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第5章 王子サマからの溺愛は甘くて甘くて大変です。
68 露天風呂を前にしたクリスはなんだか面白い。
しおりを挟む気を抜いたら眠ってしまいそうだった。
身体中、クリスに包まれているようで、すごい気持ちいい。
「ん………」
ずるりとクリスのが抜かれる。
俺の中に出されたクリスの体液が、とろりと流れ落ちてくるのがわかって、慌てて尻に力を入れた。
……ここ、お城じゃないし。人様のお家の脱衣所だし。
……そもそも、そんな場所ですることじゃなかったけど……。
でも、お腹の中からじわじわあたたかくなってくし、抗えないし、抱かれることを望んでしまってる俺には、せめて床を汚さないってことしか出来ないし。
「はぁ……」
「風呂に入ろうか」
クリスは俺を横抱きに抱え直して、くもりガラスでできた扉を開けた。
「……え?」
開けた瞬間のクリスの軽い絶句。
俺にとっては馴染みある光景だけど。
「風呂…?」
「ん……、そ、だね。露天風呂」
うん、露天風呂だ。
背の高い囲いと、さらに木が何本も植えられていて、視界を遮るのは完璧。所謂岩風呂って感じで、ゴツゴツした岩で湯船が整えられていた。
しかも、これ、源泉かけ流しかな?お湯がずっと流れ出てきてる。
俺にとって馴染みでも、クリスにとっては唖然とする光景らしい。
囲いと木があると言ったって、空は筒抜けだし。上の階があるあたりには、さりげにちゃんと目隠しの屋根みたいなものは取り付けられているけれど。
多分、防犯的なものとか。
入浴中って無防備になる時間だからなぁ。
洗い場みたいなところには、大きなツボ?みたいなものが置かれてて、湯気が見える。
風呂いすも風呂桶も、ちゃんと揃ってるし、貴族御用達らしき綺麗な入れ物に入った石鹸とかも常備。
……うん。温泉だ。露天風呂だ。リアさんの力の入れようがすごくわかる…。
「クリス、先に身体、洗って…」
記憶の中みたいな温泉の光景を目にしても、「ひゃっほー!」なんて駆け出す気力はなく。
ちょっと固まったままのクリスの頬を撫でて、甘えてみた。
洗いたいのは本当だし、だるいから洗ってほしいのもほんと。
「ん……、ああ、すまない」
それからはいつも通り。
ツボ?の中は普通のお湯だった。
「アキの世界ではこれが普通なのか?」
「露天風呂?普通じゃないよ。家にはほんとに普通のお風呂がついてる」
トイレと一緒のところもあるけど。
「屋内の温泉ももちろんあるけど、こうやって外に作ったのは、露天風呂って言ってさ。ほら、開放的だし、なんか気分良くならない?」
「開放的ではあるな」
優しい手付きで髪を洗ってくれて、掌で身体も洗われていく。
お腹のとことかに飛び散った白濁とかは流されたし、俺の中にそっと入ってきた指が、中に放たれたものを掻き出していく。
「ん……っ」
「どこか痛いところは?」
「だい……じょぶ……」
背中のひりひり感もないし。
もしかしたらついていたかもしれない細かい傷は、クリスに抱かれれば癒えて消えてしまう。
大丈夫じゃないのは俺の羞恥心の方。
この、中から掻き出される行為は……、必要だとわかってはいても恥ずかしい。多分、何度されても恥ずかしさは無くならないと思う。
俺はどちらかといえば冬の露天風呂が好きだ。
ひんやりとした空気の中で、熱いお湯に浸かるのがいい。
今は夏だけど。気温がそれほど高くないから、これはこれでいいと思う。
クリスの髪も洗い終えて、前にかかる髪を後ろに流した。
それから俺を抱えて立ち上がり、風呂の方を見やる。
「…不思議な匂いがする」
「だよね」
そんなに硫黄臭くはないと思うけど。
普段嗅がない匂いだし。
少し階段状になってる所から、クリスは湯船に入っていく。
「あ、足元滑るかも」
「わかった」
クリスはすごく慎重に一歩一歩進んでく。
その真剣な表情に、申し訳ないけど笑ってしまった。
「アキ」
「や、ごめん。でも、だって」
温泉に、そんな真面目な真剣顔で入っていく人、初めて見たし。なんか、あのクリスが、って思ったら余計面白くて。
「湯船の中にも岩とかおいてあると思うけど、そこ、座れると思うから」
「それほど深くはないんだな」
「だね」
クリスは湯船の端っこに置かれてる座れる岩を見つけると、その近くに腰を下ろしていった。
「ふぁ……っ」
クリスの膝の上に座る状態で、俺も温泉の中に。
思い込みもあるとは思うけど、普通のお湯よりも、こう……身体の芯からあったまっていく感じの。
「あー……」
座る高さの岩のとこに肘をついて、クリスは空を仰ぎ見た。
「……気持ちいいな」
「でしょ」
まさか、ここまでしっかりした温泉に入れるとは思ってなかった。
「お湯の中にいろんな成分が入ってて、それが身体に良かったりするんだよ。詳しいことはよくわかんないんだけどさ」
細かな成分が!って話になると、全くわからない。
「よく聞くのは、疲労回復とか、打ち身に効く、とかかなぁ」
「そうだ」
何かを思いだしたクリスは、徐に俺の左肩にまたキスをした。
それから、近くにおいてある手桶で、俺の左肩にお湯をかけ始めた。
「目的を忘れるところだった。……これで、ここの赤みが取れるのか?」
「あ、そういえば」
怪我の名残の赤みに効くとかなんとか言ってたっけ。
俺の肩にお湯をかけるクリスは、凄く真剣。
もう、なんだろ。俺、笑ってばっかりだ。
「すぐにはなくならないよ。ここにいる間、何度も入らせてもらおう?」
「そうだな」
クリスはお湯をかける手を一旦止めると、岩の上に座った。
下半身がお湯に浸かるくらいの高さで、俺もそんなに熱くない。
クリスの胸にもたれかかって、足湯状態を楽しんで。
なんだか凄く気持ちが良くて。
クリス隊の皆も温泉楽しめたらいいなぁ…って、なんとなく思った。
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