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あの日、あの場所
2 生きたい
しおりを挟む「………お前は」
掠れた声だった。喉を痛めたときのような、嫌な違和感がある。
「ふふ」
少年は何も応えない。
その妖艶な微笑みに、目が離せない。
……ああ。これは精霊なんかじゃない。悪魔だ。人を惑わし、魅了する、悪魔だ。
天使でも悪魔でもないと思っていた。雰囲気は精霊に近いとさえ思っていたのに。
「お前は何者だ?」
「それを知ってどうする?」
「………」
赤く濡れた唇が艶めかしい。
「殺す?それとも連れ帰る?まあ、あんたがそれを望んでも、叶わないけどね。俺は叶えるつもりもない」
そして少年は、また唇を重ねてきた。
絡んでくる舌に、俺は自らも舌を動かし、吸い付いた。
「んっ、んっ」
少年から漏れる吐息と声に、身体が熱くなるのを感じる。
「んっ、だめ。我慢できない。あんた、ほんとに凄いね」
「何が?」
「あんたの魔力、極上なんだよ」
少年はまた舌なめずりをした。
魔力が極上とは、どういうことだろう。
他者の魔力を感じることができるのは、魔法師のように高い魔力を有した者だけのはず。
それとも、本当に、この少年は魔力を喰らう悪魔なのだろうか。
「魔力、だと?」
「そう。魔力。まさか、魔力を知らないの?そんなわけないよね。一応この国の騎士なんだから」
少年の言葉に愕然としてしまった。
今は騎士服を着ていない上に、騎士だと証明できるものは何も提示していないのだから。
何故、知っているんだ?
少年はまた口元に笑みを浮かべる。
「俺は俺が知りたいことは何でも知ることができる。ねえ、アルフレッド・ハールマン?」
「!!」
「俺が何もしなければお前は死ぬよ。ねえ…、アルフレッドは、死にたいの?」
最初にかけられた言葉。
悪魔の囁きにしか聞こえない。
けれど、俺の中には生を渇望する自分がいる。
ゴクリ、と、喉がなった。
「生きたい」
目をそらすことなく、少年のアメジストの瞳を見つめ続けた。
「ん。いいよ。助けてあげる」
少年は俺の唇を舐め、再び濃厚な口付けを始めた。
不思議と、それに対して嫌悪感は抱かない。
頭のどこかで警鐘が鳴る。
従うな。
甘美な誘惑にのるな。
身体を許すな。
少年の瞳を見るな。
……けれど、もう、遅い。
俺は、この少年に魅了されている。
悪魔のような囁きであっても、悪魔のような技であっても、この少年を求めずにいられない。
華奢な体を抱きしめたいのに、腕すら動かせない自分がもどかしい。
舌だけで応えながら、間近にある瞳を見つめ続ける。綺麗な、飲み込まれそうな瞳色だ。
少年は唇を離し、俺の首筋にその濡れた唇を押し当てた。
軽いリップ音をたてながら触れさせ、衣服を開き裸の胸に手を這わせる。
「よく鍛えてるね」
少年の手が胸元に触れてくる。
仕事柄、身体は鍛えているはず。
少年はうっとりとした目で俺の身体を見ながら、胸や腹に触れてくる。
その手に合わせるように、少年の唇も俺の身体を這っていった。
少年の唇が、掌が動くたびに、耐え難い波が押し寄せてくる。
腹まで唇を移動させた少年は、ベルトに手をかけ、あっさりと前をくつろげた。
「っ」
「気持ちいいでしょ?」
下着をずらし、既に硬く滾っていたそこに、少年は躊躇いなく吸い付いた。
「っ、ふ…………ぅ」
たちまちこみ上げる射精感を、息をつきなんとかやり過ごす。
「我慢しなくていいのに」
そこから口を離した少年は、もう一度俺に馬乗りになってきた。
そして、羽織っていたシャツも穿いていたズボンもすべて脱ぎさり、白い裸体を俺の前に晒した。
思わず息を呑んでいた。
「全部俺の中に出して」
そう言いながら、少年は俺の滾った男根を己の後孔に当て、ゆっくりと腰を下ろした。
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