女好きの親友に恋した僕と、女好きなのに親友に恋した俺の話

ゆずは

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親友を拘束して目隠しして襲ってしまった side:智大

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 学校に行くのが楽しくなった。
 僕が好きになった人は、谷山征人たにやままさと君っていって、背がとーっても高くて、格好良くて、筋肉すごくて、お腹が割れてるんだよ。シックスパックっていうんだっけ。
 それから、すごく優しくて、席が隣同士ってことだけで、学校の中案内してくれたり、登下校、途中まで一緒だったり、話が上手で、楽しかったり。
 だから、ね。
 すごく、モテる人で。

「あ、智大、今付き合ってる彼女」
「征人の彼女のチアキです。よろしく」
「……よろしくです」

 胸が大きくて、髪が長くて、甘えた声で征人君の名前を呼ぶ。
 1人の女の子と長続きはしないみたいだけど、別れてもまたすぐ別の彼女ができていて。
 毎日、彼女さんと一緒にいるわけじゃないけど。
 僕と一緒のことも多いけど、……でも、やっぱり、胸が、チクチク痛くて。
 けい君が言ってた『辛くなるよ』って、こういうことなのかな、って、思って。

 でも、パパとけい君が、うちに連れてきていいよ、って言ってくれたから、誘ったらすぐに行くって言ってくれたの、嬉しかった。
 それから、征人君の家にも連れて行ってもらった。
 どうしよう。
 どんどん、好きになっちゃう。
 なのに、胸のチクチクは大きくなる。

 5月にうちに遊びに来たとき、すごく、タイミングが悪くて、パパとけい君がキスしてたんだよ……。
 ばっちり征人君も見ちゃったから、隠しようがなくて、パパとけい君は開き直ってほんとのこと話した。

 ……もしかしたら、これで終わりになっちゃうのかな……って、少し思った。
 気持ち悪い……って言われたら、僕、もうどうすることもできないし。
 でも、征人君はすごく真剣にパパとけい君の話を聞いてくれて……、気持ち悪いとか、そんなこと、言わないし、態度にも出てなくて。
 パパが、どうしてか、僕とパパのことも話し出して……。
 こんな、他人の話なのに、征人君はやっぱり真剣に聞いてて、最後に僕の頭を撫でてくれた。

「あの……征人君」
「ん?」

 帰り。
 玄関で靴を履く征人君に、どうしても聞きたくて。

「また……来てくれる…?」

 って言ったら、一瞬、ぽかんとした表情をして。

「え。来ちゃ駄目なの?」

 ……って、逆に聞き返された。

「俺、お前といるの好きだし、奏汰さんも啓さんもすごくいい人たちってわかってるし……。普通にまた来るつもりだったけど」

 もう、困った。
 そんな意味じゃないのわかってるのに、『好き』って言われて、凄く嬉しくて。

「うう~~……」
「え!?」

 涙、とまんなくて。

「え、なに。どうした、智大っ」

 溢れてくる涙を手で擦っていたら、突然、抱きしめられて。

「ほら、泣きやめ。いい子いい子」

 ……って、小さな子供相手にするようなやり方で、背中、ぽんぽん叩かれて。
 思わず、征人君の背中に腕を回しそうになって、踏みとどまった。

「…泣き止んだか?」

 ……って覗き込んでくる征人君の顔が、キス、できそうなくらい近くて。

「ごめん……大丈夫。なんか、安心して」

 真逆のこと言った。
 心臓は、かなりやばい。

「そっか」

 笑顔をみせてくれる征人君が、やっぱり好きって思って。

「あ、あの…っ」
「ん?」
「……まさ……、って、呼んでも、いい…?」
「ああ、名前?好きに呼べばいいよ。俺なんか、最初からお前のこと智大、って呼び捨てだし」
「確かに……」
「だろ?」
「うん」

 ちょっとだけ、深呼吸して。

「まさ……まさと」
「ん?」
「また…、来てくれる?」
「来る、って何回いえばいいの?」

 って、また、笑って。

「じゃ、指切りでもしようか」

 って、小指を出してきて。
 ドキドキしながら、その指に、自分の小指を絡めて。

「約束」
「……うん。約束」

 ひとしきり、振り合って。

「じゃ、また月曜な」
「うん。ばいばい、まさ」
「ん」

 手を振って、玄関を出ていって。

「まさ……」

 約束をした小指に、思わず口付けてしまって。
 どうしよう。
 どんどん、好きになる。

「うー………」

 苦しくて、痛くて、その場にうずくまって、動けなくて。

「ちーちゃん」

 けい君が、いつの間にか僕の隣りにいて。
 ……よしよし、って、頭、撫でられて。

「けい君……痛いのに、苦しいのに、でもやっぱり好きで、僕、知らなかった。すごく好きだと、涙が出るんだ……」
「……うん」
「すごく、つらい」
「うん」
「でも、好き」

 痛くても苦しくても、好き。
 僕のこと、ただの仲のいい友達としてしか見てもらえなくても。
 ……好きって気持ちは、なくならなくて。

「泣いたらね、抱きしめてくれた」
「…それは随分手の早い……」
「当分お風呂に入らなくていい?」
「駄目に決まってるでしょ」

 って、笑いながらデコピンされた。
 地味に痛い。





 まさは、約束、ちゃんと守ってくれた。
 週末に遊びに来るくらいだったのが、平日、学校帰りにも寄っていったりする。
 僕がまさの家に遊びに行くより多い。

「お前んち居心地いいんだよ…。お前を俺んち連れて行ったら、姉貴も会わせろってうるさいし……」

 って、僕の部屋でクッションを抱きかかえながら、口を尖らせる。
 一緒に宿題したり、ゲームしたり、たまに、夕飯も食べていったり。
 パパもけい君も、まさのこと受け入れてる…って言うか、なんか、気に入ったみたいで。
 まさもまさで、僕達のこととか知ったあとも、本当にすごく普通で。

 それに。
 僕の家に来てる間は、まさは女の子のところに行かない。僕の目の前にいてくれる。
 相変わらず、彼女さんは入れ代わり立ち代わりみたいだけど、週の半分以上、まさと一緒にいる気がする。
 それが、少し………、ううん。すごく、嬉しくて。
 彼女さんより、僕のことを選んでくれてる……って、優越感に浸ってた。



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