17 / 26
三章「第二の人生」
7
しおりを挟む
敦美さんに編集長が私に会いたいと言われてから後に、私は編集長と会う事にした。
流石に二人で会うのは気まずいと思ったので、敦美さんだけではなく、あつしくんにも一緒にいてもらうことにしたが、やはり気まずい雰囲気になった。
沈黙が続いた。
誰も何も言おうとはしなかった。
一番先に口を開いたのは、以外にも編集長だった。
開口第一声は、私に対する謝罪の言葉だった。
誰の意見も聞かず、編集長の独断で決定を下したことは大きな過ちだった。敦美さんが編集長に私の書いた小説を見せられるまで、ずっと私が小説を書くことが出来ないと思い込んでいた。決して許して欲しいとは思わないけれど、失った信頼を取り戻すために、もう一度一からやり直させて欲しいと深く頭を下げて言われた。
綺麗事に聞こえるかも知れないけれど、私は何も言わなかった。
小説を書くことが出来なくてとても辛い思いをしたけれど、あの頃は私ですら小説を書くことが出来るなどと思っていなかったので、お互い様ではないのかと私は思っているので、許すとか許さないという問題ではないと思う。
取りあえず、この事は今にとればもう過去の事なので水に流し、これから先の事を話合う事にした。
編集長と副編集長が一小説家の家に揃っているというのはとても変な感じだったけれど、そういう事を除けば、ただの打ち合わせにしか過ぎなかった。
まずは小説のタイトルの事話し合った。
幾つか考えていたタイトルの候補を挙げてみたけれど、どれもしっくりとこなかったので全てボツになった。
こうなる事は予想していた。
候補に上げなかったけれど、本当はこのタイトルにしたいと思っていたものがあった。でも、このタイトルはとても暗い印象を与えるのではないかと思い、候補にあげなかったが、だめもとで言ってみた。
「『絶望の闇と希望の光』・・・なんていうのはどうでしょうか・・・・」
私の書いた小説は、実を言えば、私がこれまでに体験した事を大きく設定を変えてフィクションとして書いたもの。いわば、自分史みたいな小説。
内容のほとんどが、視力を失った前後の事を書いている。
視力を失ったことによって小説を書くことが出来ないという絶望という闇と、あつしくんに出会って、もう一度小説を書くことができるという希望の光の両方を私は味わった。
だから、このタイトルが自分にはぴったりではないかと考えた。
二人はなにやらボソボソと私に聞こえないように話していた。
多分タイトルの事を話し合っているのだろう。
だめもとで言ったタイトルなので、ボツにされても変ではない。だから、また幾つかタイトルを考えなければならないと思っていたが、話し合いの結果、話の内容とタイトルがマッチしているということで、このタイトルで本を出すことになった。
取りあえずタイトルが決まったので次はあつしくんの番だった。
「あつし、あれにサインしたんやから、当然カバーイラストは描きあがってんやろな?」
「完全に仕上げたわけじゃねーけど、仕上んのは見せてからだと思ったから、それは別にいだろう?」
描きあがっていて当たり前のように敦美さんは言うけれど、敦美さんから専属契約書を渡される前に私の書いた小説のイメージに合わせてイラストを描いたと言っていたので、あつしくんは自信満々に描いたイラストを敦美さんに渡した。
あつしくんはカバーイラストだけではなく、挿絵も数枚描いていたらしく、訂正するほどの描き直しはあったものの、ボツになるようなイラストはなかったみたいだった。
ちなみに小説のタイトルもあつしくんの手書きでやりたいらしい。そのつもりで、カバーのイラストを描いたと言っていた。
真っ先に何か言いそうな敦美さんが、珍しく何も言わなかった。編集長も何も言わなかった。あつしくんのやりたいようにしたらいいということらしい。
打ち合わせはまだ終わらない。これからが本題だと言われ、打ち合わせは夜遅くまで続いた。
流石に二人で会うのは気まずいと思ったので、敦美さんだけではなく、あつしくんにも一緒にいてもらうことにしたが、やはり気まずい雰囲気になった。
沈黙が続いた。
誰も何も言おうとはしなかった。
一番先に口を開いたのは、以外にも編集長だった。
開口第一声は、私に対する謝罪の言葉だった。
誰の意見も聞かず、編集長の独断で決定を下したことは大きな過ちだった。敦美さんが編集長に私の書いた小説を見せられるまで、ずっと私が小説を書くことが出来ないと思い込んでいた。決して許して欲しいとは思わないけれど、失った信頼を取り戻すために、もう一度一からやり直させて欲しいと深く頭を下げて言われた。
綺麗事に聞こえるかも知れないけれど、私は何も言わなかった。
小説を書くことが出来なくてとても辛い思いをしたけれど、あの頃は私ですら小説を書くことが出来るなどと思っていなかったので、お互い様ではないのかと私は思っているので、許すとか許さないという問題ではないと思う。
取りあえず、この事は今にとればもう過去の事なので水に流し、これから先の事を話合う事にした。
編集長と副編集長が一小説家の家に揃っているというのはとても変な感じだったけれど、そういう事を除けば、ただの打ち合わせにしか過ぎなかった。
まずは小説のタイトルの事話し合った。
幾つか考えていたタイトルの候補を挙げてみたけれど、どれもしっくりとこなかったので全てボツになった。
こうなる事は予想していた。
候補に上げなかったけれど、本当はこのタイトルにしたいと思っていたものがあった。でも、このタイトルはとても暗い印象を与えるのではないかと思い、候補にあげなかったが、だめもとで言ってみた。
「『絶望の闇と希望の光』・・・なんていうのはどうでしょうか・・・・」
私の書いた小説は、実を言えば、私がこれまでに体験した事を大きく設定を変えてフィクションとして書いたもの。いわば、自分史みたいな小説。
内容のほとんどが、視力を失った前後の事を書いている。
視力を失ったことによって小説を書くことが出来ないという絶望という闇と、あつしくんに出会って、もう一度小説を書くことができるという希望の光の両方を私は味わった。
だから、このタイトルが自分にはぴったりではないかと考えた。
二人はなにやらボソボソと私に聞こえないように話していた。
多分タイトルの事を話し合っているのだろう。
だめもとで言ったタイトルなので、ボツにされても変ではない。だから、また幾つかタイトルを考えなければならないと思っていたが、話し合いの結果、話の内容とタイトルがマッチしているということで、このタイトルで本を出すことになった。
取りあえずタイトルが決まったので次はあつしくんの番だった。
「あつし、あれにサインしたんやから、当然カバーイラストは描きあがってんやろな?」
「完全に仕上げたわけじゃねーけど、仕上んのは見せてからだと思ったから、それは別にいだろう?」
描きあがっていて当たり前のように敦美さんは言うけれど、敦美さんから専属契約書を渡される前に私の書いた小説のイメージに合わせてイラストを描いたと言っていたので、あつしくんは自信満々に描いたイラストを敦美さんに渡した。
あつしくんはカバーイラストだけではなく、挿絵も数枚描いていたらしく、訂正するほどの描き直しはあったものの、ボツになるようなイラストはなかったみたいだった。
ちなみに小説のタイトルもあつしくんの手書きでやりたいらしい。そのつもりで、カバーのイラストを描いたと言っていた。
真っ先に何か言いそうな敦美さんが、珍しく何も言わなかった。編集長も何も言わなかった。あつしくんのやりたいようにしたらいいということらしい。
打ち合わせはまだ終わらない。これからが本題だと言われ、打ち合わせは夜遅くまで続いた。
0
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される
あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる