僕を裏切らないと約束してください。浮気をしたら精算書を突きつけますよ?

ゆずは

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竜司と子猫の長い一日

竜司は子猫の下着を破り捨てたいが我慢する

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「ん、ぁ……ん、んっ」

 子猫が鳴く声は甘く響く。
 密着したまま腰を揺らせば、子猫はびくんびくんと体を震わせる。
 あー……可愛い。
 本当に可愛い。
 やばいくらい可愛い。

 ……何処に行ったんだ、俺の言語力。

 貪るキスに夢中になっていた。
 子猫が唾液を飲むたびに、子猫の内側から作り替えているような錯覚すら覚え、離れがたくなった。

「りゅ……っ、…っ、ん」

 けれど突然苦しげな子猫の声がし、はたと我に返った。

「ん?」
「おぼ、れるっ」

 涙目の子猫がいた。
 溺れるって、何故。

「……だえきで、おぼれる…っ、くるしっ」
「…………」

 頭で理解できるまで数秒。
 オロオロしながら、熱い視線で俺の口元と目を見てくる子猫。
 その子猫が唾液で溺れるって。一生懸命飲み込んでいたのに、それも間に合わないくらい飲み込めず溺れる、って。
 この子猫は俺を殺す気だろうか。

「悪かったな。お前がお子様だってこと忘れてた」
「ち、ちがうしっ」

 顔を真赤にしてるのは、怒りじゃないよな?
 軽い子猫の体は、片手で十分支えることができた。
 だから、怒ってるように少し尖った濡れて赤くなった唇を撫でても、子猫を落とすような真似はしない。

「気持ちよかっただろ?」
「っ」
「焦らすキスよりこっちのほうがいいと思わないか?」
「……ん」
「こんなキスは誰も教えてくれなかったか?」

 僅かに目を泳がせた子猫。
 けれどすぐに俺を見上げてきた目は、熱にとろけて潤んでいた。

「はじめて」

 そうだろ?

 思わずドヤ顔になりそうな頬を引き締め、口元だけで笑ってみせた。
 子猫が「はじめて」と言ったんだぞ?嬉しくないはずがない。もしこれが計算だとしたら、子猫は子猫じゃなく小悪魔だが、子猫は計算なんて知らない。精算書はよくできていたが、人の心を弄ぶようなことは出来ない純粋な子猫だ。だから小悪魔じゃなく、天然の人たらし子猫だ。

「俺はこのキスが好きだ」

 だから覚えろ

 俺のキスだけを覚えろ。

 すぐにでもキスだけじゃなく体にも覚え込ませてやる。子猫がこの先知るのは俺だけでいい。
 子猫は自分の唇を舐め、熱のこもった目で俺を見た。

「僕も食べる」

 唇の間から舌が覗く。誘うように開いた口に綺麗な歯列が見え、更に劣情を誘う。
 子猫が俺から手を離した。それを残念に思いつつも、俺も子猫の腰から腕を解いた。
 子猫は足をしっかりと床につけ、俺を見上げてくる。
 そんな子猫の頭を撫で、髪を指で弄っていると、子猫は自分のシャツのボタンを外し始めた。
 途端、子猫の素肌があらわになっていく。
 少し痩せ気味とは思うが、くっきり浮き出た鎖骨は色っぽくもある。
 ちらりと、乳首が覗く。思わず噛みたくなる薄いピンク色でぷくりと尖ったそこに、目が釘付けになった。

「乳首、勃っちゃった」

 ああ。そうだな。
 シャツのボタンを中途半端に外して肩を出した子猫。
 勃ち上がった乳首を強調するように自分で揉みしだく子猫。

「あぅんん」

 自分で乳首をひねり上げた子猫は、そんな喘ぎを俺を見ながら上げた。
 どこで覚えてきたんだ腹立たしい……とは思いつつも、無意識に唇を舐めていた。
 子猫の指で硬くなった勃起乳首に、今すぐ噛みつきたい。噛んで、噛んで、吸い付いて、唇で扱いて指で捻り潰して――――嬌声を上げながら白濁を撒き散らす姿が見たい。

