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幼馴染み二人と豊穣の国の王都に着きました
16 贈り物…誰に?
しおりを挟む「ふわぁぁっ!!ね、ね、すごい人だよ!!」
宿で夕飯を食べ終わったあと、約束通り、夜の西町にでてきた。
「手は離すなよ」
「約束だからね?フィー」
「うん!」
わかってる。わかってるけど、すごく、わくわくしてる!
当然かもしれないけど、昼間と夜じゃなんかね、「顔」が違うっていうか。昼間も夜も開いてる店があるけど、昼間にちらりとみた雰囲気と、夜の雰囲気が全然違ってる。
昼間も冒険者ぽい人おおいなぁ、って思ってたけど、夜は夜で多い!その日の仕事が終わった冒険者さんとかが、露店に出向いたり、消費した道具を買い揃えたり、そういうのするんだって。
「欲しい物あったら言えよ?」
「いつでも寄るからね?」
「うん!!」
見てて楽しい。
でも、これ!っていう欲しい物は特にない。
雰囲気が楽しくてワクワクしてるから。
でも、確か、二人は欲しい物があるんだよね?
「ね、二人の欲しい物って、なに?」
「……アクセサリー」
「理想はピアスなんだけど」
アクセサリー…。
ディーが付けてるの見たことない。エルが首から水晶のようなものをかけているのは知ってる。…でも、ピアス?
「贈り物?」
「うーん……、まあ、贈り物といえば贈り物」
「願かけ的な」
贈り物…って、誰に?
ちょっと、胸の中がチリチリ痛むよ。
「あ、ディー、あの店」
「ああ」
僕がもやもやしてる間に、エルがお目当ての店を探し出しちゃったみたい。
そのお店は、小さな石を使った色んな手作りアクセサリーを置いてるお店だった。
夜でも石の色がよく見えるように、このお店の周りだけ、昼間のように明るい。
僕は二人と手を繋がれたままだから、それを手に取ってみることはできないけど、使われてる石はどれもちゃんとした宝石のようで、値段も結構高い。
「んー。あ、ディー、これ、いい」
「ああ。いい色だな」
「柘榴石だよね…。でも、こんなピンク珍しいし、丁度2個あるし。あと、緑石と…、珍しい。藍方石がある。これ、いいんじゃない?ディーの色とそっくり」
「色的にはいいと思う。緑石も、エルの色にぴったりだし」
「ん。それなら決めちゃおう。値段もいいとこだし」
……エルがぽんぽん宝石の名前を口に出してびっくり。
それから、エルは、僕に「ちょっとごめんね」って、断ってから、手を離した。左手がいきなり放り出された気分で、ちょっと、嫌。
ディーの手は僕の手をぎゅっと握ったまま。だからね、少し、少しね、安心した。
エルは、お店の人になんだか色々交渉してて、いい笑顔。
……誰に贈るんだろう。
「フィー、ちょっと痛いけど、我慢ね?」
「え?」
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