である。

「本当にシェロは淫乱だな」
「あひっ! ち、違うのじゃ。媚薬の香が原因で――んんっ! それがなかったとしても妾がこうなるのは主様相手だけ――んほぉぉぉぉぉっ♥」

 皮を剥がされ、剥き出しになった肉豆を摘まむと、身体を仰け反らせてビクビクと震わせ、口元から抑えきれない涎を垂らし、だらしなく弛緩する。

「シェロ。お前勝手にイッたな?」
「おまえしゃま、しゅまぬ♥……らけど、我慢れひなくへ……♥」
「躾が足りなかったか? 仕方ない、ここに入れるのは無しだ」

 勇人がお腹の上の、丁度子宮の辺りを撫で上げてお預けを宣言すると、シェロは絶望に染まった表情で勇人を見上げる。

「しょ、しょんにゃ……勘忍してくだしゃれ」

 シェロは懇願するようにしなだれかかり、勇人の胸元にぷっくりと勃起した乳首を切なそうに擦りつける。

「駄目だ、許さない……と、言いたいところだが、俺が満足したらしっかり挿入れてやる。だから――」

 ニヤリッと顔を歪ませ、摘まんでいた肉豆とは別に、蒸れた蜜壺に指を突っ込みながら、勃起した乳首に噛み付く。

「存分にイキ狂え!」
「おほぉぉぉぉぉぉぉぉっ♥♥」

 乳首、クリトリス、膣道の、三点同時の攻めに、シェロの達したばかりの身体は恐ろしいぐらいの感度で反応した。

「やじゃぁっ! あだまおがじくなるのじゃっ!」
「狂っちまえ。そうれば楽になるだろ」
「やぁぁぁぁぁっ♥」

 無意識に身を捩じらせ、その度に襲い掛かってくる快楽によって達してしまうと悪循環に、シェロの意識はガリガリと削れていく
 勇人の指が、幼いシェロの膣口をこじ開けて蹂躙していく。未発達とはいえ、女として発情しきったそこはヒクヒクと切なそうに動いて勇人の指を舐める。

「切ないのじゃぁ……主様ぁ。指などでは、満足できぬ……」
「ふーん。それで?」
「いひっ! 意地悪せんでおくれ……。妾が悪かったのじゃ。もう、主様の許しもなく勝手に達したりはせぬ。じゃから……」

 顔を上気させ、雌のフェロモンを撒き散らすシェロは、幼い姿ながら魔性の女と呼んでも差し支えないものだった。
 これが勇人以外ならば、それで落とせたであろう。だが、長年シェロと暮らしてきた勇人はその程度ではなびかない。

「だから、満足したら入れてやるっていっただろ?」

 くつくつと、一層意地悪く笑った勇人は、あれほど丹念に弄っていたクリトリスと膣口から指を離し、ゆっくりと膣周りを撫で上げていく。
 まるで指でする素股のような動きは、激しい攻めから一転して甘く切ないものへと変わった。

「あっ……ふぅ、ふぅっ♥」

 強制的な絶頂こそ無くなったものの、くすぐるようなこそばゆさがジリジリと、焦がす様な快楽で脳を溶かしていく。

「あっ、あっ、だ、ダメじゃ! もう、イッ――っ!! な、なぜじゃ」
「ん? どうかしたのか?」

 あと数回擦られれば絶頂できたその直前に、勇人は擦っていた手を止めたのだ。

「ほら、もう一回」
「くひっ……んんぅっ♥」

 絶頂の感覚が引いたとわかるや、勇人は再びシェロの膣周りを撫で始める。


「ぬ、主様ぁ……♥ お、お願いじゃからイカせておくれ……」

 そうやって、何度も絶頂する寸前で止めていると、シェロはぐずぐずになった顔で懇願する。

「んーまあ、いいか。それじゃ、最後にいつものアレをやったら入れてやる」
「ほ、本当じゃな? もう、寸止めはせぬか?」
「しないって。だから、ほら」
「うむぅ……わ、妾、シェンロン・アルゼンテは、一之瀬勇人様の雌奴隷じゃ♥ ど、どうか、このはしたなく雌犬にお仕置きをしてほしいのじゃ♥ ……ザーメンで子宮をめちゃめちゃに犯して、躾けてくだされ……♥♥」
「はい、よくできましたっ、と!」
「ん゛ん゛!! ぎだぁっ♥ 主様のカリ太チンポが妾の子宮にぃぃぃぃぃっっ♥♥」

