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「お待たせしました」
私が気持ちを切り替えてみんなの前に戻ってくると、みんながさっきよりも険しい顔をしている。
隣を歩いているキリエがとてもびくびくしていた。
「ユーフェミア・シュバイン・アズベルトっ」
「はい」
さっき話の腰を折られたからラインハルトは少しビクっとしたけれど、私が返事しただけだとわかると、平然を装った。
「ユーフェミア・シュバイン・アズベルト、君とは婚約破棄させてもらうっ!!」
そう言って、高い位置から私を指さすラインハルト王子。私とラインハルトは婚約していると言われて、ようやく婚約していたことを思い出す。
でもあぁ・・・テンプレだぁ。
恋愛ゲームも好きだけれど、悪役令嬢系の漫画や小説もたくさん読んでいた私にとって、このくだりはテンプレでしかない。というか、ここから始めてくれればいいのに、今さっき絶望を味わった私からしてみれば、ショックなんてちっとも感じない。
「浮気ですかぁ、ラインハルト様」
私は率直な感想を述べると、ラインハルトがバツの悪そうな顔をする。隣の女の子がラインハルトの腕の袖をぎゅっと握っている。ゲームのヒロインとかなら、婚約中の王子といい感じになるのはいいけれど、ここで袖を掴むのはナシよね。
(それをやっちゃったら、悪女じゃん)
「そもそもだな、君がサンドラをイジメていたんだろ?」
私がサンドラを見ると、怯えた顔をするサンドラ。あぁ、でも言われてみれば、やっぱりサンドラを楽しくイジメた記憶があるかもしれない。イジメというか、まぁ、仲良くなりたいけれど、照れて上から目線で接してしまったのと、サンドラがラインハルトに気があるのが途中から気づいたからなのだけれど。
(そうよねぇ・・・ゲームの主人公とか選択肢で攻略相手を奪いに行ってるよね・・・そりゃ、憎くもなるかも)
「イジメではないけれど、soune,
上から目線のところはあったと思います。ごめんなさい」
私は深々と二人に頭を下げる。本人ならしっかり謝れないだろうけれど、これはユーフェミアが悪い部分が大きいと思ったから、代わりに謝罪しておいた。
「ふっ、いまさら遅いっ!!」
だが、一蹴された。
うーん、泣いて懇願したとしても、この結果になっていそうだ。ラインハルトの気持ちも決まっていて、ただ、浮気じゃ体裁を保てないから、こんな茶番をしているのだろう。ずるい男だと思いつつも、こんな人といてもユーフェミアが幸せになることもないだろうし、私が諦めた方がみんなウィンウィンだ。
「わかりました。では、慰謝料ください」
「いしゃ・・・りょう?」
私が手を差し出すと、ラインハルトたちの頭にクエッションマークが浮かぶ。
「医療が必要になったのか?」
「あぁ、良いです」
なんとなく、ノリで慰謝料なんて言葉を発してしまったけれど、そんな法律がこの文化レベルであるはずがない。私は、「行こっ、キリエ」と言うと、
「えっ、ええ…っ」
と混乱しながらもキリエが返事をしてくれたので、
「それではみなさん、お世話になりました。あっ、ライハルト様」
私はラインハルトを筆頭にサンドラや従者たちに頭を下げていき、あることを思い出した。これだけは言っておかなければならない。
「・・・なんだ?」
「金のお風呂に入れて、とても嬉しかったです。ありがとうございました」
そう言って、もう二度と来ることはないだろうラインハルトの家を出ていった。
私が気持ちを切り替えてみんなの前に戻ってくると、みんながさっきよりも険しい顔をしている。
隣を歩いているキリエがとてもびくびくしていた。
「ユーフェミア・シュバイン・アズベルトっ」
「はい」
さっき話の腰を折られたからラインハルトは少しビクっとしたけれど、私が返事しただけだとわかると、平然を装った。
「ユーフェミア・シュバイン・アズベルト、君とは婚約破棄させてもらうっ!!」
そう言って、高い位置から私を指さすラインハルト王子。私とラインハルトは婚約していると言われて、ようやく婚約していたことを思い出す。
でもあぁ・・・テンプレだぁ。
恋愛ゲームも好きだけれど、悪役令嬢系の漫画や小説もたくさん読んでいた私にとって、このくだりはテンプレでしかない。というか、ここから始めてくれればいいのに、今さっき絶望を味わった私からしてみれば、ショックなんてちっとも感じない。
「浮気ですかぁ、ラインハルト様」
私は率直な感想を述べると、ラインハルトがバツの悪そうな顔をする。隣の女の子がラインハルトの腕の袖をぎゅっと握っている。ゲームのヒロインとかなら、婚約中の王子といい感じになるのはいいけれど、ここで袖を掴むのはナシよね。
(それをやっちゃったら、悪女じゃん)
「そもそもだな、君がサンドラをイジメていたんだろ?」
私がサンドラを見ると、怯えた顔をするサンドラ。あぁ、でも言われてみれば、やっぱりサンドラを楽しくイジメた記憶があるかもしれない。イジメというか、まぁ、仲良くなりたいけれど、照れて上から目線で接してしまったのと、サンドラがラインハルトに気があるのが途中から気づいたからなのだけれど。
(そうよねぇ・・・ゲームの主人公とか選択肢で攻略相手を奪いに行ってるよね・・・そりゃ、憎くもなるかも)
「イジメではないけれど、soune,
上から目線のところはあったと思います。ごめんなさい」
私は深々と二人に頭を下げる。本人ならしっかり謝れないだろうけれど、これはユーフェミアが悪い部分が大きいと思ったから、代わりに謝罪しておいた。
「ふっ、いまさら遅いっ!!」
だが、一蹴された。
うーん、泣いて懇願したとしても、この結果になっていそうだ。ラインハルトの気持ちも決まっていて、ただ、浮気じゃ体裁を保てないから、こんな茶番をしているのだろう。ずるい男だと思いつつも、こんな人といてもユーフェミアが幸せになることもないだろうし、私が諦めた方がみんなウィンウィンだ。
「わかりました。では、慰謝料ください」
「いしゃ・・・りょう?」
私が手を差し出すと、ラインハルトたちの頭にクエッションマークが浮かぶ。
「医療が必要になったのか?」
「あぁ、良いです」
なんとなく、ノリで慰謝料なんて言葉を発してしまったけれど、そんな法律がこの文化レベルであるはずがない。私は、「行こっ、キリエ」と言うと、
「えっ、ええ…っ」
と混乱しながらもキリエが返事をしてくれたので、
「それではみなさん、お世話になりました。あっ、ライハルト様」
私はラインハルトを筆頭にサンドラや従者たちに頭を下げていき、あることを思い出した。これだけは言っておかなければならない。
「・・・なんだ?」
「金のお風呂に入れて、とても嬉しかったです。ありがとうございました」
そう言って、もう二度と来ることはないだろうラインハルトの家を出ていった。
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