「たべたい?」

 子猫の声は悪戯に弾む子供のような声だった。

「ああ。齧り付きたくなるな」
「ふふ。でも、駄目。唇は竜司さんが食べたでしょ?……今度は僕が食べたい」
「悪い子だな」
「どうせお子様だし?」

 妖しく笑った子猫は、中途半端になっていたシャツを脱ぎ捨てた。日焼けをしていない肌は白く、綺麗だ。
 子猫は俺から目をそらさない。
 細い脚が強調されるジーンズからベルトを抜き取り、ゆっくりとファスナーを下げていく。合間から覗いた白いレースが気になった。
 ゆっくりとあらわになっていく太腿。
 身をかがめて自分の肌を撫でるように、足を抜いていく子猫。わざわざつま先までをピンと張り詰めながらジーンズから抜き去っていく姿は、ストリッパーかと思うくらい妖艶なものだった。
 俺の視線はつま先から上に行く。
 子猫の大切な部分を覆うものは、やはり見間違いでなく白のレースがふんだんに使われたものだった。
 明らかに盛り上がり、先端部分は先走りだろう雫ですでに濡れている。
 細い腰を飾る結ばれた紐が可愛らしい。

「それは、のぞみの趣味か?」
「それ?」

 不思議そうな子猫がコテンと首を傾げた。……この仕草、癖なのか。何度も見たのに毎回絆されるんだが。

「これ」

 触れたくて仕方なく、わざわざ結ばれた紐に手を伸ばした。

「ああ。……とおる――――今日別れた元彼の趣味。こういうのがエロくて好きって言ってたから。……竜司さんは嫌?似合わない?」

 なんだって…?
 子猫の趣味じゃない…?
 子猫っていう史上最強の恋人を持ちながら、他人の穴に腰を振ってた元彼の趣味?
 そんなもの、破り捨ててしまいたい。
 けれど、子猫によく似合ってる。
 酷い葛藤だった。
 子猫の様子から、嫌嫌つけているわけでもなさそうだ。今ここで俺が「似合わない」と言ったら、子猫の顔に寂しさや悲しさが浮かんでしまうんじゃないだろうか。
 元彼の好みの下着なんぞ見たくもないと言えば、俺が嫉妬していることはまるわかりになってしまう。それは駄目だ。心の狭い男だと思われたくない。
 そんな葛藤を濃く滲ませただろう眉間を指でもみ、「……似合ってる」と言えば、無駄にドスの利いた声音になった。

「無理して言わなくても……。ほら、すぐ脱ぐし」

 子猫も不穏さを感じたのか、眉をひそめる。

「無理はしてない。……ただ」
「なに?」

 言うか、言うまいか。
 どこまで言えば良いのか。
 どう言えば良いのか。

「だまんないで。脱ぐから。……それとも、やめる?無理?」
「そうじゃなくて」

 子猫の言葉に内心慌てた。
 このままじゃ誤解を与えてしまう。帰ると言われるかもしれない。

「じゃあ、なに」
「……お前の付き合ってた奴と同じ趣味ってのが癪に障る」
「は?」
「お前に似合ってるから脱がせるのも惜しい。でも、別の誰かのために付けてた下着を喜ぶことも出来ない」

 子猫がぽかんとした。
 なんとも掴めない表情で俺を見る。
 ……そんな子猫を見て、俺は一つの解決策を見出した。

「……俺が下着をプレゼントしたら、のぞみはそれをつけてくれるか」

 正直、馬鹿な提案だとは自覚してる。
 子猫にとって、俺は今夜だけの相手だ。俺は今夜一晩だけの関係でなく、この先も続く関係を作ろうと思っているが、子猫はそうではないのに。こんな、束縛とも執着とも捉えられそうな贈り物の提案に、子猫が頷いてくれる保証などない。
 もし、子猫から拒絶ではなく肯定をされたら、それは子猫が俺との『今後』を望んでると考えてもいいだろか。

「のぞみ」

 俺を見つめたまま黙ってしまった子猫。
 名を呼ぶと、口がわずかに動いた。

「……つけるよ。竜司さんの、好きなもの」

 そして、俺の体に手を触れて、子猫らしく、可愛らしく微笑む。

「今日は、我慢して?」

 ……子猫の、反則技が炸裂した。



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