 いつも通りの宣言が終わると、勇人はズボンを脱ぎ捨て、シェロを抱き上げると、躊躇いなく膣内に勃起した肉棒を突き入れる。
 シェロの膣肉は、ずっと待ちわびていた肉棒が入ってきたことに歓喜し、決して逃がさないように一瞬で締めつける。
 待ちわびていたチンポを挿入され、イキ続けているシェロの膣壁が細かく震えている。ただ挿入しただけだというのに、思わず射精してしまいそうになるのほどの快楽を、勇人はグッと堪えてやり過ごす。

「おーお、すげえ顔。おい、シェロ。お前いま自分がどういう顔しているかわかるか?」

 涙と鼻水と涎で、もはやグショグショになり、半笑いで固定された顔は、もはや知性を感じさせる要素が一欠けらも存在していないほどのものだった。

「し、仕方ないのじゃ♥ これもお前しゃまが妾を調教するのが悪いのじゃっ♥♥」
「俺のせいだってか?」
「そうっ、じゃ、んひぃぃぃっ! ま、毎日主様に抱かれているせいじゃぁっ♥」
「ふっ、確かにそれは俺のせいだな」
「そ、そうじゃろうっ♥ だから、主様に妾を開発した責任をとってもらわねばならぬっ♥♥」
「はいはい。仰せのままに、お姫様」
「んほぉぉぉぉぉぉ♥♥ そこはっ、いぎっ♥♥♥」

 勇人は、シェロの身体を持ち上げると、何度も上下して肉棒を出し入れさせる。
 その様子はまるでオナホールを使った自慰のようであり、太いカリ部分が何度も敏感な部分を引っ掻いてくる。

「あへっ、こわれりゅっ、お前ひゃま、妾、もう……♥」
「ぐっ、俺も射精る」
「あひゃぁぁぁぁぁぁぁ♥♥」

 勇人が一番深く突き入れ、子宮口に亀頭部分が突き刺さると、熱い欲望の塊がシェロの中に吐きだされ、同時に絶頂する。
 ドクドクと流れ込む精液を子宮で感じながら、シェロは白目を剥いて倒れ込んだ。

 *******

「まったく、主様は床のこととなると鬼畜じゃのう」
「悪かったよ。俺も自覚しているし反省もしている」

 事が終わった後、いつもの調子に戻った二人は、ソファーの上で抱き合いながら語り合う。

「ま、妾もそこが気に入っておるからよいがのう。じゃが、他の女を相手にするのにあれではマズイじゃろうな」
「……」
「なんじゃ、その意外そうな顔は」
「いや、意外そうじゃなくて意外なんだよ。シェロ。お前俺が他の女を抱いてもいいのか?」
「よかないわい。じゃが、クレスティンの小娘だけは別じゃ。妾とて、かつての主様の気持ちを知らぬわけではないのじゃからな」

 シェロに過去の話を持ち出された勇人は、困ったように顔をそらして頬をかく。

「まだ、どうなるかなんてわからないだろう」
「どうじゃろうな。賭けてもいいが、主様はあの小娘を助けようとするじゃろうな」

 くくっ、と喉でシェロが笑う。その言葉を完全に否定できなかった勇人は、不貞腐れたかのように唇を尖らせた。

「ま、なにが起こったとしても妾は主様についていく故、心配するでない」
「……はぁ。まったく、余計なお世話だっての」

 言葉ではそう言いながら、勇人の口元は嬉しそうに弛んでいたのだった。
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