【完結】魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜婚約編〜

ゆずは

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第7章 魔法が使える世界で王子サマに溺愛されてます。

50 飯テロといえば

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 クリスとずっとキスをしていた。
 俺だけの場所。心地のいい場所。
 さわさわとクリスの手があちこちいじり始めて、俺の息子はあっさりと反応し始める。
 軽く足を開かされて、頭をもたげかけてる息子を直に触れられたとき、ドアにノックの音がした。

「時間切れ」
「んっ」

 額にリップ音をたててキスをされて、毛布を手繰り寄せて俺の足にかける。
 座ってる位置は変わらないし、俺の息子の中途半端な勃起は治まってない。毛布で十分隠れているけど。

「入れ」
「失礼します」

 入室許可と同時にワゴンを押したメリダさんが来た。
 ……と、もう一人。ワゴンを押した紺色のお仕着せを着た女性が。

「メリダ?」
「お夕食をお持ちしましたよ?」
「いや」

 にこにこと機嫌のいいメリダさん。
 後ろの女性は俯いたままで顔はわからない。
 なんだか、クリスも変な顔してる。

「ではそちらのテーブルにお出しして下さいね」
「はい」

 …あれ。
 なんか、聞いたことある声、かも?
 クリスを見上げたら、はぁ…って物凄く嫌そうな溜息をついてた。
 メリダさんはワゴンの上の蓋?を開けて、サラダやスープを並べていく。
 それからもう一人の女性が同じような蓋を開けたとき、滅茶苦茶いい匂いがした。

「カレー!」
「ふふ」

 思わず叫んだら、その女性は楽しそうに笑う。

「アキ?」

 クリスは俺のテンションに驚いてるけど、俺はそれどころじゃない。
 白いご飯が盛られた深めのお皿が二つ。

「全かけ?半かけ?」

 女性が顔を上げた。

「半かけ!リアさん!!」
「ふふ。半かけね。おかえりなさい、アキラさん!」
「ただいま!!」

 もう一人の女性は、今日到着したばかりのリアさんだった。
 小さな鍋の中身は本当に俺のよく知ってるカレー。
 とろりとした具だくさんなルーをリアさんが御飯の上にかけて、スプーンと一緒に俺に直に渡してくれる。

「うわぁぁぁっ」
「……メリダ、なんでセシリア嬢を……っ」
「あら、殿下。私がメリダ様にお願いしたのですよ?早くアキラさんにお会いしたかったですし、専属侍女の後任を探していらっしゃるとか。それなら私がと、申し出たただけですわ」
「メリダ……っ」
「セシリア様はぴったりではございませんか」

 悪戯を成功させた子供のような笑顔で、メリダさんが笑ってる。
 伯爵令嬢で跡継ぎのリアさんが専属侍女とかいいのかなとは思ったけど、それより何より、俺は手の中のカレーライスをとにかく早く食べたかった。

「クリス、食べたいっ」
「ん?あ、ああ…。構わないが…。だが………、いい匂いだが……」

 異世界あるあるか、これ?
 クリスはその見た目にたじたじしてる気がする。
 リアさんと目を合わせて、お互いに笑う。

「クリス、あーん」

 一匙分掬ってクリスの口元に運んだ。
 いい匂いでも見た目がちょっとね。
 でもクリスは訝しがっていても俺が運んだものは食べてくれる。
 少し眉間に皺が寄ってる困り顔だけど、拒絶することなく口を開けてスプーンを口に入れてくれた。

「ん?」
「どう?」
「美味いな」
「でしょ!」

 俺も一口。
 少し甘めのカレーライスだった。美味しい!

「殿下は半かけ?全かけ?」
「何の呪文だ?」

 リアさんの言葉に、クリスはハテナ顔。そりゃそうだ。

「半かけは、カレーを御飯の上半分にかけるやつで、全かけは御飯の上全体にかけることだよ」
「なるほど」

 リアさんはにこにこしてるだけだったから、俺から説明。
 クリスは俺の手元を見ながら、「じゃあ、『全かけ』で」と答えた。

 それにしてもまさかのカレーライス。
 ほんと美味しいよ、リアさん!!

「流石に福神漬けはまだ作れないんだけど…。ちゃんとカレーライスになってるかしら」
「なってる!なってるよ!リアさん!」
「ふふ」

 お皿を一旦テーブルの上において、珍しく俺は自分で椅子に座ってスプーンを握ってる。
 カレーライスは熱々なのがいいし、いつもの定位置だと食べにくいから、クリスにおろしてもらったんだよね。でも、椅子の位置は調整して、クリスとくっつきそうな位置。

「本当に美味いな。アキの――――国の?」
「うん。国民食…であってる?」
「そうですね。あってると思いますよ。スパイスの量に色々苦労しましたけど。アキラさんが帰ってくるまでに完成させたくて頑張りました」
「ありがと、リアさん!」

 ふふ…っと笑ったリアさんは、今は俺たちの向かい側で、メリダさんと椅子に座ってお茶を飲んでる。
 目が覚めてからクリスを襲ったり(………)してたから、あまり時間のことは気にしてなかったんだけど、外されてた腕時計を見たら二十二時すぎだった。
 …こんな時間に夕飯にさせてごめんね…、クリス。

「兄上たちもこれを?」
「いえ。流石にそれはできなくて。でも、料理長から美味しいって評価していただけたので、今夜は主に料理人の方々に食していただきました」
「えー……お兄さんも食べたらいいのに」
「ふふ。でもアキラさんには食べてもらいたかったから、渋る料理長を説得したんですよ」
「アキの勧めだと言えば、兄上も陛下も食べると思うが」

 クリスの不思議な俺基準。

「ええ。私もそう思います。前回のお料理が認められたのも、アキラさんのおかげかと」
「いやいや。リアさんの腕がいいからでしょ?」
「あら。嬉しいです」

 リアさんは本当に嬉しそうに笑うから、俺も釣られて笑う。
 全体的に少なめに盛られた料理を完食した。うん。満足。凄く満足。

 その後、明日からの予定も少し話し合った。
 魔物襲撃の後始末的なものは、今日のうちに終わっているので、それに関する仕事は特にない。
 午前は執務室で仕事して、午後からはダンスの練習。ついに来たよ…ダンス…。
 わかることは、ずっとクリスと一緒ってこと。
 魔力を使いすぎた影響は、多分大丈夫なはず。不足してると感じたら、クリスに貰えばいいし……。くっついていれば、それだけでじわじわ増える気もするし。まるで充電器。言わないけど。
 ……女神様の乙女発言も絶対言わない。気をつけねば。



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