【完結】魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜婚約編〜

ゆずは

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第4章 怪我をしたら更に溺愛されました。

24 神殿に行きました。

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 神殿に行くためには一度城を出なきゃならない。
 俺が自分で歩くのはご法度。ずっと、クリスに抱かれて移動。

「神殿長さん、ずっとアキラさまに会ってみたいと言ってましたよ」

 クリスの隣にはラルフィン君。
 あのあとすぐ部屋に来たラルフィン君に、神殿に行きたいことを話したら、喜ばれました。

 俺達の後ろからは、オットーさんザイルさんコンビと幼馴染ズがついてきてる。

 俺は相変わらずの三角巾。
 すれ違う人たちの好奇な視線が刺さる。そういえば、俺のこととか、どんなふうに伝わってるんだろう。
 人の視線って疲れる。
 知らず知らずため息をついていた。そしたら、クリスが額にキスをしてくれた。大丈夫。それだけで浮上できる。





 神殿はお城の隣りにあった。白くて、お城とは違った荘厳さがある。
 ラルフィン君は躊躇わずに重厚な扉を開けた。
 中に入ると広い廊下があって、受付っぽい場所がある。

「あら、ラル君と……殿下じゃないですか!」

 受付のおねえさん、クリスを見て驚いた。そんなに驚くこと?

「こんにちは、ミーシャさん。神殿長さんに殿下が来たこと伝えてもらえますか?」
「ええ、いいわよ」

 受付のおねえさんがどこかに行ってしまうと、クリスは歩き出した。基本的に廊下は一本道。
 廊下の奥の扉を、ラルフィン君が開けてくれる。

「……すごい」

 その部屋はとても広く、一番奥まったところには想像よりも遥かに大きく、優美な姿の像が設置されていた。多分、女神像だ。

「女神アウラリーネ様だ」

 クリスが静かに教えてくれた。

「やっぱり女神像……」

 部屋の中にいる俺たち以外の人は、膝をついて胸の前で手を組んでいる。
 キリスト教の教会を想像してたけど、この部屋にはほとんど長椅子は置かれていなかった。入口近くに何個か設置されているだけ。
 多分、お祈りをするときの基本の姿勢が膝をつくものなんだろう。

「クリス…おろして」
「大丈夫か?」
「うん。お祈りしたい」

 クリスが静かにおろしてくれた。
 俺の右手をとって、目だけで促してくれる。
 クリスが膝をつく。俺も同じようにする。そしたら、オットーさんザイルさんコンビも、幼馴染ズも、同じ姿勢をとった。

『女神の慈悲を求む者たちに一時の安らぎを』

 歌うような、不思議なラルフィン君の声。それと同時に、キラキラが少し舞う。

 右手で三角巾を取って、左手を握り、そのまま胸元まで引き上げた。左手にも力を込めて、しっかりと組み、目を閉じる。

 俺を見守るクリスの視線は感じていた。
 それが正しいのかどうかはわからないけど、直されないってことはきっと正しい。
 お祈りの作法なんて知らない。
 けど、俺を癒やしてくれたのは女神様の力だ。クリスとラルフィン君がいなければ、女神様の力で癒やされることもなかったけれど。

 ――――女神様、ありがとうございました。

 今俺が生きているのは、女神様の力を二人が惜しげもなく使ってくれたから。
 女神様がいてくれたから、俺は今も、大好きなクリスの傍にいることができる。どんなに感謝の気持を込めても足りない。



 ――――私のもとに来るか?



 ふと、そんな声が聞こえた気がした。

 いいえ、行きません。今は、まだ。俺はクリスの傍にいることを選んだから。

 自然と、そんな風に言葉が胸の中に浮かんだ。
 疑問にも思わず、その『声』に応える自分がいる。



 ――――そうか。いつでも来るといい。愛子よ。



 柔らかな声。
 愛子ってなんだ…って思って目を開いた。
 そしたら、目の前にキラキラが舞っていた。

「……え」

 クリスかラルフィン君か…って思って二人を見たら、驚いたように俺を見ていた。
 え?なんで??





「……まさか、私の任期中に3人目の『例外』に会うとは…。殿下はそんなに私を驚かせたいんですか?」

 突然かけられた声に、クリスが立ち上がった。

「オリバー神殿長」

 それから俺を支えて立たせてくれて、三角巾を戻してくれる。

「えっと…クリス?」
「アキ、この方はヒューベルト・オリバー神殿長。この神殿を任されている、最高位の神官だ」

 一番偉い人ってことじゃん。

「オリバー神殿長、こちらはアキラ・スギハラ。俺の婚約者です」
「ええ。一度お会いしたかった。立ち話もなんですので、場所を移しましょう」

 この人、すごく優しそう。
 クリスはすぐに俺を抱き上げて、神殿長さんの後ろについた。
 ラルフィン君は神殿長さんに並んで、なにか楽しそうに話してる。

 案内されて入ったのは、執務室のような部屋。オットーさんザイルさんコンビと幼馴染ズは、廊下で待機中。
 ソファに降ろされた俺の両隣に、クリスとラルフィン君が座った。


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