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眠りの姫(♂)は眠らずに王子様を待ち続ける
第15夜 終話
しおりを挟む人目も憚らず、手を繋いでヴィーと街の中を歩く。
五百年も経つと町並みはすっかりと変わり果て、ヴィーの時代の面影はあまりないそうだ。
「ねぇヴァン、あっちは?あれは何?」
「ん?ああ、あれは」
屋敷を出たあと、私達は互いを愛称で呼ぶことを決めた。
ヴィヴィアン殿下はヴィー。私はヴァン。私の名を決めたのはヴィーだ。綴も音も近くてそれがいいと言われた。
私達は王都からは離れ、けれどそれなりに大きな街で冒険者登録をした。もちろん、平民出身のヴィーとヴァンだ。それと、伴侶申請も同時に。私達の左手首には、婚姻の証である文様が刻まれている。愛しい人の名前とともに。
冒険者になったのは、もちろん生活のため。
私はほぼ身一つで出てきたようなものだし、ヴィーは五百年の閉じこもり生活で金銭的なものは何も持っていなかったから。
ただ、成人してるとは思っていたけど、まさかヴィーが二十二歳……私より四つも歳上だとは思っていなかった。…あ、正確には五百二十二歳、か。まあ、そのあたりは面倒なので、五百歳はなかったことにしてある。
そんなヴィーと私。
互いに魔法の心得はあるし、剣も扱えるため、冒険者として稼ぐことに、何ら問題はなかった。
王太子だった頃より充実してる。
生きてる実感がある。
何より、愛しい伴侶がすぐ隣りにいる。
「……何、にやにやしてんの」
「ヴィーが可愛くて」
「はぁ…!?」
「食べたくなるくらい可愛くて、愛しい」
かぷ…っと耳を食めば、甘く上がる声をなんとか手で抑え込み、キョロキョロと当たりを見渡しほっと息をつく。
「ヴァン、あのね…っ」
「濡れた?」
「っ」
裾の長めのチュニックと、足首まで隠せるズボンを身に着けたヴィー。
するりと可愛らしい尻を撫で、蕾を服の上から撫でてやれば、そこは湿り気を帯び、悪魔からのギフトの効果が表れているのがわかった。
「ぁ……っ」
「お尻の穴、しっかり締めて」
「ひゃ…っ」
耳元で囁やけば、蕾にキュッと力が入った。可愛い声は私にはご褒美だ。
尻をいじってる手は、チュニックの裾に隠れているだろうけど、流石に触っていることくらいはすれ違う人にはバレていそうだ。
けど、バレて何が悪い。ヴィーは私の伴侶だ。
「宿についたら服を脱いで。洗濯しないとね」
「ん、ぅん」
「街の探索はまた明日、だね」
「ん……っ、も……っ、ヴァンのばかぁ…っ」
甘えた口調は、ヴィーがとろけた証拠。
可愛い。
可愛い可愛い、私の、伴侶。
「ひっ、あ、あっ、あんっ、あんっ」
私の上に乗り、腰を振り続けるヴィー。淫らで可愛い。
けれど、夫婦の時間だというのに、天井からぬっと濃い闇が出たかと思えば、それはヴィーにまとわりつきながら、人の形を取っていく。
「一段落した。私も混ぜろ」
「やめ……っ、ジウ、やめっ、あ、ああ!」
「全く……。一段落って、どうせまた魔界での仕事放り出して、怒られてたんでしょう」
「まあ、そんなところだ」
ヴィーは私のものなのに、この悪魔にだけは、触るな、と言えない。挿入だけはさせないが。
この悪魔、最近のお気に入りは、私の陰茎を咥え込んだヴィーの蕾を舐めることだ。ついでと言わんばかりに、細く長い舌を、私の陰茎に添わせながら、ヴィーの中に挿れてくる。
……一応、許容範囲内。
「早く嫁を取れとうるさい」
「……どこの世界でも似たような話しばっかりですね…」
「どうだ。いっそのこと、二人で魔界に来ないか。そして、ヴィーが私の子を孕んでくれれば、言うことない」
「ありえません。どうせ、種付けしたあと、魔力を分け与えなければとか理由つけて、延々とヴィーの中に居座るつもりでしょうに」
「……随分と悪魔について詳しくなったな」
「優秀な生徒でしょう?」
「全くだ」
「~~~~っ、二人とも、そんな平然と話ししてないでよ……!!」
「おっと」
「ああ、ごめんね、ヴィー。今あげる…!!」
「ひぃっ!!」
私とジウが話し込んでたことに嫉妬したヴィー。可愛すぎる。だから、思い切り下から突き上げ、結腸まで蹂躙する。
そんな、概ね平和な日々。
茨は消えた。
屋敷も消えた。
父王たち全員が驚いただろう。
でも、私にはヴィーが全て。
屋敷で待ち続けていた姫は、もういない。
眠っているフリで男たちを見極めていた姫は、もういない。
「姫……幸せ?」
「ん……っ、しあ、わせ……っ」
可愛い可愛い、私(だけ)の姫。
想定外のことはあるけども、眠らず自分だけの王子を求めていた姫は、今は私の腕の中。
だから、今度こそ。
本当に。
めでたし、めでたし………?
「めでたくない!!こんなギフトいらない~~!!!返却希望!!!!」
「「却下」」
「うわああぁぁんん!!!」
おしまい☆
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